香港編

その後契約してすぐに調査に取り掛かる魔鈴だったが、問題になりそうな原因もなく調査は二時間ほどで終了する

途中依頼人に一つ一つ説明しながら調査するが、これは依頼人が望めばいつでもしてることだった

そして肝心の除霊だが、依頼人が拍子抜けするほどあっさりと終わる

一応霊視ゴーグルで依頼人に悪霊を確認させる念の入れようだったが、霊障の被害が少ない依頼はこういった確認作業を念入りにすることもよくあることなのだ

令子やエミが扱うような霊障の被害が大きな依頼や一般人にも見える悪霊の依頼は逆に危険なので確認をしないし確認の必要もないのだが、被害があるかないか判断が難しい依頼は確認作業も慎重なのが一般的だった

さて除霊を終えた後は陰気払いの為の掃除を行うが、魔鈴は同時に陰気を溜めないようにする方法も伝授していく

魔鈴の邪気払いの掃除は一応魔法技術の一端であるが、通常の掃除や日常生活の仕方によっても邪気は多少だが払われ溜まらなくなる

そんな方法を教えるが基本的にはよくある掃除方法の一つであり、空気の入れ換えや日中部屋に太陽の光を入れることなど割と普通の内容であった

特別トラブルもなくあっと驚くようなドラマも起きないが、それが普通の依頼である



一方香港に到着した令子はさっそく調査を始めたが、風水師が何人か行方不明になってること以外は掴めてなかった

香港に土地勘がある訳でもないし知り合いがいる訳でもない令子では、やはり調査が簡単に進むはずがない

まして勘九朗もそうそうドジを踏むはずはなく令子には似合わぬ地道な調査になっている


「あのオバハン達なにする気かしらね」

今回の令子の目的はあくまでも調査であり、メドーサが何をしようとしてるのかを調査する為であった

まあ令子としては小竜姫から貰った活動資金に余裕もあるし、派手に動いて一気に情報を掴みたい気持ちはあるがそれは小竜姫に禁止されている

あくまでも極秘での調査をとの要望だけに令子はそれを守り地道な調査をしていた


「次に行方不明になりそうな相手を探した方が早いかもね」

この時令子は行方不明になった風水師が、今も生きてる可能性は低いと考えていた

そもそもメドーサクラスの魔族が人間を必要とする理由は限られている

前回のGS試験のように手駒にするか、何かの目的により必要かのどちらかの可能性が高い

さすがに前回GS試験で失敗したことを日本から近い香港ではやらないだろうし、何より狙われたのが風水師な点が令子は気になっていた


「風水師って自然の力を扱うのに特化した霊能者なのよね~ なんか良からぬことを企んでそうな……」

もし仮に狙いが風水師の技術ならばまだ生きてる可能性はあるが、令子はメドーサの性格上人間の技術を使うとは思えなかった

となると何が必要かは自ずと限られてくる


相変わらず勘で物事を判断して進める令子だが、その勘が的を獲てるのだから流石としか言えないだろう

令子はメドーサが欲してるのがイケニエではと睨んでいた



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