スリーピング・ビューティー!!
その頃おキヌは唐巣達から反魂の術に関して説明を受けていた
令子は生き返って欲しいと言い切っており気持ちは決まっているが、おキヌは迷ったままである
加えて危険性なども説明しなくてはならないし、正直聞けば聞くほど判断に迷ってしまう
「これはおキヌ君の友人である姫様や道士様のせめてもの償いなのだろう。 人々の為に自ら命を捧げた君に幸せになって欲しいと」
危険性や記憶を失う恐さからこのままでいいかと気持ちが傾く中、唐巣は姫や道士の言えなかった想いを代わりに語っていく
「この辺りの歴史を少し調べたが、女華姫様と道士様は氷室神社の建立の他にもいろいろ尽力されている。 死津喪比女により荒廃したこの辺りの村の復興や産業の育成などね。 それに昭和初期までは近くに忍者の里があったそうだ。 私は子孫の方の一人に会って話を聞いたが、かつては地震が起きた際には必ず氷室神社に集まったほど緊密な連携があったらしい」
唐巣が語っていた話は横島や魔鈴が調べた内容より幾分詳しく、横島達より詳しく調べたらしい
町の人々に話を聞いたり実際に忍の隠れ里があったと言われる場合にも行って来たとのことだ
未来と言う情報がない唐巣はより慎重におキヌの件を調べていたのである
「全て君の為なのだと私は思うよ。 遠い未来で君が生き返れる希望を信じて、この辺りの村の再建と発展に尽力を尽くしたのだろう。 せめて故郷の村を残したいとね」
話が終わる頃、おキヌは再び涙を流して一人で考えたいと部屋を後にしていく
きちんとお別れも言えなかった女華姫との思い出を胸に抱えながら……
一方散歩に出た横島は一人で姫と道士の墓に来ていた
特に理由があった訳ではないが、一目見て起きたかったのである
「残す方と残される方はどっちがつらいんだろうな」
「それもまた難しい選択だな。 人はそれぞれ価値観が違う生き物だからな」
死津喪比女を倒したことで姫や道士の未練の一つは消えたのかもしれないが、失った時間は戻らないし二人の苦悩の歴史は消えることはない
かつてルシオラにより残されて自身もやがてタマモやシロ達を残す立場だった横島は、おキヌと姫や道士の想いを察するとどうしていいか分からなくなる
心眼と答えの出ない会話をしていた横島だったが、偶然一人になったおキヌと会ってしまう
「横島さん……」
「まだ悩んでるみたいだな」
顔を見るなり言葉に詰まるおキヌに、横島は僅かに困ったような笑顔を浮かべている
かつて勢いに任せておキヌを生き返らせたのは横島だったが、今の状況はそんな勢いに任せる状況ではないし横島自身もそんなに若くはない
伝えたい事はあるが上手く言葉が出ない二人はしばし沈黙の中で、氷室家の墓を見つめていた
「私……、生きるって素晴らしい事だってずっと思ってました。 普通の女の子のようにお食事をしたり学校行ったりしたいって考えた事もあります。 でも、いざ生き返れるかもしれないって時になったらと怖くなりました」
どれだけ沈黙が続いたかは分からないが、おキヌは自分の中の悩みをそのまま吐き出してしまう
令子は生き返って欲しいと言い切っており気持ちは決まっているが、おキヌは迷ったままである
加えて危険性なども説明しなくてはならないし、正直聞けば聞くほど判断に迷ってしまう
「これはおキヌ君の友人である姫様や道士様のせめてもの償いなのだろう。 人々の為に自ら命を捧げた君に幸せになって欲しいと」
危険性や記憶を失う恐さからこのままでいいかと気持ちが傾く中、唐巣は姫や道士の言えなかった想いを代わりに語っていく
「この辺りの歴史を少し調べたが、女華姫様と道士様は氷室神社の建立の他にもいろいろ尽力されている。 死津喪比女により荒廃したこの辺りの村の復興や産業の育成などね。 それに昭和初期までは近くに忍者の里があったそうだ。 私は子孫の方の一人に会って話を聞いたが、かつては地震が起きた際には必ず氷室神社に集まったほど緊密な連携があったらしい」
唐巣が語っていた話は横島や魔鈴が調べた内容より幾分詳しく、横島達より詳しく調べたらしい
町の人々に話を聞いたり実際に忍の隠れ里があったと言われる場合にも行って来たとのことだ
未来と言う情報がない唐巣はより慎重におキヌの件を調べていたのである
「全て君の為なのだと私は思うよ。 遠い未来で君が生き返れる希望を信じて、この辺りの村の再建と発展に尽力を尽くしたのだろう。 せめて故郷の村を残したいとね」
話が終わる頃、おキヌは再び涙を流して一人で考えたいと部屋を後にしていく
きちんとお別れも言えなかった女華姫との思い出を胸に抱えながら……
一方散歩に出た横島は一人で姫と道士の墓に来ていた
特に理由があった訳ではないが、一目見て起きたかったのである
「残す方と残される方はどっちがつらいんだろうな」
「それもまた難しい選択だな。 人はそれぞれ価値観が違う生き物だからな」
死津喪比女を倒したことで姫や道士の未練の一つは消えたのかもしれないが、失った時間は戻らないし二人の苦悩の歴史は消えることはない
かつてルシオラにより残されて自身もやがてタマモやシロ達を残す立場だった横島は、おキヌと姫や道士の想いを察するとどうしていいか分からなくなる
心眼と答えの出ない会話をしていた横島だったが、偶然一人になったおキヌと会ってしまう
「横島さん……」
「まだ悩んでるみたいだな」
顔を見るなり言葉に詰まるおキヌに、横島は僅かに困ったような笑顔を浮かべている
かつて勢いに任せておキヌを生き返らせたのは横島だったが、今の状況はそんな勢いに任せる状況ではないし横島自身もそんなに若くはない
伝えたい事はあるが上手く言葉が出ない二人はしばし沈黙の中で、氷室家の墓を見つめていた
「私……、生きるって素晴らしい事だってずっと思ってました。 普通の女の子のようにお食事をしたり学校行ったりしたいって考えた事もあります。 でも、いざ生き返れるかもしれないって時になったらと怖くなりました」
どれだけ沈黙が続いたかは分からないが、おキヌは自分の中の悩みをそのまま吐き出してしまう