母からの伝言

その後カオスと魔鈴は研究や仕事に戻り、ハーピーの監視をしていたのは雪之丞だった

カオスも魔鈴も一晩中ハーピーを見張るほど暇ではないし、雪之丞や横島を含めて交代しながら監視することになる

雪之丞自身は事情を全く理解してないが、監視カメラのモニターを見ているだけの暇な仕事な為に問題はないようだ


「様子はどうだ?」

「何度か事務所の回りをウロウロしてるだけだよ。 結界に入れないみたいだな」

その後学校から帰宅した横島は暇そうにモニターを見ている雪之丞に声をかけるが、今のところ歴史に大きな変化はない

ホッとした横島は記憶にあるハーピーの姿を見ると僅かに複雑そうな表情を見せる


「あいつは強いのか?」

そんな横島に雪之丞はハーピーの強さを尋ねる

やはり雪之丞の判断基準は強いか弱いかの二者択一なのだろう


「力自体はそんなに強くないよ。 ただあいつは遠距離攻撃型だからな。 離れた場所から気付かれる前に相手を攻撃するんだよ」

「まるでスナイパーだな」

ハーピーのことを説明する横島に流石の雪之丞も表情を歪める

基本的に真正面からのガチンコ勝負を好む雪之丞には苦手な相手だった

スナイパーのように離れた場所から攻撃されると雪之丞に反撃の手段はない訳だし……


「ああ、あんまり頭が良くないから助かるけど、あいつの能力で頭を使われると苦しいだろうな」

記憶の中のハーピーとの戦いを思い出す横島は、ハーピーが冷静で頭がいい魔族だったら自分達は死んでいたと思っている

まあ美智恵の存在もありそんなに単純な話ではないが、ハーピーが横島や令子の前に姿を見せずに最後まで冷静に遠距離からの攻撃に終始していれば、この時点での令子と横島にはどうしようもなかったのだ


「魔族にもいろいろいるってか」

横島の話に雪之丞は以前横島が語った魔族にも個性があるとの話を思い出す

雪之丞は直接戦うことを好み力を欲するが、相手が直接戦うつもりがないならばある意味どうしようもなかった


「そういや銃を仕入れてたよな。 ちょっと練習してみるか」

ハーピーの戦い方に思うところがある雪之丞に横島は銃の練習を勧める

実は最近魔鈴がいくつかの銃を仕入れていたのだ

令子はどうだか知らないが、GSは許可さえ取得すれば銃器の購入も可能なのである

無論使用や管理にはかなり厳しい制限があるが、対魔族用に銀の銃弾の銃を使用するのはGSではよくあることだった

死津喪比女絡みで令子から貰ったお金で僅かに購入したらしい


「こんな物持ち歩いたら捕まらないか?」

「GS免許がないと捕まるよ。 免許な試験があるんだしそれ相応の利点もあるからな」

横島はモニターでハーピーの姿を監視しつつ雪之丞に銃の扱い方を教えていく

かつての横島は安全装置と引き金くらいしか知らないで撃っていたが、素人が簡単に当たるはずもない

雪之丞が銃を使うかは不明だが、GSをする以上は必要な基礎スキルだった



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