新しい生活
その後タイガーが魔理の事を語る事は無く、食事が終わると雪之丞と共に帰宅する
そして横島と魔鈴は風呂上がりの寝室で、タイガーについて話していた
「思った通り難しそうですね」
鏡の前で長い髪を乾かす魔鈴は、予想通りとはいえタイガーの精神面を鍛える難しさを感じている
「あんなに細かい奴だと思わなかったんだけどな~」
アシュタロス戦後はしなくなったが、昔は一緒にピートが貰った弁当を奪って食べた仲間なのだ
あれほど細かく気弱だとは横島も思いもしなかった
「根本的に優しいのでしょうね。 ただ、自分に自信が無いのと不器用なのは問題ですが…」
悪い人では無いのはわかるのだが、あまりに不器用な性格と自分に自信が無いのは少し行き過ぎだと魔鈴は思う
「あれでもマシになったんっすよ。 初めて会った時は酷かったですから。 クラスメートに女子が居ると知って逃げ出しましたから」
「そうなんですか?」
「なんでも能力を解放すればセクハラ虎になってたらしくて。 良くわんないけど、強力な能力過ぎてコントロールが効かなかったらしいっす」
横島の語るタイガーの過去を聞いた魔鈴は考え込んでしまう
「おそらく強力過ぎる能力の暴走により本能のみになるんでしょう。 自分に自信が無いのはその影響ですね…」
予想以上に根深い問題に、魔鈴もまた解決策が浮かばない
横島もそうだが、生まれ育った環境から来る性格など簡単に変わるものではないのだ
ましてタイガーの場合は強力すぎる能力により友達すら居たのか怪しく、下手をしたら化け物扱いで孤独に育って来た可能性もある
(自分や能力に自信を持つのは難しいかもしれません)
精神面の弱さの原因は、能力と生まれ育った環境にあるのではと魔鈴は予想した
しかし、その予想が当たっているとすれば、解決は更に難しい
「せめてGSを目指す強い志しがあればいいのですが…」
「タイガーは自分の事語らないっすからね~ 彼女もGS志望だし、一緒に働きたいのかもしれないけど……」
結局タイガーに関しては何の解決策も浮かばないまま、その日は休むことになる
一方、春休み中のかおりと魔理だが…
かおりはいつもと同じように家で霊能の修業に明け暮れていたが、どこか上の空であった
「かおり、ちょっと座りなさい」
父の部屋に呼ばれたかおりは、いつもと同じく正座をして座る
「お父様なにか?」
「かおり、どう言うつもりだ? 最近まるで修業に身が入ってない。 そんなに嫌なら辞めていいぞ」
用件を尋ねるかおりに、父は厳しい表情で突き放した言い方をした
実は、父は少し前から様子がおかしいのは感じていたのだ
若いのだし悩むのは構わないと考えていた父だが、日々の修業にまで支障が出るのは問題視していた
しばらく様子を見ていたのだが一向に改善する気配が無いため、この日呼び出したようだ
「お父様… GSとは何でしょうか?」
厳しい表情の父に、かおりは悲痛な表情でポツリと問い掛けてしまう
「正確には我が家はGSでは無い。 昔から近くの住民や檀家の皆様方を守り助けて来ただけだ。 祖先を供養し、仏の教えに従って生きていくだけなのだ」
父は昔から何度もかおりに語った事を再び繰り返し語る
「それはわかってます。 しかし、私は何を信じていいのかわからなくなりました」
その悲痛な表情と抽象的な言葉に、父は悩みの難しさを悟った
そして横島と魔鈴は風呂上がりの寝室で、タイガーについて話していた
「思った通り難しそうですね」
鏡の前で長い髪を乾かす魔鈴は、予想通りとはいえタイガーの精神面を鍛える難しさを感じている
「あんなに細かい奴だと思わなかったんだけどな~」
アシュタロス戦後はしなくなったが、昔は一緒にピートが貰った弁当を奪って食べた仲間なのだ
あれほど細かく気弱だとは横島も思いもしなかった
「根本的に優しいのでしょうね。 ただ、自分に自信が無いのと不器用なのは問題ですが…」
悪い人では無いのはわかるのだが、あまりに不器用な性格と自分に自信が無いのは少し行き過ぎだと魔鈴は思う
「あれでもマシになったんっすよ。 初めて会った時は酷かったですから。 クラスメートに女子が居ると知って逃げ出しましたから」
「そうなんですか?」
「なんでも能力を解放すればセクハラ虎になってたらしくて。 良くわんないけど、強力な能力過ぎてコントロールが効かなかったらしいっす」
横島の語るタイガーの過去を聞いた魔鈴は考え込んでしまう
「おそらく強力過ぎる能力の暴走により本能のみになるんでしょう。 自分に自信が無いのはその影響ですね…」
予想以上に根深い問題に、魔鈴もまた解決策が浮かばない
横島もそうだが、生まれ育った環境から来る性格など簡単に変わるものではないのだ
ましてタイガーの場合は強力すぎる能力により友達すら居たのか怪しく、下手をしたら化け物扱いで孤独に育って来た可能性もある
(自分や能力に自信を持つのは難しいかもしれません)
精神面の弱さの原因は、能力と生まれ育った環境にあるのではと魔鈴は予想した
しかし、その予想が当たっているとすれば、解決は更に難しい
「せめてGSを目指す強い志しがあればいいのですが…」
「タイガーは自分の事語らないっすからね~ 彼女もGS志望だし、一緒に働きたいのかもしれないけど……」
結局タイガーに関しては何の解決策も浮かばないまま、その日は休むことになる
一方、春休み中のかおりと魔理だが…
かおりはいつもと同じように家で霊能の修業に明け暮れていたが、どこか上の空であった
「かおり、ちょっと座りなさい」
父の部屋に呼ばれたかおりは、いつもと同じく正座をして座る
「お父様なにか?」
「かおり、どう言うつもりだ? 最近まるで修業に身が入ってない。 そんなに嫌なら辞めていいぞ」
用件を尋ねるかおりに、父は厳しい表情で突き放した言い方をした
実は、父は少し前から様子がおかしいのは感じていたのだ
若いのだし悩むのは構わないと考えていた父だが、日々の修業にまで支障が出るのは問題視していた
しばらく様子を見ていたのだが一向に改善する気配が無いため、この日呼び出したようだ
「お父様… GSとは何でしょうか?」
厳しい表情の父に、かおりは悲痛な表情でポツリと問い掛けてしまう
「正確には我が家はGSでは無い。 昔から近くの住民や檀家の皆様方を守り助けて来ただけだ。 祖先を供養し、仏の教えに従って生きていくだけなのだ」
父は昔から何度もかおりに語った事を再び繰り返し語る
「それはわかってます。 しかし、私は何を信じていいのかわからなくなりました」
その悲痛な表情と抽象的な言葉に、父は悩みの難しさを悟った