母からの伝言

「ねえ、次はあれをお願い」

そんな歴史の変化は横島の元にも訪れていた

授業が終わった横島は早々に帰ろうとしたのだが一部の女子に捕まり、ゲームセンターへ引っ張られていたのである

どうしても欲しい景品があるらしく横島に半ば無理矢理頼んで来たのだ


「お前らさ~」

いい加減新しい人間関係には慣れて来た横島だが、どこかに抵抗があるのも確かだった


(二度目ってのも良し悪しだな)

二度目の学校生活は以前と全く違う形になり上手くいってるが、同時にどうしても過去の記憶が蘇ってくる

未来ではほとんど交流がなかった女子と割と親しくなった現状に、言葉に言えない不信感が消えないままだったのだ

まあ楽しいか楽しくないかで言えば楽しいし未来のように嫌われるよりはマシだが、ハーピーの事件が起きてる時に無関係なゲームセンターに居る状況には歴史の難しさも感じてしまう


「雨止まないね」

「このままカラオケでも行こうよ。 そのうち雨上がるわよ」

UFOキャッチャーやプリクラなどで騒いでいた女子達だが、小遣いには限界がありゲームセンターは少々お金がかかり過ぎる場所だった

予報では夕方には止むはずの雨がなかなか止まない現状に、彼女達はカラオケに行くことになりついでに誘われた横島も同行することになる


(まあ、いいか。 どっちにしても俺が首突っ込む訳にいかないしな)

カラオケに誘われた横島は少し悩むが、どうせなら全くオカルトと無関係な一日を過ごした方がいいかもしれないと思う

何処かの時代の美智恵に見張られてる可能性も否定出来ず、欺くなら徹底的にやるべきかとも考えたのだ


(それにめぐみとカオスで手に余る訳ないか……)

ハーピーがいかに魔族とはいえ現状の魔鈴とカオスならば問題ないレベルだった

まあ魔鈴が狙われてるなら危険な相手だが、狙われてるのは令子な訳だし……

結局横島は女子達とカラオケに行くことになる



「ハーピーが戻って来たなんて……」

一方美神事務所では再び過去から来た美智恵がハーピーの件を聞き頭を抱えていた


「いったい何がどうなってるの? いい加減きちんと説明してよね」

「私も詳しいことは分からないのよ。 ただ魔族が時間移動能力者を狙ってること以外はね」

降って湧いたような厄介事に令子は面倒そうに事情を尋ねるが美智恵は多くを語らず、自分にも詳しく分からないと告げるだけである


「そもそも時間移動能力がバレたのはママなんでしょ? アイツを退治して帰ってよ」

「ハーピーが生きて戻って来た以上、今回退治してもいずれ次が来るわよ。 貴女は自分の力で立たなければならないわ」

帰る前に責任持ってハーピーを退治して帰れと言う令子に、美智恵は自分の力でやらねば意味がないと言い切る

その真意は不明であり彼女が現時点で何処まで知ってるかは不明だが、幼い頃から魔族と戦い生きて来た美智恵は現状の令子の甘さが気になっていたのかもしれない



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