母からの伝言

結局その日の調査はそこまでで終わり横島と唐巣は教会に戻りピート達の調べて来た情報を聞くが、依頼人の夫の勤務態度は真面目で怨まれる要素は無かったらしい

加えてお人よしな性格からか出世コースからは外れていた為社内に問題は無かったという

依頼人をクビにした件は社長からの指示らしく、正直社内ではクビの理由が分からないため疑問の声が上がっていたらしい

続きは唐巣が明日以降調査することになるが、横島達は学校があるため明日の放課後にまたくることになりこの日は帰宅する


「お前犯人知ってるのか?」

そのまま雪之丞と帰宅していく横島だったが、途中雪之丞はずっと感じていた疑問を口にしていた

雪之丞は未来を知る横島がそれとなく犯人に導いてるのかと感じたようなのだ


「いや、この依頼は全く知らんよ。 そもそも俺はこの時代の神父とあまり関わってないからな」

確信を持つように話す雪之丞に、横島は若干苦笑いを浮かべて全く知らないと告げる


「そういや、お前本当は何才なんだ?」

「二十七だよ」

何かと手慣れてる横島が本当は何才なのか気になり尋ねる雪之丞だったが、予想以上に若かったらしく絶句してしまう


「つまり俺はあと十年でお前くらいに成れると……?」

「GSとしての力量や経験はお前の方が上だったよ。 そもそも俺は高校卒業した時にGSを辞めちまったからな」

十年で横島と同格な力を本当に得られるのか半信半疑な雪之丞だったが、GSとしての力量や経験は未来の雪之丞が更に上だと語ると雪之丞は信じられないような表情をしていた

加えて横島が何年もGSですら無かった事実はかなりの衝撃なようである


「理由は長くなるから省くけど、めぐみやお前の除霊には俺もずっと参加してたんだよ。 ただGS免許を返上して素人としてだけどな」

「いや素人ってお前、それはいいのかよ」

横島の語る過去は雪之丞にとって予想とまるで違うモノだった

すでに何度も横島や魔鈴と除霊をしている雪之丞は、てっきり横島が未来で長くGSとして活躍していたと考えていたらしい

まさか免許を返上した横島が除霊に参加してるとは考えつくはずが無かった


「別に違法じゃないよ。 GS試験を受ける前の見習いと一緒で助手をしてただけだからな。 そもそもGS免許は営業免許なんだよ。 霊能力の使用自体は個人の能力であり自由だ。 GS免許を持つ者の監督下で免許がない霊能力が素人として除霊するのは問題があるはずがないだろ」

素人として助手をしていただけだと語る横島はGS免許の仕組みや盲点を説明するが、どう考えてもGS免許の想定してない状況だったことは想像に難しくない

雪之丞からは横島が好き好んで助手をやる意味を全く理解出来なかった


「焦らなくてもお前なら強くもなれるし、一流のGSにもなれるさ。 まあそれ相応の苦労はあるけど……」

理解出来ない話に絶句する雪之丞に横島は希望を持たせるような言葉をかけるが、その道がそれ相応の苦労があると付け加えておく

雪之丞の場合一流のGSになるには、未来のように精神的な覚悟が必要不可欠だった

ただ横島としては別にこのままでもいいのではとも感じているが



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