スリーピング・ビューティー!!

「なにこれ……」

一方いつものように登校した横島だったが、お土産の人骨温泉饅頭に愛子は複雑そうな表情を浮かべていた

名前といいコミカルなガイコツのキャラがデカデカと描かれてるパッケージといい、ネタなのかと理解に苦しむらしい


「ちょっと仕事で温泉行って来た土産だよ。 名前の苦情は俺に言うな」

お世辞にも美味しそうに見えない饅頭だが、普通にホテルの売店で売っていた物だった

一応売店では一番人気だと書かれていたので買ったのだが……


「もうちょっとマシな物なかったの?」

「そのキャラの人形とかストラップならあったぞ。 後は昔懐かしいペナントとか……」

例によって最近よく絡む飛鳥加奈などの女子は横島のセンスを疑っているが、実際他にはろくな土産がなかったのだ

なんでも地元の観光協会がコミカルな人骨君をマスコットキャラにして村おこしとして観光客を呼び込もうと努力してるらしいく、同じキャラの商品がたくさんあったのである


「地方に行くとたまに変なことしてる町があるのよね」

横島が事情を説明すると女子達は微妙な表情を浮かべて苦笑いをしていた

やる気とか努力をしてるのはわかるが、決して観光客は増えないと確信するほどなのだから


「それよりも温泉って彼女と二人で行ったの?」

土産の饅頭に微妙な空気が流れるが、女子達の興味は土産よりも横島と魔鈴の方だった

仕事と言いつつ二人で旅行をして来たのではと考えてるようだ


「ああ、二人だったよ。 今回は調査に行っただけだったからな」

興味津々な者や興味なさげな者など様々だが、横島の言葉はクラスメートの全員が聞き耳を立てている

二人で旅行に行くという事はそれだけ横島と魔鈴の関係が深く、当然として肉体関係もあると考えるのが普通なのだから……

流石に誰も直接は聞かないが、横島に先を越されて面白くない男子は多いようだ

女子は女子で単純な興味を抱く者からちょっと複雑な感情を感じる者まで様々だが、今までと違うのはこんな時に横島を吊るし上げにする連中が大人しいことか

いくら横島が嫌いな連中とはいえ、流石に同じ過ちを犯すことはないらしい


実は吊るし上げ五人衆については、あれから数日が過ぎて少し変わっていた

五人のうち二人が素直に横島と女子に謝ったのだ

実際のとこ彼ら二人は横島が嫌いだが、かと言って憎んでいた訳ではない

数日過ぎても女子に無視される事に耐えられなくなった二人は謝っていたのである


その結果女子達と二人はそのまま仲直りしていた

数日が過ぎ女子達の怒りも収まっていた事もあるし、当の横島がどうでもいいような反応だった為に女子としてもそれ以上無視する意味がなかったのである

まあ仲直りしたとはいえ彼らの評価が低いことには変わりなく、無視はされないが空気に近い扱いだったが

ついで説明すると謝ってない三人に関しては、男子は普通に話すが女子は相変わらず無視したままだ

三人の中には相変わらず横島を睨む者もおり、女子としては関わりたくないと言った方が近いのかもしれない

元々それほど女子と話す者ではなかった事もあり、そのままでも何の問題も起きてなかった


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