スリーピング・ビューティー!!

「横島君と魔鈴さんじゃない。 相変わらず仲がいいわね~」

そんな調子で商店街で買い物をしていた横島と魔鈴だったが、二人は偶然愛子とクラスメートの女子数人とばったり会っていた

横島をからかうような女子達に横島自身は若干恥ずかしそうにしているが、魔鈴はどちらかと言えばニコニコと嬉しそうだ


「よかったら一緒にお茶でもどうです? 一度ゆっくりお話をしてみたかったんですよ」

横島をからかう一方で女子達は、魔鈴をお茶に誘って半ば強引に近くのファミレスに横島と魔鈴を連れて行ってしまう

横島の急激な変化と共に現れた魔鈴に彼女達は興味津々だったようである



ファミレスに入った一同は適当に飲み物を頼み話を始めるが、話と言うよりは女子達の魔鈴への質問責めに近かったかもしれない

毎日の弁当で発覚している料理の質問をしたかと思えば、横島との普段の様子を聞くなど遠慮なくすき放題に魔鈴に質問責めをしていく


「お料理は昔から好きなんですよ。 自分でも勉強しましたし、お店でバイトをして習ったこともありますしね」

一つ一つの質問に答えられる範囲で丁寧に答える魔鈴だったが、女子達も割と真剣に魔鈴の話に耳を傾けている

横島の変化から魔鈴の評価はかなり高いのが原因らしい


「横島君が相手だと浮気とか心配にならないんですか?」

「お前な……、そんなことを俺の前で聞くなよ」

横島が居心地悪そうにしてるにも関わらず、遠慮なくガールズトークを繰り広げる女子達に横島はグッタリしてるが彼女達はこの機会を逃すまいと真剣だった


「心配がないと言えば噂になるでしょうね。 自分の彼がモテないとは思ってませんし。 ただ私は忠夫さんを信じてますよ」

「でもそれでも浮気をしたらどうするんですか!?」

少し考えながらも割と本音を語る魔鈴に女子達は更なる過激な質問をぶつけていくが、横島は最早逃げ出したい気持ちでいっぱいである


「どうしましょうか? 私もそこまで具体的に考えたことはありませんし…… ただ話を聞かないで別れるつもりはありませんよ。 忠夫さんの良さはよく理解してますし」

なんと言うか大人の女性として格が違う魔鈴に、女子達はいつの間にか静まり返って話を聞いていた

元々彼女達は横島の良さも欠点もよく理解していたが故に、今の横島を見ていると魔鈴に対して憧れのような感情を抱くらしい

横島が普段の態度と違い昔から真剣にGSを目指していたと勘違いしてる彼女達だが、それでも横島の最近の女性に対する態度を見てると女性に対する扱いや余裕が以前とまるで違っていることを理解している

GSに関しては横島の努力や真面目さが原因かと考えてる彼女達だが、女性に対する態度が変わった原因は魔鈴だと考えていた

元々横島の好感度は本人が思ってる以上に高かっただけに、分かりやすい欠点を改善して普通にモテる男に変えてしまった魔鈴の女としての力量に彼女達は尊敬していたのである

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