母からの伝言

「誰がダメな二代目だって! よけられなきゃ跳ね返せばいいだけよ。 私がママより弱いだなんて思わないことね!」

一方死んだフリをしていた令子はハーピーの気配を頼りに不意打ちの一撃を繰り出すが、残念ながらハーピーには当たらず距離を置かれてしまう

本当ならばもっと引き付けたいところなのだろうが、あまり近付くと生きてるとばれる可能性もある

神通棍の届くギリギリのタイミングで動いた令子だったが、ハーピーは驚きはすれど見事に避けていた

令子はそのまま驚くハーピーに追撃するが、ハーピーはまともに相手せずに逃げてしまう

まあハーピーの能力から考えれば当然の行為だった


「強化セラミックのボディアーマーを着込んで居なかったら…… おっかない武器使うじゃないの」

ハーピーに逃げられたことに顔をしかめる令子は、相手の厄介さに気づき即行動に移す


「おキヌちゃん、私よ。 いいよく聞いて! 窓のカーテンを全て閉めて、窓から離れた場所に隠れてなさい! 何があっても誰が来ても相手にしちゃダメよ!」

次に狙われるのは幼い自分だと気付いた令子はすぐに車で戻ろうとするが、その前に電話でおキヌに対策を伝えねばと思い事務所に電話をしていた

未来では慌てて事務所に戻った令子だったが、ふとハーピーが人工幽霊の結界を越えれない可能性に気付いたらしい

無論電話で要点を伝えるとすぐに令子は事務所に急ぐが、この時の機転が大きく影響することになる



「歴史と違う行動をしましたね……」

そして歴史にない令子の行動に魔鈴は驚き考え込む

確かに人工幽霊の結界は強力でハーピーには越えれないだろうし、もし魔鈴が令子の立場でも同じようにおキヌに指示を出しただろう

しかし歴史と違う行動には原因が存在するはずであった


(忠夫さんが辞めた影響なんでしょうね)

考えられる原因はやはり横島であり、横島が去ったことにより令子の心理的な面が随分変わった影響の可能性が高い

別におキヌでは力不足だとは言わないが、記憶を失ったおキヌでは未来の横島とおキヌの二人分の役割が無理なのは確かなのだ

まあ実際はほんの僅かな心理的な影響により気付いただけなのだろうが……


(やはり歴史は似たような展開になるのかも知れませんね)

横島の存在が消えた令子がこの事件をどう乗り越えるのか魔鈴はいろいろ考えていたが、結局は自然に任せると似たような展開になる可能性が高いのだろうと思う


(私達が歴史を変えるには、もっと力が必要なのかも知れません)

結論から言えば歴史を変えること自体は可能なのだ

問題は何処まで変えるかと、どの程度の力が必要かということである

極論を言えば今のうちに令子が死ねばアシュタロス戦は回避される可能性もあるが、魂の結晶があるうちは未来に伸びただけと言えるだろう

今の時点で結晶を砕けばどうなるかは読めないが、恐らく別の形でアシュタロスの反乱が起きる可能性が高い

つまり魔鈴は、自分達が変えるべき未来に必要なだけの力がどれくらいなのかを考えていた

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