スリーピング・ビューティー!!
二人が電車を降りるとそこは木造平屋の駅舎がある田舎町だった
少し錆びた看板には《ようこそ人骨温泉へ》と書かれているが、それほど有名な観光地でもないため観光客は居ない
「まずは役所に行きましょうか」
さて今回横島と魔鈴がはるばる人骨温泉に来た理由だが、それはもちろん死津喪比女の事件絡みである
今回魔鈴は建前上、おキヌに関する調査をする為に人骨温泉に来たことになっていた
実は三百年前の幽霊が悪霊化せずに亡くなった時のままの純粋さを保ち、その上で神族化の儀式が行われてなお神族化も出来なかった事例は過去にはない
そもそも神魔は力の性質の違いであり、別に善悪ではないのでさほど厳格な資格や資質が必要な訳ではないのだ
特に人間ですら神族化の儀式が可能な最下級の土地神クラスでは、資質や性格に関係なく神になれるはずだった
魔鈴はその矛盾が気になり調べに来たと言うのが今回の表向きの筋書であり、今回の調査で死津喪比女を発見する事が最初から決まってる
いわゆる死津喪比女退治に魔鈴と横島が乗り出す為の理由作りの為に、わざわざ知ってる事実を調べに来たのだ
「思った以上に当時の資料が残ってるな」
「当時の人間が後世に真実を伝えなければ、全てが無駄になりますからね」
役所を尋ねた二人はGSの仕事上の調査と言う理由で古い文献を見せて欲しいと頼むが、役所で紹介されたのは地元の歴史資料館だった
二人はそのまま歴史資料館に行き三百年前頃の資料を見せてもらうが、かつて横島が氷室家で見た古文書と似たような物がここにもあったのだ
「江戸時代後期はこの辺りはほとんど氷室神社の領地でした。 なんでも三百年前に邪悪な地霊を封じ込めたらしく、それを見守る為に氷室神社が建立された際に藩より与えられた土地だったと……」
歴史資料館で地元の郷土史に詳しい職員に話を聞くが、それは概ね前の世界で横島が氷室神社で聞いた話と同じだった
子々孫々に至るまで氷室神社を守っていくべしとの言い伝えが今も残ってるらしい
「伊賀や甲賀ほど有名ではありませんが、この地にもかつては小さな忍の里があったようです。 言い伝えでは氷室神社を守る為の忍の里があったとか」
職員の話はいつの間にか横島の知らない話にも及んでいた
氷室神社を建立した道士と姫は、道士の仮人格の他にも様々な対策と教訓を後世に残していたらしい
最も明治維新を境にした世の中の変化と共に、いつの間にか無くなってしまったようだったが……
「どんな気持ちだったんでしょうね」
歴史資料館を後にした魔鈴は、道士や姫の行動に感慨深いものを感じていた
死津喪比女の封印後、道士はこの土地に残り姫と共に後世の為に尽力を尽くしたと歴史には残っている
それは神社建立や忍の里を残すといった死津喪比女への対策ばかりではなく、死津喪比女の影響で荒れ果てた土地の復興や新たな産業の育成など様々に及んでいた
歴史には後世の為にと書かれているが、それはおキヌが生き返った後を考えていたのではと魔鈴は思うのだ
少し錆びた看板には《ようこそ人骨温泉へ》と書かれているが、それほど有名な観光地でもないため観光客は居ない
「まずは役所に行きましょうか」
さて今回横島と魔鈴がはるばる人骨温泉に来た理由だが、それはもちろん死津喪比女の事件絡みである
今回魔鈴は建前上、おキヌに関する調査をする為に人骨温泉に来たことになっていた
実は三百年前の幽霊が悪霊化せずに亡くなった時のままの純粋さを保ち、その上で神族化の儀式が行われてなお神族化も出来なかった事例は過去にはない
そもそも神魔は力の性質の違いであり、別に善悪ではないのでさほど厳格な資格や資質が必要な訳ではないのだ
特に人間ですら神族化の儀式が可能な最下級の土地神クラスでは、資質や性格に関係なく神になれるはずだった
魔鈴はその矛盾が気になり調べに来たと言うのが今回の表向きの筋書であり、今回の調査で死津喪比女を発見する事が最初から決まってる
いわゆる死津喪比女退治に魔鈴と横島が乗り出す為の理由作りの為に、わざわざ知ってる事実を調べに来たのだ
「思った以上に当時の資料が残ってるな」
「当時の人間が後世に真実を伝えなければ、全てが無駄になりますからね」
役所を尋ねた二人はGSの仕事上の調査と言う理由で古い文献を見せて欲しいと頼むが、役所で紹介されたのは地元の歴史資料館だった
二人はそのまま歴史資料館に行き三百年前頃の資料を見せてもらうが、かつて横島が氷室家で見た古文書と似たような物がここにもあったのだ
「江戸時代後期はこの辺りはほとんど氷室神社の領地でした。 なんでも三百年前に邪悪な地霊を封じ込めたらしく、それを見守る為に氷室神社が建立された際に藩より与えられた土地だったと……」
歴史資料館で地元の郷土史に詳しい職員に話を聞くが、それは概ね前の世界で横島が氷室神社で聞いた話と同じだった
子々孫々に至るまで氷室神社を守っていくべしとの言い伝えが今も残ってるらしい
「伊賀や甲賀ほど有名ではありませんが、この地にもかつては小さな忍の里があったようです。 言い伝えでは氷室神社を守る為の忍の里があったとか」
職員の話はいつの間にか横島の知らない話にも及んでいた
氷室神社を建立した道士と姫は、道士の仮人格の他にも様々な対策と教訓を後世に残していたらしい
最も明治維新を境にした世の中の変化と共に、いつの間にか無くなってしまったようだったが……
「どんな気持ちだったんでしょうね」
歴史資料館を後にした魔鈴は、道士や姫の行動に感慨深いものを感じていた
死津喪比女の封印後、道士はこの土地に残り姫と共に後世の為に尽力を尽くしたと歴史には残っている
それは神社建立や忍の里を残すといった死津喪比女への対策ばかりではなく、死津喪比女の影響で荒れ果てた土地の復興や新たな産業の育成など様々に及んでいた
歴史には後世の為にと書かれているが、それはおキヌが生き返った後を考えていたのではと魔鈴は思うのだ