スリーピング・ビューティー!!

「貴様ら……、やはりあの小娘と繋がっていたか」

自身の本体が再び封じられたことで死津喪比女の顔色が変わる

あの後も死津喪比女は魔鈴の魔法を警戒して小競り合いをしていたのだが、封印の堰が再稼動したことで全ては計算済みの行動だと考えたらしい


「このまま行けば貴女に未来はありませんよ。 私は貴女の本体に攻撃が可能ですから。 この辺りで和解をしてくれませんか?」

死津喪比女が話し掛けて来たことで、魔鈴もまた死津喪比女に最後通告とも言える和解を切り出す

結界が再稼動した為に死津喪比女は逃げられない上、魔鈴は死津喪比女を滅ぼせると自信ありげな笑みを浮かべる


(無駄なことなのでしょうね)

和解を切り出した魔鈴自身もこの勧告が無駄だと理解しているし、半ばはったりで自信があるように見せてるが正直不安の方が多い

実際には実戦で使ったことがない魔法がほとんどだし、何より実戦経験が少ないのだ


「たわけたことを。 たかが人の分際で本気でわしに勝てるとでも思っておるのか?」

対して死津喪比女は魔鈴を警戒しつつも自分の優位は揺るがないと考えているようである

加えてやはり強大な地脈の力を自分の力と勘違いもしてるのかもしれない



一方令子達は死津喪比女を倒す準備を始めようとしているが、エミの呪術を行うためには多少広い場所が必要でありその場所を氷室神社に借りようとしていた

ピートとタイガーが令子とエミにこき使われて荷物を運ばされてる時、突然先行していた令子と唐巣が強力な結界に阻まれてしまう


「なっ!?」

「何なの!!」

結界に阻まれた二人も後方にいたエミ達も突然の事態に驚き死津喪比女の罠かと警戒するが、二人を阻んでいた結界はすぐに消えて道士の仮人格が現れる


「お前達が来たことで死津喪比女が暴れたようだが、おキヌの知り合いだったとはな……」

「あんた何者? それに何でおキヌちゃんを知ってるの!?」

複雑そうな表情の道士に対して令子は警戒心を露にして睨みつけるが、道士は気にした様子もない


「私はここに死津喪比女を封印した者……」

「この外道がっ!!」

道士が自ら正体を明かすと、令子は溜まりに溜まった怒りを一気に爆発させて道士に殴りかかっていく

それは横島が知る未来の令子よりも明らかに怒り心頭な様子であり、令子は本気で道士を殺しかねないほどの殺気を露にしている


「あんたのせいでおキヌちゃんがどれだけ苦しんだか分かってるの! 命を賭けるなら自分の命を賭けなさいよ!!」

最早令子には道士が本人か本人でないかなど関係なかった

GSとして生と死の狭間に生きる令子だけに、他人を犠牲にした道士が許せなかったのだろう

怒り自体は未来と同じなのだが、怒りの爆発のさせ方は未来以上だった

横島という仲間が消えた影響もあり、令子は未来の時以上に怒りを抱えていたらしい


「美神さん……、もういいんです」

その時現れたのはおキヌだった

あの令子が自分の為に我を忘れるほど本気で怒ってくれたことが、おキヌは何より嬉しかったようだ

共に過ごした時を想いおキヌは嬉しそうに涙を浮かべていた


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