魔鈴心霊相談事務所始動!
「…………」
「故意ではなかったのでしょう? 早めに謝った方がいいですよ」
ピートとの試合が雪之丞にとって不本意なのは変わらないが卑怯な勝ち方をしたのは確かで、そんな自分が見舞いに行っていいのか雪之丞は分からないでいた
しかし未来でピートを知る魔鈴としては、変に関係が拗れる前に早め和解させる必要を感じている
魔鈴や横島の介入で変わった歴史なのだから、せめて和解までは責任を持ちたいのだ
「忠夫さんが帰って来たら一緒に行きましょう。 昨日の事件は雪之丞さんの功績も確かですしね」
結局雪之丞は魔鈴に押される形で、ピートの見舞いに行く事を承諾した
それは女性の押しに微妙に弱いという雪之丞の性格もあるが、やはり魔鈴から感じる強さが自分より格上だと感じる事も関係ある
何気ない動きで雪之丞は魔鈴がかなりの実力だと見抜いていた
(本当に不器用な人ですね)
一方魔鈴は、自分の知らない頃の雪之丞を複雑な思いで見つめている
魔鈴にとって雪之丞は最も信頼出来る仲間であり、魔鈴が公式に弟子としたただ一人の人間である
その強さは相変わらずだが、あの頃よりも脆さや危うさを感じてしまう
横島が昨日の試験でわざわざ歴史の流れを変えてまで雪之丞にこだわった理由が、魔鈴にはわかった気がした
その後魔鈴はアパートの方の掃除をしつつ横島の帰宅を待ち、帰宅後に三人で唐巣の教会に向かう
「フルーツは解るが、何で見舞いに米やら味噌やら買い込むんだ?」
途中に店で見舞いに持って行くフルーツを買ったまではいいが、スーパーにも寄って米や味噌や野菜などの食料品を買い込む横島と魔鈴に雪之丞は若干不思議そうである
夕飯の材料なら帰りに買うべきだと思ったのだろう
「ああ、これは神父への差し入れだよ。 あの人放っておくと食べ物に困って倒れるんだ。 今回は世話になったから差し入れをな」
僅かに苦笑いを浮かべながら説明する横島だが、雪之丞はいまいちピンと来ないらしい
まあ日本でもトップクラスの唐巣神父が食べ物にも困るほどの生活だとは知らないようだ
結局横島と雪之丞が重い物を持ち、魔鈴も両手に荷物を抱えたままの三人は唐巣の教会を尋ねていく
「こんちは」
「君達か、ちょうどよかった。 これから君のところに行こうと思ってたんだ」
教会を尋ねた横島達の荷物に唐巣は少し驚くが、そこには触れずに昨日の件で話があったと告げる
「その前に、これ俺達から差し入れとピートの見舞いです」
お見舞い用のフルーツはともかく、大量の食料に神父は渇いた苦笑いを浮かべるしか出来なかった
横島自身も決して裕福ではないはずなのに、まさか食料の差し入れを貰うとは思わなかったのだろう
「えっと……、これほど貰う訳には……」
「事務所立ち上げの件や雪之丞の件の諸々を含めたお礼です。 現金だと多分受け取って貰えないでしょうしね」
丁重に断ろうとしていた唐巣だが、それを見越した横島により半ば強引に食料を渡されてしまう
現金ならば絶対受け取らない唐巣だが、食料などの形にすれば受け取るのだ
「ピートは大丈夫ですか? めぐみはヒーリングも得意なんですぐに良くなりますよ」
「ああ、傷の方ははもういいようだ。 霊力の回復と休息も含めて二、三日休めば大丈夫なようだ」
以前と微妙に態度が変わった横島に僅かに戸惑う唐巣を尻目に、横島はピートの部屋へと入っていく
「故意ではなかったのでしょう? 早めに謝った方がいいですよ」
ピートとの試合が雪之丞にとって不本意なのは変わらないが卑怯な勝ち方をしたのは確かで、そんな自分が見舞いに行っていいのか雪之丞は分からないでいた
しかし未来でピートを知る魔鈴としては、変に関係が拗れる前に早め和解させる必要を感じている
魔鈴や横島の介入で変わった歴史なのだから、せめて和解までは責任を持ちたいのだ
「忠夫さんが帰って来たら一緒に行きましょう。 昨日の事件は雪之丞さんの功績も確かですしね」
結局雪之丞は魔鈴に押される形で、ピートの見舞いに行く事を承諾した
それは女性の押しに微妙に弱いという雪之丞の性格もあるが、やはり魔鈴から感じる強さが自分より格上だと感じる事も関係ある
何気ない動きで雪之丞は魔鈴がかなりの実力だと見抜いていた
(本当に不器用な人ですね)
一方魔鈴は、自分の知らない頃の雪之丞を複雑な思いで見つめている
魔鈴にとって雪之丞は最も信頼出来る仲間であり、魔鈴が公式に弟子としたただ一人の人間である
その強さは相変わらずだが、あの頃よりも脆さや危うさを感じてしまう
横島が昨日の試験でわざわざ歴史の流れを変えてまで雪之丞にこだわった理由が、魔鈴にはわかった気がした
その後魔鈴はアパートの方の掃除をしつつ横島の帰宅を待ち、帰宅後に三人で唐巣の教会に向かう
「フルーツは解るが、何で見舞いに米やら味噌やら買い込むんだ?」
途中に店で見舞いに持って行くフルーツを買ったまではいいが、スーパーにも寄って米や味噌や野菜などの食料品を買い込む横島と魔鈴に雪之丞は若干不思議そうである
夕飯の材料なら帰りに買うべきだと思ったのだろう
「ああ、これは神父への差し入れだよ。 あの人放っておくと食べ物に困って倒れるんだ。 今回は世話になったから差し入れをな」
僅かに苦笑いを浮かべながら説明する横島だが、雪之丞はいまいちピンと来ないらしい
まあ日本でもトップクラスの唐巣神父が食べ物にも困るほどの生活だとは知らないようだ
結局横島と雪之丞が重い物を持ち、魔鈴も両手に荷物を抱えたままの三人は唐巣の教会を尋ねていく
「こんちは」
「君達か、ちょうどよかった。 これから君のところに行こうと思ってたんだ」
教会を尋ねた横島達の荷物に唐巣は少し驚くが、そこには触れずに昨日の件で話があったと告げる
「その前に、これ俺達から差し入れとピートの見舞いです」
お見舞い用のフルーツはともかく、大量の食料に神父は渇いた苦笑いを浮かべるしか出来なかった
横島自身も決して裕福ではないはずなのに、まさか食料の差し入れを貰うとは思わなかったのだろう
「えっと……、これほど貰う訳には……」
「事務所立ち上げの件や雪之丞の件の諸々を含めたお礼です。 現金だと多分受け取って貰えないでしょうしね」
丁重に断ろうとしていた唐巣だが、それを見越した横島により半ば強引に食料を渡されてしまう
現金ならば絶対受け取らない唐巣だが、食料などの形にすれば受け取るのだ
「ピートは大丈夫ですか? めぐみはヒーリングも得意なんですぐに良くなりますよ」
「ああ、傷の方ははもういいようだ。 霊力の回復と休息も含めて二、三日休めば大丈夫なようだ」
以前と微妙に態度が変わった横島に僅かに戸惑う唐巣を尻目に、横島はピートの部屋へと入っていく