スリーピング・ビューティー!!

その後魔法のホウキは基本的に誰にも売らない方針なのだと魔鈴は説明するが、呪術を使うエミはともかく令子はなかなか納得しなかった

結局唐巣が間に入り死津喪比女の件を片付けるのが先だとなだめるが、令子は不満タラタラな様子である


「じゃあ行こうか」

結局再び微妙な空気に戻り氷室神社に向かうことになるが、移動手段がない唐巣とピートは令子とエミの車に分かれて乗ることになった

当然唐巣が令子の車でありピートがエミの車だったが……

横島達は三人が魔法のホウキで飛び、マリアが自前で飛んで氷室神社に向かうことになる


「しかしこいつは本当に便利だな」

「基本的に霊能力がなくては使えないのが欠点ですが、使用する霊能力はごく微量なので利点のほうが大きいでしょうね」

魔法のホウキに関しては最低限霊力を扱う技術があれば、比較的簡単に操作が出来た

雪之丞も少し練習しただけで、ほぼ完璧に扱えことが出来ており問題ない

ちなみにこの魔法のホウキに関してはごくごく普通の代物である


「どうやら後手に回ったらしい。 地中から何かが上がって来るぞ」

令子の行動により緊張感が薄れていた横島達だったが、突如バンダナに目が開き心眼が地中の異変を告げた

それは横島や魔鈴でさえ気付かないほど僅かな変化だったが、流石に心眼と言うだけあって霊視は得意らしい


「おいおい、まさか……」

「死津喪比女だ! やはり霊能者が多く来過ぎたのだろう」

心眼の言葉に横島は引き攣ったような表情をするが、事実が変わる訳ではない


「美神さんのことですから下調べには来たでしょうし、小笠原さんや唐巣神父も…… 気付かない方がおかしかったのかも知れませんね」

理由も分からぬまま封印を解かれた死津喪比女が、周囲を警戒してない方が不自然だったのかもしれないと魔鈴は思う

まだ横島や魔鈴は霊力を抑えてるからいいのだが、令子とエミは基本的な霊能力の高すぎるのだ

あれで警戒するなと言う方が無理なのかもしれない


「結局は戦うなら大差ないだろ? 行こうぜ!」

不安の表情を隠せない横島と魔鈴とは対照的に、雪之丞はやる気に満ちていた

相手が強ければ強いほど燃える性格なだけに、待ちきれないようである


「本当に羨ましいよ」

知らない故にポジティブな雪之丞に横島と魔鈴は顔を見合わせ苦笑いを浮かべるが、結局は戦うしかないと地上に降りていく



一方地上の令子達だったが、令子は相変わらず不機嫌そうであった

魔鈴を欲深い守銭奴だと愚痴るが、隣の唐巣は顔を引き攣っらせるしか出来ない

基本的に自分の思い通りにいかないと気に食わないようである


そしてエミの方だったが、こちらはエミが運転しながらも隣に乗せたピートに迫っていた

師匠の唐巣とは違うがこちらも地味に苦行のようになっているピートだったが、後部座席で相手にもされないタイガーよりはマシだろう


残念ながら彼らは危機が迫ってる事実に気付く様子はない


24/57ページ
スキ