変わりゆく日々
「私には関係ない話だしどうでもいいわ」
ふて腐れたように一言呟いた令子は無言になり苛立ちを隠そうとする
しかし内心では何処か納得がいかないモノを感じて、余計に苛立ちが募っていく
何かがおかしいと令子の霊感が告げているが、仮に何かがおかしくてもすでに自分には無関係だと考え収めようとしていた
(やはり令子君の方がショックだったようだね)
突然の横島の変化に一番ショックを受けているのが令子だと、唐巣は見抜いている
言葉にこそ出さないが令子が横島に気を許していたのは明らかなのだし、それは今までにはなかった事なのだ
(美神君が死んで以来令子君は自分の殻に閉じこもったままだった。 その殻を曲がりなりにも乗り越えたのが横島君だったからね)
母親である美智恵の死のショックから内心では立ち直れなかった令子が、唯一懐に入れた人間が横島だった
ようやく他人との繋がりを持ちはじめた令子が再び一人になった現状に唐巣は不安を感じてしまう
「美神君、子供はいつか巣立つものだ。 横島君はちょっと早いが巣立ちの時を迎えたのだよ。 君の元で働いた経験は彼にとって何よりの財産になるだろう。 すぐには難しいかもしれないが、静かに見守るのもまた大人の勤めなのだよ」
無言のまま苛立ちを隠す令子に、唐巣は静かに大人としての立場を諭していく
唐巣とて令子がすぐにそれを理解するとは思ってないが、時が過ぎれば理解してくれるだろうとの期待を込めた言葉だった
「関係ないって言ってるでしょ」
多少心配そうに語る唐巣に令子はうざそうに答えるが、それ以上反論はしないまま無言になる
もう会う事はないだろうと考え忘れようと思う令子だったが、横島との再会がそれほど遠くない現実だとは知るよしもなかった
その頃、おキヌは横島のアパートの周りをうろうろしていた
横島が辞めて以来会う機会が無くなってしまったが、以前の横島のイメージが強いおキヌは何か困ってないか心配していたのだ
直接会いに行くべきだとは思うが、辞めて以来音沙汰がないだけに行けば迷惑なのかとも考え迷っていたのである
「あら、貴女は……」
決断出来ぬままうろうろしていたおキヌと、ばったり出会ってしまったのは魔鈴だった
自分の顔を見るなり動揺するおキヌに魔鈴はその理由を察する
「忠夫さんならまだ学校ですよ。 待たれるならアパートで待っていた方が……」
「いえ! 特別用事がある訳じゃないんです! ただ……、どうしてるのかと思って……」
二人の間には重苦しい空気が流れていた
おキヌにとってはやはり横島は特別なのだし、魔鈴はそれを知っているのだ
動揺を隠そうとしても隠せないおキヌに、魔鈴は僅かに共感した気持ちを感じてしまう
(結果的に私が忠夫さんを横取りしたような形になってしまいましたからね。 美神さんでなくてもいい印象がないのは当然かもしれません)
横島を失った悲しみを考えると魔鈴は少し罪悪感を感じていた
未来の時ならば仕方ないと言えるかもしれないが、この時代のおキヌには批はない
ろくな説明もなく辞めた横島を心配して寂しく思うのは当然だとも思うのだ
ふて腐れたように一言呟いた令子は無言になり苛立ちを隠そうとする
しかし内心では何処か納得がいかないモノを感じて、余計に苛立ちが募っていく
何かがおかしいと令子の霊感が告げているが、仮に何かがおかしくてもすでに自分には無関係だと考え収めようとしていた
(やはり令子君の方がショックだったようだね)
突然の横島の変化に一番ショックを受けているのが令子だと、唐巣は見抜いている
言葉にこそ出さないが令子が横島に気を許していたのは明らかなのだし、それは今までにはなかった事なのだ
(美神君が死んで以来令子君は自分の殻に閉じこもったままだった。 その殻を曲がりなりにも乗り越えたのが横島君だったからね)
母親である美智恵の死のショックから内心では立ち直れなかった令子が、唯一懐に入れた人間が横島だった
ようやく他人との繋がりを持ちはじめた令子が再び一人になった現状に唐巣は不安を感じてしまう
「美神君、子供はいつか巣立つものだ。 横島君はちょっと早いが巣立ちの時を迎えたのだよ。 君の元で働いた経験は彼にとって何よりの財産になるだろう。 すぐには難しいかもしれないが、静かに見守るのもまた大人の勤めなのだよ」
無言のまま苛立ちを隠す令子に、唐巣は静かに大人としての立場を諭していく
唐巣とて令子がすぐにそれを理解するとは思ってないが、時が過ぎれば理解してくれるだろうとの期待を込めた言葉だった
「関係ないって言ってるでしょ」
多少心配そうに語る唐巣に令子はうざそうに答えるが、それ以上反論はしないまま無言になる
もう会う事はないだろうと考え忘れようと思う令子だったが、横島との再会がそれほど遠くない現実だとは知るよしもなかった
その頃、おキヌは横島のアパートの周りをうろうろしていた
横島が辞めて以来会う機会が無くなってしまったが、以前の横島のイメージが強いおキヌは何か困ってないか心配していたのだ
直接会いに行くべきだとは思うが、辞めて以来音沙汰がないだけに行けば迷惑なのかとも考え迷っていたのである
「あら、貴女は……」
決断出来ぬままうろうろしていたおキヌと、ばったり出会ってしまったのは魔鈴だった
自分の顔を見るなり動揺するおキヌに魔鈴はその理由を察する
「忠夫さんならまだ学校ですよ。 待たれるならアパートで待っていた方が……」
「いえ! 特別用事がある訳じゃないんです! ただ……、どうしてるのかと思って……」
二人の間には重苦しい空気が流れていた
おキヌにとってはやはり横島は特別なのだし、魔鈴はそれを知っているのだ
動揺を隠そうとしても隠せないおキヌに、魔鈴は僅かに共感した気持ちを感じてしまう
(結果的に私が忠夫さんを横取りしたような形になってしまいましたからね。 美神さんでなくてもいい印象がないのは当然かもしれません)
横島を失った悲しみを考えると魔鈴は少し罪悪感を感じていた
未来の時ならば仕方ないと言えるかもしれないが、この時代のおキヌには批はない
ろくな説明もなく辞めた横島を心配して寂しく思うのは当然だとも思うのだ