母からの伝言

さて横島の学校生活だが、相変わらず特に代わり映えのしない日々が続いている

横島を吊るし上げにした三人は相変わらずだが、彼らと関わらないからと言って困る訳ではない

彼ら三人に関してはあれから少し日にちも経過した事で女子の怒りも冷めていたが、基本的には彼らに関わりたくないといった感情のまま落ち着いてしまっていた

露骨に険悪な空気こそ無くなったが、同じ教室内での人間関係が悪化したのは横島の罪なのかもしれない

何はともあれ横島の変化が原因で学校内も未来と違う流れになって来たことは確かだろう

結局横島がいじられキャラなのは変わらないが、いじる相手が女子に変わり横島と魔鈴がネタにされてる現状はある意味横島らしいのかもしれないが


「横島君、最近成績上がってない?」

その日の授業も終わり帰り支度をしていた横島は、ふと不思議そうな愛子に呼び止められていた

二年に進級して間もないこの時期、授業などでは一年の頃の復習などの小テストをしたりしていたのだが横島の成績が思ったよりよかったのだ


「赤点は取らないように勉強はしてるよ。 美神さんとこ辞めてから時間に余裕が出来たしな」

不思議そうな愛子や他数名の女子に横島はそれらしい理由を述べるが、未来での十年間の努力の成果でもあった

ただ英語や国語の成績が上がった反面で理数系はほとんど以前と変わりなく、相変わらず赤点ぎりぎりのラインである

他には家庭科と情報処理も何故か成績が上がってるが、こちらは主要科目ではないためあまり目立ってない


「横島君文系だったんだ……」

似合わないと言いたいのか意外そうな女子達に、横島は苦笑いを浮かべるしか出来なかった

元々横島は文系ではなくただ単にオカルトに絡まない勉強なんてしなかった為に、語学を中心にしか解らなかったただけである

情報処理はカオスの手伝いをしていた時に少し覚えたのでマシだったが、理数係は基本的にほとんど解らなかった


(学校の勉強なんか社会人になれば使わんからな。 まさかまた高校に通うとも思わんかったし)

十年という月日は横島を変えるには十分だったが、必要ない知識を覚えるほど勉強好きになった訳ではない

元々カオス・タマモ・魔鈴が頭脳担当で、横島・シロ・雪之丞は労働担当のようなものだったのだから

横島達も最低限の知識は覚えたが、無論オカルト絡みやGS事務所に必要な知識のみである

学校の勉強は解らなくて当然だった


「理数系ヤバくない?」

「ほとんど学校に来て無かったし、学校に来ても寝てたからな。 これで成績が良ければ学校に来る必要無くなるよ」

予想外にいい文系の成績に驚く女子達だが、反面で理数系の壊滅的な成績には何とも言えない表情になる

よくこれで二年に進級出来たとみんな不思議そうであった


「こうしてみるとGSってギャンブルな仕事よね。 免許取れたからよかったけど、取れなかったら怖いわね」

どうも女子達はGS免許を取得する為に横島が苦労したと考えてるようで、その苦労を考えるとGSも楽ではないと思ったらしい

横島の真実を知るピートが余計なことを言わない甲斐もあって、横島のことをクラスメート達はますます美化して考えていた



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