香港編

一方美智恵が帰って以来しばらく平和だった美神事務所だが、この日は微妙な空気が事務所内を支配していた


「人探しはGSの仕事じゃないんですけど……」

この日突然美神事務所にやって来た小竜姫は令子に仕事を頼みたいと言い出したまではよかったが、場所が香港で目的が行方不明になった風水師の事件を調べることだと言われると令子は複雑そうな表情を浮かべてしまう


「無論ただの行方不明ではありませんよ。 香港に鎌田勘九朗らしき人物が現れたとの報告があるのです。 黒幕はおそらくメドーサでしょう」

微妙な表情の令子に小竜姫は前回のGS試験に続きメドーサの事件の可能性が高いと告げると令子の表情は真剣になる

どうやら小竜姫は令子へ依頼する道を選んだようだった


「またあのオバハンなのね……」

GS試験に続きメドーサ絡みの依頼が来た令子は、メドーサに対し嫌そうな顔は見せるものの乗り気なようでもある

危険と隣り合わせのなのだろうが高報酬な依頼が彼女は好きなのであった


「OK、受けるわ。 でも小竜姫様が一番に私に依頼を持って来るのは少し意外ね。 先生や魔鈴の方に行くかと思ったわ」

「唐巣さんも考慮はしたのですが、少々危険な依頼ですので。 魔鈴さんは実力がイマイチ読めませんし……」

依頼をあっさりと引き受けた令子だったが、彼女は小竜姫が唐巣や魔鈴に依頼しなかったことが若干不思議だったらしい

ただ小竜姫としてはメドーサが関わる以上は、唐巣より令子の方が機転が利いて上手く立ち回れると考えたようだ

魔鈴に関しては判断する実力を知らない以上、現状だと令子の方が確実だと判断したようである


「あの女、なかなかやるわよ。 かなり危ない魔法も使えるしね」

「あら、美神さんが彼女と仕事をしたのですか?」

依頼の話も終わり世間話程度の話をしていた二人だが、話は魔鈴の実力に移っていく

令子が死津喪比女の時の魔鈴の魔法を小竜姫に告げると、流石に小竜姫も驚きの表情を見せる


「そうですか。 しかしメドーサが相手では不利ですね。 彼女が術を使うまでメドーサを抑えるのは横島さん達では不可能でしょう」

令子から死津喪比女の時の横島や魔鈴の戦いを聞いた小竜姫だが、それでも現状では令子が上だと思っていた

まあ単純な霊力ならば令子より魔鈴が高いだろうと見ているが、強力な魔法の発動にはそれなりの時間が必要なのは確かである

その時間を稼ぐのが横島や雪之丞ならば、メドーサには勝てない可能性が高い


(ただ彼女ならばまだ奥の手を隠してる可能性もありますが……)

現状では魔鈴ではメドーサに不向きなのは確かだが、小竜姫はまだ魔鈴が何か隠してると見ている

しかし小竜姫はそれを暴きたいとは思わないし、あるかないか分からない奥の手に期待するつもりもない

イマイチ実力が読めず隠す意図も掴めない魔鈴よりは、現状では令子の方が小竜姫は堅実だと判断したようだった


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