番外編・横島君と魔鈴さんの休日
二人が映画館を出ると外は夕暮れの時間であった
街には学生達で溢れ、楽しそうな者や疲れた様子の者など様々である
「少し歩きでもしましょうか」
横島がこの後どうするか聞く前に、魔鈴は横島の腕を絡めてゆっくりと歩き出す
特に目的があった訳ではないが、今この時間を終わらせたくないと考えるのは当然だろう
あてもなく散歩していく二人だが、ふと近くに公園があった事を思い出して公園を散歩していた
そこは比較的大きな公園でジョギングコースもあり、ジョギングする人々やデートしている男女も見える
あまり目立たないベンチに座った二人は、先程見た映画の話題など話しながらゆっくりした時間を過ごしていく
それはごくごく普通の日常会話と変わらないが、そんな普通の会話にすら幸せを感じてしまう
誰でも一度は経験のある事だろうが、今の横島と魔鈴は愛する者と一緒だとそれだけで幸せなのである
「俺って本当に狭い世界しか知らなかったんだなって、最近実感してますよ」
ふと話しが途切れた時、横島はそんな事を口にしていた
人並み以上に苦労した事やオカルトという特殊な業界に関わった為に、少し前の横島としてはたくさんの経験をしたつもりだったが、最近は自分が人よりも世間知らずなのだと感じている
新しいレストランの仕事にしても、横島はテーブルマナーや接客術もまるでダメだったのだ
すべて魔鈴に一から教わるのは覚えるのが大変だが楽しい毎日である
時が過ぎれば過ぎるほど、横島は自分の経験がいかに偏っていたかを感じずにはいられなかった
「そんなものですよ。 横島さんはまだ高校を卒業したばかりですしね。 世界は広いです。 これから一つずつゆっくり知っていきましょう」
少し自虐的に笑う横島に、魔鈴は寄り掛かるように体を預ける
「今日みたいに楽しい事もたくさんありますし、無論苦しい事もあるでしょう。 でも私はずっと貴方の傍にいますから……」
都会の真ん中にある公園には、ひと足に夜の闇が訪れ初めていた
西にはまだオレンジ色の空が見えるが、太陽はすでにビルの影に隠れて見えない
先程まで様々な人で賑わっていた公園もそれに合わせたかのように静かになっていた
「あっ!」
その時、突然横島に抱きしめられた魔鈴は思わず声を上げてしまう
《ずっと傍に居る》
それはすでに約束された事であり、魔鈴から幾度となく横島に贈られた言葉である
しかし何度聞いても横島の胸が熱くなって、その言葉を聞くたびに魔鈴が愛おしくてたまらなくなる
そんな横島に答えるように魔鈴も腕を回して抱きしめると、横島はそのまま瞳を閉じた魔鈴の唇に…………
どれくらいの時間が過ぎたのかはわからないが、横島と魔鈴の唇が離れると二人は少し恥ずかしそうに辺りを見回す
つい燃え上がってしまったが、ようやく場所を思い出したらしい
「えっと……、すんません」
「謝らないで下さい。 私も同じですから」
恥ずかしそうな二人は顔を赤らめながら、冷静になろうと心を落ち着けようとする
しかしピッタリと密着した二人の距離は変わらぬままだった
街には学生達で溢れ、楽しそうな者や疲れた様子の者など様々である
「少し歩きでもしましょうか」
横島がこの後どうするか聞く前に、魔鈴は横島の腕を絡めてゆっくりと歩き出す
特に目的があった訳ではないが、今この時間を終わらせたくないと考えるのは当然だろう
あてもなく散歩していく二人だが、ふと近くに公園があった事を思い出して公園を散歩していた
そこは比較的大きな公園でジョギングコースもあり、ジョギングする人々やデートしている男女も見える
あまり目立たないベンチに座った二人は、先程見た映画の話題など話しながらゆっくりした時間を過ごしていく
それはごくごく普通の日常会話と変わらないが、そんな普通の会話にすら幸せを感じてしまう
誰でも一度は経験のある事だろうが、今の横島と魔鈴は愛する者と一緒だとそれだけで幸せなのである
「俺って本当に狭い世界しか知らなかったんだなって、最近実感してますよ」
ふと話しが途切れた時、横島はそんな事を口にしていた
人並み以上に苦労した事やオカルトという特殊な業界に関わった為に、少し前の横島としてはたくさんの経験をしたつもりだったが、最近は自分が人よりも世間知らずなのだと感じている
新しいレストランの仕事にしても、横島はテーブルマナーや接客術もまるでダメだったのだ
すべて魔鈴に一から教わるのは覚えるのが大変だが楽しい毎日である
時が過ぎれば過ぎるほど、横島は自分の経験がいかに偏っていたかを感じずにはいられなかった
「そんなものですよ。 横島さんはまだ高校を卒業したばかりですしね。 世界は広いです。 これから一つずつゆっくり知っていきましょう」
少し自虐的に笑う横島に、魔鈴は寄り掛かるように体を預ける
「今日みたいに楽しい事もたくさんありますし、無論苦しい事もあるでしょう。 でも私はずっと貴方の傍にいますから……」
都会の真ん中にある公園には、ひと足に夜の闇が訪れ初めていた
西にはまだオレンジ色の空が見えるが、太陽はすでにビルの影に隠れて見えない
先程まで様々な人で賑わっていた公園もそれに合わせたかのように静かになっていた
「あっ!」
その時、突然横島に抱きしめられた魔鈴は思わず声を上げてしまう
《ずっと傍に居る》
それはすでに約束された事であり、魔鈴から幾度となく横島に贈られた言葉である
しかし何度聞いても横島の胸が熱くなって、その言葉を聞くたびに魔鈴が愛おしくてたまらなくなる
そんな横島に答えるように魔鈴も腕を回して抱きしめると、横島はそのまま瞳を閉じた魔鈴の唇に…………
どれくらいの時間が過ぎたのかはわからないが、横島と魔鈴の唇が離れると二人は少し恥ずかしそうに辺りを見回す
つい燃え上がってしまったが、ようやく場所を思い出したらしい
「えっと……、すんません」
「謝らないで下さい。 私も同じですから」
恥ずかしそうな二人は顔を赤らめながら、冷静になろうと心を落ち着けようとする
しかしピッタリと密着した二人の距離は変わらぬままだった