母からの伝言

一方帰宅した横島は雪之丞と共に霊力を扱う基礎的な修行を始めていた

過去に来て落ちてしまった霊力値を鍛えねば、この先横島は再び大切なモノを失うかもしれないのだ

まあ横島もアシュタロスを相手に力で対抗しようとは全く思ってないが、最低限の力がなくば変わりゆく世界ではどうなるかなど解らない

少なくともメドーサとまともに戦えるだけの霊力値はほしいのである


「相変わらずお前の霊力は凄まじいな」

「これでもかなり落ちたんだよ。 俺とめぐみは普通の人間じゃなくなったからな」

現状でも横島は人の限界は越える程度の霊力があり、雪之丞は若干羨ましそうに見つめる

しかしこの霊力ではメドーサには勝てないし、何より問題なのは切り札の一つが使えないことだった

ちなみに雪之丞には不老不死に関して詳しく説明してない

以前に人間の限界を越える為に純粋な人間ではなくなったとは言ったが、雪之丞は小難しい説明に興味がないようでそれ以上聞いて来なかったのだ


「それでもメドーサには勝てないのか?」

「無理だな。 霊力値が違い過ぎる。 不意打ちなら可能性がない訳でもないけど、不意打ちで倒せるほどメドーサは甘くない」

どうやら雪之丞はメドーサの力をほとんど見たことがないらしい

以前に魔装術を教えていた時もほとんど力を使うことはなかったようなのだ

ある意味知らなかったからこそ雪之丞は一時の感情で裏切る決断が出来たのかもしれないが


「経験や技術じゃ話にならんしな。 俺とメドーサだと、まともに戦わない状況を作らなきゃとても相手にならんよ」

横島と魔鈴は過去に来て以来霊力値の向上をメインに修行しているが、実際どこまで力が上がるかは未知数だった

最低限未来の時の力は取り戻せねば話にもならないのだが、そう簡単に上がるほど甘くはない

不老不死の影響でこの時代の肉体も霊体化して人間の限界は越えたが、魂から霊力を引き出すには現在の霊体を鍛えねばならない

未来と過去の自分が一つになった影響で一から鍛える必要はないが、それでもアシュタロス戦までにどれだけ力を上げれるかは解らなかった


「とんでもない奴と関わったんだな俺は……」

メドーサの力を知ってるようで知らなかった雪之丞は、自分がいかに危険な相手に関わったかシミジミと感じるが後悔してる様子はない

横島の力を見て横島のみならずメドーサをも越えたいと強く決意するその精神力は、すでに横島を越えてるだろう


「もう少し修行すれば妙神山に修行に連れていくから頑張れよ。 お前はまだまだ強くなれるし、小竜姫様ならお前により高みを見せてくれるはずだ」

やる気をみなぎらせ自身の修行に集中する雪之丞に、横島はこれから先のことを少し話していた

遅かれ早かれ雪之丞は魔装術を完成させるのに妙神山に行かねばならないのだ

それに横島や魔鈴は雪之丞に基礎以上の戦闘技術を教えるほど技術を持ってないのである

横島としては早めに雪之丞の妙神山行きを行いたいと考えていた



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