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横島達が除霊現場に到着するとすでに唐巣と令子が揃っているが、令子は相変わらず不機嫌そうである


「お待たせしましたか? 申し訳ありません」

「いや、私達が少し早かったんだ。 さっそくだが依頼はこの建物だ。 依頼内容は除霊と原因究明の二点。 とりあえず今日は調査にして後日除霊になると思うが、どうかね?」

到着早々令子と唐巣に待たせたお詫びを告げる魔鈴だが、別に遅刻した訳ではなく約束の十分前に来たのだが唐巣達はもっと早かったのだ

唐巣から依頼内容の詳細を改めて説明かれて魔鈴は依頼のビルを見つめる


「今日中に除霊まで出来ると思います」

多少心配そうな唐巣に少し様子を見ていた魔鈴は自信ありげな笑顔を見せていた

ビル自体にはかなりの悪霊が住み着いているようだが、原因についてはすぐに気付いている


「ここのビルはこの辺りの陰の気を集める地形になってますね。 おそらく昔は神社か寺でもあったのではないでしょうか?」

唐巣と令子が見つめる中で魔鈴は原因について語り出すが、実は唐巣も令子も事前に調査をした為に原因は知っていた

地形や街の造りの影響で、どうしても依頼のビルには陰の気が集まり悪霊が寄って来るのだ

事実魔鈴が推測した通り江戸時代には小さな神社があった場所である


「解決方法としてはいくつかありますが、一般的なのはどこかの神様にお願いして小さな神社などを置くことでしょうか……」

この手の原因から来る依頼は根本的な解決は難しく、一般的なのは霊的な環境を改善する結界を張るか寺社仏閣などを置くことだ

結界に関してはメンテナンスな維持が結構大変な為に、一番一般的なのはどこかの神社などに頼みビル内に小さな神社を設けることだった


「今日は除霊をして建物を結界で包むまでが精一杯ですね」

的確な検証の元で除霊に入ろうとする魔鈴だったが、感心する唐巣と対照的に令子の機嫌は悪化する

横島とでさえ一言挨拶しただけで会話がないのだから、よほど面白くないらしい


「そうか、除霊の方はかなり数が居るようだが大丈夫かね?」

「はい、大丈夫です」

ビルに入る前に唐巣に再度確認される魔鈴だったが、問題ないと告げると準備を開始する

まあ準備と言っても魔鈴は杖と自作のお札を数枚持つだけなので、特に準備らしい準備は必要ないのだが……


「では除霊に入りますが、ビルに結界を張り新しい悪霊が入らないことが目的です。 ですので襲って来る悪霊以外は基本的に放置して構いません」

横島と雪之丞に除霊に関して説明を始める魔鈴だったが、基本的にはスタンダードな方法でありビルに結界を張り中の除霊をするだけである

久しぶりの大仕事に気合いの入る雪之丞と、令子が居る為か大人しい横島を連れて魔鈴はビルに入っていく


「やはり実力には問題がないようだね」

横島達がビルに入ると唐巣はホッとしたように一言呟き後に続くが、令子は無言のままだ

まあ令子の場合は魔鈴の化けの皮が剥がれるのを待っているだけなのだろう
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