魔鈴心霊相談事務所始動!

「美神さんとこなら危険でヤバい依頼がたくさんだぞ。 今のお前ならあっちの方が好みかもな」

「美神令子の噂は知ってるよ。 あんな女にあごで使われるのはごめんだ。 それにお前達の方が強いんだろ? わざわざ弱い奴の元に行っても得るモノはないからな」

かつてのバトルジャンキーなままの雪之丞に、横島は令子の事務所が合うのではとからかい半分で言うが雪之丞は嫌そうな表情である

メドーサ辺りから聞いたのかもしれないが、令子の悪い噂を結構知ってるらしい


「単純な霊力値なら俺とめぐみの方が上だよ。 ただあの人の戦い方と執念は恐ろしいものがあるけどな」

「そんなにたいした奴には見えなかったがな~」

どうも雪之丞は令子の強さをあまり理解してないらしい

GS試験で横島がいろいろと立ち回った結果令子が目立たなかった事が主な理由だが、あまり実戦経験がないのがかなり影響してるようだ


(雪之丞さんが経験を積んだのはGS試験の後だったはずですから、この時代の雪之丞さんは未来とは別の霊能者になるかもしれませんね)

未来において雪之丞が明確な経験を積んだのはGS試験で逃亡した後だった

メドーサと戦う力を求め生死の境のような危険な経験を繰り返し成長したのだが、この時代ではそれがない

魔鈴は雪之丞を本格的に一から育てる必要があるとシミジミ感じていた



横島達が雑談をしながら待つ事2時間半、OLらしき女性が遠くから歩いてくる時に幽霊は現れる


「俺に触らせろー!!」

燃え上がる欲望が幽霊の霊力を上げてるのか、女性の前に突然姿を現した幽霊は女性に飛び掛かるが……

さすがに触れられるほどの力はない


「キャー!!」

「クッソー、またダメかよっ!」

幽霊と痴漢の両方への恐怖から女性が叫び声を上げるが、幽霊は幽霊で触れないことへの不満で怒りを募らせる


「もう一回……」

「やめんか! このクソ幽霊がっ!!」

幽霊はもう一度女性に飛び掛かろうとしたのだが、その前に飛び出した横島にツッコミのように殴られてしまう


「大丈夫ですか? GSです。 もう安心ですよ」

一方魔鈴は恐怖から震え上がっていた女性を抱きしめて、落ち着かせようとしていた

女性は何がなんだか解らぬまま震えており、魔鈴に抱き着いたままである


「なんだ貴様ら! 俺の邪魔をするのかっ!!」

「当たり前だろ。 死んでまで痴漢なんかするんじゃないっつうの」

「煩い! 俺の邪魔をす……」

痴漢幽霊は魔鈴と女性の前に立つ横島に苛立ち今にも殴り掛かりそうなのだが、後ろからゆっくり歩いてくる雪之丞の姿が見えると震え始める

雪之丞はすでに霊力を高めており、殺気をむき出しにしていた

ろくに霊力も感じずに見た目弱そうな横島が相手ならば強気になれるが、いかにも強そうな雪之丞には怯えてしまうようだ


「さっさと成仏させちまうか?」

「うーん、改心するなら別に強制的に成仏させる必要はないんだがな~」

「改心するタマか? またどっか場所を変えて痴漢するのがオチだろ?」

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