香港編
「綺麗ですね」
令子達との話し合いを終えた横島と魔鈴は、そのまま香港名物の夜景スポットを訪れていた。
香港に到着以来ずっとメドーサの動向を探ったりと仕事をしていた横島と魔鈴だが、この日の夜は天気が良かったのでちょっと観光に来たらしい。
実はホテルを出る前に雪之丞やピート達も誘ったのだが、気を使ったのか来なかったのである。
「実際に来ると迫力が凄いな」
「あら、美神さんとは来なかったんですか?」
魔鈴にとっては未来を含めても始めての香港なので楽しそうだが、横島も香港の夜景が始めてだと言うと少し意外そうな表情をした。
「美神さんはどっか行っても、観光とかあんまりしないからな」
「出来れば純粋に観光で来たかったですね……」
周りには観光客やカップルが多く、様々な言語による会話が聞こえてくる。
横島と魔鈴は寄り添うように百万ドルとも言われる夜景を静かに見つめるが、自分達の居なくなった未来のことや間近に迫ったメドーサとの対決などが心を騒がせてしまう。
もしこれが未来の世界で大切な者達と普通に旅行として香港に来れたならばどれだけ幸せだったろうと思うと、どれだけ綺麗な夜景も素直に喜べない。
まあそれでも希望を絶やさずにいつの日かみんなで笑顔で再会出来る日を信じて、今日という日を生きるしか二人には出来なかった。
「あっ……」
それはしばらく夜景を見ていた横島と魔鈴が帰ろうとした時のこと。
横島と横島に甘えるように腕を組み寄り添う魔鈴は、一人で夜景を見に来ていたらしい令子とピートを半ば無理矢理引っ張って来たエミと同時に偶然ばったり会ってしまう。
まるでハモったように言葉が重なる一同には、当然気まずい空気が流れる。
「あらおたく達も来てたのね」
「はい、今夜は天気が良かったので……」
横島は嫌な予感を感じてその場から逃げ出そうとするが、ニヤリと意味ありげな笑顔を浮かべたエミが横島と魔鈴に話し掛けて来た。
「横島も随分マシな男になったわね。 今だったら食事くらい付き合ってあげてもいいワケ。 やっぱり男は女で変わるのね」
偶然会ったことで一番楽しそうなのはエミであり、彼女はここぞとばかりに最近の横島を褒めて魔鈴を評価する。
もちろんエミは横島や魔鈴を褒めたい訳ではなく、相対的に令子を落としたいのは明らかだ。
「どうせそのうち泣きを見るわよ。 横島の本性なんて知れてるもの」
エミの安っぽい挑発に令子は当初我慢しようとしたらしいが、無関係のエミにあからさまに勝ち誇った視線を送られると我慢出来なかったらしく横島と魔鈴に対しキツイ言葉をぶつける。
正直横島と魔鈴はエミの挑発には無関係なのだが、話の内容が横島なだけにそう答えざる負えなかったのだろう。
「元従業員とはいえ、人の悪口を言うのはどうかと思いますよ。 それに本性と言うならば少なくとも恋人である私の方が知ってます」
令子の攻撃的な言葉に魔鈴は穏やかな表情で横島に腕を絡めたままで反論するが、それがまた令子にとっては面白くなく怒りを倍増させる。
横島はわざわざ反論しなくてもいいのにと思うが、魔鈴は昔からこの手の侮辱には素直に引き下がらなかった。
令子達との話し合いを終えた横島と魔鈴は、そのまま香港名物の夜景スポットを訪れていた。
香港に到着以来ずっとメドーサの動向を探ったりと仕事をしていた横島と魔鈴だが、この日の夜は天気が良かったのでちょっと観光に来たらしい。
実はホテルを出る前に雪之丞やピート達も誘ったのだが、気を使ったのか来なかったのである。
「実際に来ると迫力が凄いな」
「あら、美神さんとは来なかったんですか?」
魔鈴にとっては未来を含めても始めての香港なので楽しそうだが、横島も香港の夜景が始めてだと言うと少し意外そうな表情をした。
「美神さんはどっか行っても、観光とかあんまりしないからな」
「出来れば純粋に観光で来たかったですね……」
周りには観光客やカップルが多く、様々な言語による会話が聞こえてくる。
横島と魔鈴は寄り添うように百万ドルとも言われる夜景を静かに見つめるが、自分達の居なくなった未来のことや間近に迫ったメドーサとの対決などが心を騒がせてしまう。
もしこれが未来の世界で大切な者達と普通に旅行として香港に来れたならばどれだけ幸せだったろうと思うと、どれだけ綺麗な夜景も素直に喜べない。
まあそれでも希望を絶やさずにいつの日かみんなで笑顔で再会出来る日を信じて、今日という日を生きるしか二人には出来なかった。
「あっ……」
それはしばらく夜景を見ていた横島と魔鈴が帰ろうとした時のこと。
横島と横島に甘えるように腕を組み寄り添う魔鈴は、一人で夜景を見に来ていたらしい令子とピートを半ば無理矢理引っ張って来たエミと同時に偶然ばったり会ってしまう。
まるでハモったように言葉が重なる一同には、当然気まずい空気が流れる。
「あらおたく達も来てたのね」
「はい、今夜は天気が良かったので……」
横島は嫌な予感を感じてその場から逃げ出そうとするが、ニヤリと意味ありげな笑顔を浮かべたエミが横島と魔鈴に話し掛けて来た。
「横島も随分マシな男になったわね。 今だったら食事くらい付き合ってあげてもいいワケ。 やっぱり男は女で変わるのね」
偶然会ったことで一番楽しそうなのはエミであり、彼女はここぞとばかりに最近の横島を褒めて魔鈴を評価する。
もちろんエミは横島や魔鈴を褒めたい訳ではなく、相対的に令子を落としたいのは明らかだ。
「どうせそのうち泣きを見るわよ。 横島の本性なんて知れてるもの」
エミの安っぽい挑発に令子は当初我慢しようとしたらしいが、無関係のエミにあからさまに勝ち誇った視線を送られると我慢出来なかったらしく横島と魔鈴に対しキツイ言葉をぶつける。
正直横島と魔鈴はエミの挑発には無関係なのだが、話の内容が横島なだけにそう答えざる負えなかったのだろう。
「元従業員とはいえ、人の悪口を言うのはどうかと思いますよ。 それに本性と言うならば少なくとも恋人である私の方が知ってます」
令子の攻撃的な言葉に魔鈴は穏やかな表情で横島に腕を絡めたままで反論するが、それがまた令子にとっては面白くなく怒りを倍増させる。
横島はわざわざ反論しなくてもいいのにと思うが、魔鈴は昔からこの手の侮辱には素直に引き下がらなかった。
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