変わりゆく日々

「それは端のタグを引っ掛けるようにしなきゃ取れんだろ」

「言うだけなら簡単よね。 横島君もやってみればわかるわ」

UFOキャッチャーを覗き込んだ横島はアドバイスのつもりで軽い調子で攻略法を教えるが、逆にやってみてと巻き込まれる


「……えっ!?」

「嘘……」

愛子達に言われるがままにUFOキャッチャーに挑戦する横島だったが、一回でさっき言った通りに景品をゲットすると彼女達はポカーンとしてしまう

愛子達もいろいろ考えながら挑戦していただけに、あまりにあっさりとゲットした事実に驚きを隠せないようだ


「ほれ、今みたいにしてやれば取れるよ。 あと店も選んだ方がいいぞ。 ここはちょっと取りにくい置き方してるからな」

そのまま取った景品を愛子に手渡してさっさと帰ろうとする横島だったが、両手を他の女子に掴まれてしまい動けない


「ねえ横島君。 まさか愛子ちゃんだけなんて言わないわよね」

「私達も欲しいのがあるのよ」

その表情はお願いすると言った生易しい物ではなかった

熱い視線と強く握られた手に、横島が僅かに冷や汗を流すほどだったと言う



「横島君って意外に器用だったのねー」

「ちょっと前まで寝てばっかりだったもんね」

そのあと女子にお願いされた横島が断れるはずもなく、一人一個ずつ欲しい景品を取ってあげたのだが、そのままお礼だからとファミレスに一緒に同行させられていた

横島としてはさっさと帰りたいとも思ったのだが、断りにくい空気に渋々同行している


「お前らな、俺だって得意な事の一つや二つはあるっつうの」

愛子も含めて女四人に囲まれてる横島は、微妙に居心地が悪そうだった

昔ならば血の涙を流して喜んだだろう状況だが、クラスメートの女子にもあまりいい思い出がないだけに今は複雑なようだ


「最近本当に変わったわよね。 服装も以前と違ってオシャレになったし。 横島君の彼女なかなか凄いわね」

横島の気持ちはともかく、愛子達は何故か横島の前で横島の話題をして盛り上がっていく

横島はあまり意識してなかったが、服装の変化は女子から見て驚くほど変わったらしく意外に細かいチェックされてた事実に横島は驚いている


「お前らが俺の服装なんかに興味持ってたとはな……」

「別に横島君の服装に特別興味持ってる訳じゃないわよ。 普通に同じクラスなんだから誰の服装でも目が行くじゃない。 まあ横島君の場合はワイシャツが以前と全く違うから分かりやすいのはあるけど……」

未来との違いに違和感を感じる横島に、女子の一人は横島が特別ではなく普通だと告げる

まあ横島の場合は学生服の下に着ているワイシャツが特に違うので目立つらしいが……

過去の高校時代は当然アイロンなどかけなかった横島だったが、現在は魔鈴が毎日丁寧にアイロンをかけてるため当然気づくらしい



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