終わりと始まり

横島が帰って数時間後、GS協会幹部が緊急会議を開いていた

GS協会の職員達はすでに横島が辞めたことをみんな知っており、辞めた理由について様々な噂が囁かれている


会議の内訳は、議論と言うよりは責任のなすりつけ合いになっていた


「どういうことだ! 横島忠夫には美神令子から独立してもしなくても、GSの本免許を交付する手筈では無かったのか!」

一人の幹部が怒りを露にして叫ぶ

事の次第は百合子が六道家を訪れた後日に遡る


六道家よりGS協会幹部にもたらされた横島と令子の対立の情報に、GS協会の幹部達は右往左往していた

協会として仲裁するべきだと言う者も居れば、すぐに横島を独立させるべきだと言う者もいる

または、横島の独立の事は美神令子の判断が重要であり、例外はあるべきでは無いといった意見など様々であった


そんな中、百合子と美智恵の対立のとばっちりを恐れた六道家とGS協会は、決着が着くまで静観することを決めていた

最終的にどちらが勝っても、横島にはGS免許を与えることを決めて…

この決定には六道家の意向も強く働いたが、それ以外にもGS協会の体質にも問題があった


「また美神令子ですか… いい加減にして欲しいですな…」

幹部の半数は、問題の元凶が令子な事実にうんざりした様子である

世間ではアシュタロス戦の英雄としてGSの代表みたいな扱いの令子だが、その実態は酷いものであった

料金の問題で協会に苦情が来るのはよくあることだし、その他にも大小様々な問題を起こしていたのだ

そんな令子の問題が会議の議題に登る事実はよくあることである


「だから言っただろう。 GS本免許の判断を監督GS本人に任せるのはまずいと! 見習いの若者達が監督GSに都合良く使われている事例は、たくさんあって問題になってたではないか!」

また別の幹部はGSの見習い制度について噛み付く

一昔前は、見習い期間に悪霊百匹を除霊すると言う明確な規定があった


しかし、新人GSの事故や失敗が後を絶たない

GS協会はその責任問題を回避する為に、GS本免許は監督GSの裁量によって交付すると決まっている

その際に、失敗や事故は全て監督GSの責任と言う規定を作ってのことであった
 
そう…、GS協会はことなかれ主義の無責任団体に近い状況である

重要な事や難しい問題は六道家の意向が働くため、GS協会の自由が少ない事実も関係はあるが…

誰も六道家の行動は止めれないし、六道家が決めたことの責任は取りたくない

結果的に責任問題などをいかに回避するかが幹部達の主な行動である


「それも問題だが、今回の件は美神令子の責任が大きいのだろう? 横島忠夫の労働環境は一年ほどまえに問題になったではないか」

「あれじゃあ、GSが嫌になっても仕方ないですな…」


混迷を続ける会議は横島の労働環境にも話が進んでいた

横島の労働環境などが問題になったのはアシュタロス戦の後である

公式文章には名前も記載されなかった横島だが、アシュタロス戦での功績は一部の者達では有名であった


アシュタロス戦の後始末の最中、無名の見習いである横島に関しては極秘に調べられ、その労働環境などが問題になっていたのだ


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