スリーピング・ビューティー!!

「さてと、さっさと片付けないとアイツろくな事しないワケ」

一方準備を再開したエミは特殊な紙に描かれた魔法陣を敷いていた

エミの呪術は根本的なモノとして他者の力を使う魔鈴の魔法と共通する部分もある

まあエミの本格的な呪術は闇の力を使ってるため最悪は本人すらも危険なモノなのだが、呪術に限定すれば魔鈴を越える術を使えるだろう

まあ魔鈴の場合は単純に呪術系の魔法には熱心でなかっただけなのだが……

魔鈴は別に闇の力を使うのが悪いとは全く思わないが、闇や負の力の魔法はイマイチ使い道がなかっただけだったりする

一応呪術も簡単なのは使えるが、正直基礎を習得しただけで実戦で使った事は皆無だった


「かなり強力な陣ですね。 しかしこれだけ強力だと危険では……」

「やっぱり魔法陣が読めるのね。 でも危険って言うならこの仕事はみんな危険なワケ。 それに中途半端な呪術だとアイツには効かないわ」

エミの呪術に使う魔法陣に興味津々な様子の魔鈴だったが、さっと見ただけで魔法陣の仕組みを大まかに理解している

その危険性に魔鈴は思わず声を上げてしまうが、エミはある程度リスクを承知の上で使用するらしい


(呪いの細菌兵器じゃないみたいだな。 相手が特定されなかった影響か?)

エミの呪いにみんなの視線が集まる中、横島は未来との違いに少し戸惑っていた

あの細菌兵器があれば最低限の効果でも死津喪比女を地上に引きずり出せるのだから期待していたのだが、相手が植物だと特定出来なかった影響で違う呪術になったようだ



エミの準備がもう少しで終わろうとしていた頃、突然大地が揺れたかと思うとかなり強い地震が起きてしまう


「なっ!?」

「奴だ。 死津喪比女の仕業だろう。 奴はここの結界を越えれない為に力押しに出たようだ」

突然の地震に令子達は驚き偶然か死津喪比女の仕業か判断出来なかったたが、道士の仮人格はこれが死津喪比女の仕業だと言い切っていた

すでに氷室神社と氷室家の二つの結界の周りには数えきれないほどの死津喪比女の花や葉虫が取り囲んでおり、最早死津喪比女は山を破壊してでも自由になりたいようだ

不幸中の幸いなのは氷室神社から一番近い人骨温泉にはまだ根が伸びておらず、未来のように人質が居ないことか

それでも付近の山々に住む動物や妖怪達は怯えた様子で震えているのだが


「聞こえるかえ、小娘ども! 今すぐ結界を止めろ! さもなくば全てを破壊する!!」

地震がおさまると何処からともなく死津喪比女の声が山々に響き、結界を止めないならば神社のある山ごと破壊すると脅迫してくる

まあ本当に山ごと破壊出来るのかは分からないが、この時代の死津喪比女は道士の仮人格の存在を知らぬ故に強く脅迫すればなんとかなると考えたのかもしれない


「どうするのだ? 奴がこの神社に繋がる地脈を破壊すれば最悪結界は止まってしまうぞ。 今からでも……」

「煩いって言ってるでしょ! 山を破壊するなら山ごとアイツを吹き飛ばしてやるわ!」

死津喪比女の脅迫に道士の仮人格は山そのものを破壊しなくても地脈の流れを止められると結界は無駄になると言うが、令子は全く聞く耳を持たないで道士の仮人格を蹴り飛ばしてしまう


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