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人骨温泉から戻った次の日、横島は学校へ行ったが魔鈴はカオスと死津喪比女への対策を話し合っていた


「出来れば気付かれる前に一撃で仕留めたいのう」

「地中で無ければ可能なんですが……」

地脈を支配して地震まで起こせる死津喪比女とガチで戦うのは避けたいカオスと魔鈴だったが、流石に地中の死津喪比女をピンポイントで攻撃するのは簡単ではない


「霊的物質による遠距離攻撃兵器は理論的には不可能ではないが、どう考えても開発する時間が足らんのう」

かつて未来の世界においては道士がおキヌの霊体をミサイルのように使ったが、あれと同じ仕組みで人為的な霊的物質で地中貫通兵器を造るのはカオスならば理論的には可能らしい

しかしいかに天才ドクターカオスとはいえ、未知の兵器には開発に時間がかかる


「やはりおびき出すしかないのでしょうね」

「仕方あるまい。 横島の霊波刀なら地下貫通できるだろうが、流石に地下数百メートルまで伸ばすのは不可能だ」

いろいろ考慮する魔鈴とカオスだが、下手に本体に攻撃して逃げられると厄介だった

地下で逃げに徹すると横島や魔鈴でも手出しが難しくなる


「それと美神令子はどうするのだ? 敵に回すとアシュタロスより厄介かもしれんぞ」

多少の被害は覚悟の上でおびき出すしかないと考える魔鈴とカオスだったが、やはり問題は令子の扱いである

魔鈴よりも令子を良く知るカオスは出来れば敵には回したくないようだ

魔鈴が未来でいかに成長したとはいえ、えげつなさでは令子に到底叶わない

直接戦闘ならば分からないが、嫌がらせでもされたらこの上なく面倒事が増えてしまう

ただでさえ対アシュタロス一派との戦いで大変なのに、令子と決定的な対立をするのは避けたかった


「私が話して聞いてくれる人でしょうか?」

「それは無理じゃろ。 表面上はともかく、男を盗られたように本心は感じておるじゃろうしのう」

令子への対応に話が及ぶと魔鈴は疲れたような表情になるが、カオスの指摘した通り冷静に話すのは不可能だと魔鈴も理解している

仮に立場が逆になれば魔鈴とて令子の話など聞かない気がしていた


「巻き込んでしまうことは非常に心苦しいのですが、唐巣神父に加わって頂くしかないかと思ってます」

令子への対応は横島と魔鈴も散々話し合ったが、結局唐巣を巻き込むしか方法が浮かばなかったのだ

人付き合いの悪い令子が親交がある数少ない人間であるし、現状の令子と魔鈴の間に入れる人間など他にはいない

未来で唐巣の苦労を知る魔鈴としては申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、唐巣抜きだと令子が爆発した際に決定的な対立になる可能性もあるのだから

GS業界随一の人格者とも言われる唐巣は昔から業界関係者にも頼られることが多く、今回の魔鈴のように申し訳ないと感じても頼るしかない者も少なくない

それがGS協会において唐巣待望論が起きる原因でもあった

結局今回も唐巣は魔鈴と令子の調停役として巻き込まれることになる


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