スリーピング・ビューティー!!

それから数日が過ぎていよいよ除霊当日、令子はおキヌを留守番させて人骨温泉に向かっていた

あれからも数日悩んだ令子だったが、結局おキヌには何も言えなかったのだ

ずっと秘密にするつもりはないが、全て終わってから報告する程度にするつもりらしい


一方横島と魔鈴は、雪之丞・マリア・唐巣・ピートを加えた六人で電車で人骨温泉に向かっていた

一応現地集合なのだが、移動手段がない横島達と唐巣達が偶然同じ電車になったようである


「エミさんとタイガーまで来るのか……」

電車の中で駅弁を食べつつ唐巣の話に耳を傾けていた横島だったが、エミとタイガーが参加すると聞くと予想以上に増えた人員に少々不安になっていた

別にエミの実力を疑う訳ではないが、死津喪比女は単純な戦闘では令子ですら戦えないのだ

はっきり言うと横島と魔鈴の負担が増えただけの可能性もある


「そんなに厄介な相手なんですか?」

「文献だとそうらしい。 よく分からんからエミさんまで引っ張り出したんだろうな」

今回の件をあまり知らないピートは本当にこれだけGSが集まる必要があるのか疑問があるようだが、相手がよく分からない令子が引っ張り出したのだろうと横島は語る


(こんだけ霊能者が集まって事前に感づかれなきゃいいがな)

横島と魔鈴は霊力を押さえてるからいいが、令子とエミとピートは少々霊力が強すぎるのだ

死津喪比女が人間を警戒してれば、近くに行く前に感づかれる可能性もあった

未来情報から上手く立ち回りたかった横島だったが、思ってた以上に厄介な状況にため息が出そうだった


「久しぶりに燃えて来たぜ」

「お前が望むような戦いにはしたくないんだけどな」

一方事前に横島達からかなり強い相手だと聞かされていた雪之丞は久しぶりの強敵に燃えていたが、横島は若干引き攣った表情で戦いたくないと呟く

正直言うと死津喪比女とガチで勝負など危険以外の何物でもない

横島も魔鈴も未来で修行は数多く熟したが、死津喪比女クラスの実戦は経験してないのだ

そもそも死津喪比女クラスの除霊など滅多にあるはずがなく、まして第一線を退いた横島や魔鈴が経験する機会などあるはずがなかった

正直命のやり取りをするような実戦経験に乏しい横島と魔鈴では死津喪比女との直接戦闘は楽観など出来ないし、まして力を隠したままハンデを背負って戦うなど勘弁して欲しい


(元々めぐみは命を賭けた実戦経験が少ないし、俺も十年近くブランクがあるしな。 やっぱり実戦経験の問題は大きいかもしれん)

雪之丞は横島と魔鈴の霊力や技術から過大評価してるが、実戦経験の不足に横島は人一倍不安を感じている

霊力や技術の力では死津喪比女に勝る二人だが、その力をどこまで上手く使えるかは正直不安が残るのだ

令子の元で数々の強敵との戦いを経験して来た横島は、改めて令子の凄さを感じずにはいられなかった


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