スリーピング・ビューティー!!
次の日になり検査が続くおキヌを氷室父に任せた令子は、諸手続きの為に事務所に戻っていた
おキヌの知り合いに関しては唐巣に事情の説明と口裏合わせを頼んでいたが、事務所の近所の人間には令子が自分で行く必要がある
事務所の近所は雑居ビルなどが多く民家でない為基本的にはほとんど人の交流はないが、おキヌは近隣のビルの管理人や警備員と顔見知りで挨拶なども欠かさなかった
実は幽霊のおキヌの方が令子よりも交遊関係が広く顔見知りが多かった事実は、唐巣をも驚かされている
近くのスーパーや商店街では顔見知りが多く、令子の知らなかったおキヌの知人が次々に発覚したのだ
結局唐巣はおキヌの知人から知人を紹介してもらう形で、次々に事情を話し協力を仰ぐ日々になっていた
「何か用かしら?」
そんな近所への説明に走り回っていた令子の元に何故か魔鈴がやって来る
死津喪比女に関わる魔鈴の用件はもう終わったはずであり、忙しい時に来た魔鈴に令子は露骨に嫌そうな表情を見せるが魔鈴は気にする様子はない
「これを渡しておこうと思いまして」
魔鈴が令子に渡したのは一つの指輪である
微かに霊力を感じる指輪に令子の表情が真剣なモノに変わり指輪を確認するが、令子の知るアイテムではない
「それは肉体と霊体とのズレを修正する魔法がかけてあります。 完全にズレを修正することは不可能ですが、それでも効果は保証します」
訝しげに指輪を見る令子に魔鈴は指輪の効果を話すが、それはおキヌの為の指輪だった
「まさか昨日の今日でこんな物作ったの!?」
「ええ、カオスさんにも協力して頂きましたので」
昨日帰京したのにも関わらず、次の日の夕方には魔法の指輪を作り持って来た魔鈴に令子は驚きを通り越して呆れ顔である
技術の次元が違うのは今回の一件で理解したが、一晩で魔法の指輪を作った魔鈴には最早呆れるしかなかったのだろう
「それでしばらく様子を見て下さい。 微調整が必要ならば改めて来ますので」
「待ちなさい」
用件も終わり早々に帰ろうとした魔鈴だったが、何故か令子に呼び止められる
「これで買うわ」
デスクの引き出しに手を伸ばした令子は、小切手に一億の金額を書いて魔鈴に渡す
「足りないのかしら?」
「いえ、私は売るつもりで来た訳ではないので……」
突然渡された小切手に流石の魔鈴も驚きの表情を見せるが、令子は足りないのかと尋ねて追加する仕種をする
「貴女が横島クンから何を聞いたのか知らないけど、私は貴女に借りを作る気はないわ。 指輪の情報の秘匿を含めると値段はそんなものでしょう?」
どうせ横島からいい話を聞いてないのだろうと若干不機嫌さが増す令子だが、魔法の指輪に関して他言しない約束を加えて一億が妥当だと判断したらしい
何よりこれ以上魔鈴に借りを作りたくないとの想いが強かった
タダより高い物はないとはよく言うが、魔鈴に個人的な借りを作るのは令子のプライドが許さなかったのかもしれない
おキヌの知り合いに関しては唐巣に事情の説明と口裏合わせを頼んでいたが、事務所の近所の人間には令子が自分で行く必要がある
事務所の近所は雑居ビルなどが多く民家でない為基本的にはほとんど人の交流はないが、おキヌは近隣のビルの管理人や警備員と顔見知りで挨拶なども欠かさなかった
実は幽霊のおキヌの方が令子よりも交遊関係が広く顔見知りが多かった事実は、唐巣をも驚かされている
近くのスーパーや商店街では顔見知りが多く、令子の知らなかったおキヌの知人が次々に発覚したのだ
結局唐巣はおキヌの知人から知人を紹介してもらう形で、次々に事情を話し協力を仰ぐ日々になっていた
「何か用かしら?」
そんな近所への説明に走り回っていた令子の元に何故か魔鈴がやって来る
死津喪比女に関わる魔鈴の用件はもう終わったはずであり、忙しい時に来た魔鈴に令子は露骨に嫌そうな表情を見せるが魔鈴は気にする様子はない
「これを渡しておこうと思いまして」
魔鈴が令子に渡したのは一つの指輪である
微かに霊力を感じる指輪に令子の表情が真剣なモノに変わり指輪を確認するが、令子の知るアイテムではない
「それは肉体と霊体とのズレを修正する魔法がかけてあります。 完全にズレを修正することは不可能ですが、それでも効果は保証します」
訝しげに指輪を見る令子に魔鈴は指輪の効果を話すが、それはおキヌの為の指輪だった
「まさか昨日の今日でこんな物作ったの!?」
「ええ、カオスさんにも協力して頂きましたので」
昨日帰京したのにも関わらず、次の日の夕方には魔法の指輪を作り持って来た魔鈴に令子は驚きを通り越して呆れ顔である
技術の次元が違うのは今回の一件で理解したが、一晩で魔法の指輪を作った魔鈴には最早呆れるしかなかったのだろう
「それでしばらく様子を見て下さい。 微調整が必要ならば改めて来ますので」
「待ちなさい」
用件も終わり早々に帰ろうとした魔鈴だったが、何故か令子に呼び止められる
「これで買うわ」
デスクの引き出しに手を伸ばした令子は、小切手に一億の金額を書いて魔鈴に渡す
「足りないのかしら?」
「いえ、私は売るつもりで来た訳ではないので……」
突然渡された小切手に流石の魔鈴も驚きの表情を見せるが、令子は足りないのかと尋ねて追加する仕種をする
「貴女が横島クンから何を聞いたのか知らないけど、私は貴女に借りを作る気はないわ。 指輪の情報の秘匿を含めると値段はそんなものでしょう?」
どうせ横島からいい話を聞いてないのだろうと若干不機嫌さが増す令子だが、魔法の指輪に関して他言しない約束を加えて一億が妥当だと判断したらしい
何よりこれ以上魔鈴に借りを作りたくないとの想いが強かった
タダより高い物はないとはよく言うが、魔鈴に個人的な借りを作るのは令子のプライドが許さなかったのかもしれない