変わりゆく日々

「そもそも横島がGS試験に受かる方がおかしいんだ! 不正だ! 絶対不正だ!!」

いつの間にか女子達の全員の怒りが自分達に向いてる事に気付いた一人の男子は横島に矛先を戻す

しかし横島はそんな男子達に怒りが全く沸いて来ない為に困った表情のままだ

今の横島は流石に精神年齢が違う為に吊るし上げする男子達には冷めた印象しかないし、過去の吊るし上げと違って自分の味方が居る事にも戸惑っていた


「不正だって言われてもなぁ。 どうしよう」

「横島君、貴方もちょっとは怒ったらどうなの!」

何か適当に丸く収める方法はないかと笑いの方に持って行こうとする横島だが、今度は何故か女子達に怒られてしまう

一部の男子達は吊るし上げにしてあらを探してるし、女子達には怒らない事を怒られる

横島としては最早カオスに近い現状だった


(何がどうなってんだ? 俺が吊るし上げにされるのは分かるが、なんであいつらは俺の味方になる?)

未来の記憶からか相変わらず部外者意識の強い横島は困った表情のまま考え込むが、答えは出て来ない


横島は知らなかった

未来の三年生の最後の時に、女子達の大半が横島の味方をして一部の男子が魔鈴との関係を吊るし上げにするのを防いでいた事実を……

そしてクラスメートの女子にも嫌われていたと今でも思ってる横島だったが、彼女達は実はそれ程嫌ってなかった事実も今だに知らない



「おい、そろそろやめたらどうだ? お前らGS試験の合格確率知らんだろ。 俺は六道女学院の霊能科に通ってた親戚が居るから知っているけど、運や偶然で受かる試験じゃないんだぞ」

緊迫したまま固まる教室で一部の男子と女子が睨み合うのを呆れた様子で見ていた男子の一人は、ため息混じりに仲介に入る

現在吊るし上げにしてる男子は五人であり、残りの男子は割と冷静だった

まあ心情的には吊るし上げにしてる者を応援してる者も少なくないが、かと言って横島を全否定するほどでもない

そんな中で冷静だった一人が吊るし上げにしてる連中を止めていた

彼は別に横島の味方でも吊るし上げにしてる連中の味方でもないが、誰かが仲介しないと吊るし上げにしてる者が引き下がれないと感じたようだ


「……覚えてろよ。 必ず化けの皮を剥がしてやるからな」

一人の男子の仲介により吊るし上げにしてた者達は素直に引き下がっていくが、一番積極的に横島を吊るし上げにしてた者が横島を睨み捨て台詞をはいてしまう

その一言が余計だった事を、彼はこれから嫌というほど思い知る事になる

頭に血が登って怒りのやり場がなかっただけなのだろうが、最後の一言が女子達の怒りに更に火を注ぐ結果になるなど考えもしなかったのだろう


「いったいどうなってんだ?」

「横島君、人事みたいな顔するの辞めようね。 ちゃんと否定しないと後で困るわよ」

教室は一応の平穏を取り戻し横島がまるで他人事のように首を傾げるのを、周りのクラスメートは苦笑いを浮かべて見ている

そんな中で女子にしては冷静だった飛鳥加奈は、事態が悪化した原因が横島にもあると感じていた


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