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その後唐巣のツテで六道家の系列病院に運ばれたおキヌはそのまま検査入院することになった

病院長と担当医師のみにおキヌの反魂の術について説明されたが、決して他言しないように六道家から圧力をかけてもらうほど情報には注意している


(少し未来とは違う流れになって来たな)

未来と比べて違いに少し違和感を感じる横島だったが、未来でもおキヌは生き返った後に病院に運ばれ検査はされていたのだ

ただし未来では氷室神社の地元の病院であり、戸籍などの諸手続きは令子がした為に横島は詳しくは知らない


(そういやあ未来でもおキヌちゃんが生き返った件は全く騒がれなかったな)

未来で令子がどうやったのか知らない横島だったが、おキヌの存在が全く世間に騒がれなかった事から考えると情報が隠匿された可能性は高かった

今回は令子の代わりに唐巣が六道家に頼み込んで情報の隠匿をわざわざお願いしており、問題の危険性が分かる形となっている


「反魂の術は成功したようじゃな。 三百年の時を越えて生き返ったなど素晴らしいとしかいいようがない。 だが問題はある」

東京に戻って来て病院で検査を受ける傍らでカオスも呼ばれおキヌを霊的に調査が行われたが、カオスが興奮するほど反魂の術は成功していた


「問題とは?」

「霊体と肉体の同調が良くない。 そもそもおキヌは霊体が強すぎるのじゃ。 少なくとも霊体と肉体が慣れるまでは何かしらの手を打たねばならんのう」

カオスの言葉に唐巣や令子達の表情が少し険しくなる

三百年ぶりに生き返った弊害が全くないのは有り得なく、この程度の問題でよかったのだが対策は必要だった


「日常生活に問題があるのでしょうか?」

唐巣達の険しい表情に恐る恐る質問をしたのは氷室父である

実はおキヌを心配して彼は東京まで来ていたのだ


「大きな問題はないとは思うが、前例がないだけに断言は出来ん。 故に不測の事態に備える必要はあるじゃろう」

カオスは未来を知るが故に、おキヌの霊体と肉体の同調の問題は解決しなければならないと考えている

加えて未来とは僅かに違う形で復活した結果を考えると、おキヌは東京の令子の元で生活するのが一番だと考えていた

万が一未来ではないような問題が発生する可能性もゼロではないし、魔鈴やカオスの近くに居る方が安全なのは確かなのだ


「美神君……」

「わかってるわ。 私がおキヌちゃんと一緒に暮らすわ。 どのみち霊能者が見守る必要があるみたいだし」

当分は検査入院なのだが、おキヌの戸籍の問題や今後の生活は考えなくてはならない

未来ではおキヌを氷室家な預けた令子だったが、カオスの言葉によりこの時代では自分が預かることを決意する

まあ令子はカオスがボケてると考えてる為に半信半疑な部分もあるが、医療的にも霊的にも発達した東京が一番なのは理解していた

その後おキヌの戸籍については未来と同じく氷室家で家族として迎えたいという事になり、おキヌは氷室家の養女として戸籍を得ることになる



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