スリーピング・ビューティー!!

「どう思う?」

「可能性としてはあるのでしょうが、結果はやってみないことには……」

その頃地下の封印の堰からおキヌの遺体が封印されてる場所に移動した一同は反魂の術の成否を考えていたが、なんとも言えないのが現状だった

氷室一家にも事情を話しつつ封印について調査するが、思った以上に環境はいいが反魂の術の成否を判断するのは難しい


(歴史の流れから言えば成功する確率は高いのでしょうけど、そもそもオカルト技術はデリケートなものですからね)

未来を知る魔鈴は唐巣やエミと話しながら調査するが、正直歴史の結果を知らなければ魔鈴なら怖くて実行できないと感じる

まあ反魂の術を使う環境や条件は揃ってはいるが、それは数値化されたモノではないしかなり抽象的な条件だった

そもそも反魂の術ほどになればどんなに条件が揃っても何回かに一回は失敗する

それはオカルト技術や魂に関して研究して来た魔鈴が一番理解していた


「おキヌ君にはつらい決断になるね」

魔鈴やエミと同じく唐巣の顔色もよくない

成功すれば生き返れるが、失敗すればどうなるか分からないのだ

そのリスクだけは伝える必要があると考えている


「神のみぞ知る結果か……」

ポツリと呟いた雪之丞の一言に魔鈴達は険しい表情を崩すことはなかった



「先生、どんな様子?」

重苦しい雰囲気の中調査も終わりこれからどうしようか考えてる頃、ちょうど令子がやって来る


「思った以上に条件は整ってるが、どんなに運が良くても成功確率は五割を切るだろう」

令子が来たことで唐巣は調査結果を伝えてどうするか相談するが、令子の表情に変化はない


「失敗した場合はどうなるの?」

「普通に考えれば現状のまま幽霊で居るだけだろう。 ただし不確定要素が入ればどうなるか検討もつかない」

運が良くて確率が五割という結論をどう受け取るかは判断が分かれるが、令子は顔色一つ変えないままおキヌの遺体がある壁を見つめていた

未来では地震により壁が崩れたが今回は壁が崩れることがなかった為に、今だに壁のままなのだ

道士の仮人格とワンダーホーゲルの情報で場所は確定したが、おキヌの肉体は見れぬままだった


「あの……、よろしければ今晩泊まってゆっくり考えたらいかがですか? 御先祖様の願いでもあるようですし」

会話が途切れ沈黙が辺りを包む中、氷室父は恐る恐る一つの提案をする

正直氷室一家にしてみれば信じられない話の連続だったが、部外者に近いだけに逆に冷静であり少し時間が必要なのは理解していた

結局氷室一家の好意に甘える形で一行は今晩氷室家に泊まることになる



「心眼どう思う?」

「難しいな。 未来を知る分判断が難しい。 死津喪比女に関わる数多の被害は防げた可能性はあるが、その分歴史が変わってるとすれば失敗する可能性も十分にある」

一行が氷室家に移動した後、横島は散歩に行くからと一人神社の中を歩いていた

歴史を知るが故に悩む横島は心眼に相談するが、判断が難しいのは心眼でも変わらない




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