善意と悪意の狭間で
温泉旅館の囲炉裏でゆっくりと暖まった一行であるが、時間は現在午後の一時を過ぎたところでありこの後は自由行動にすることにしていた。
横島と魔鈴はタマモ・シロ・天龍童子・パピリオ・愛子・小鳩・貧・タイガー・ピート・雪之丞・冥子・小竜姫・ヒャクメの十三名を連れて旅館の近くの散策に出掛けることになる。
そして残る銀一・エミ・唐巣・カオス・マリア・斉天大聖・ワルキューレ・ジーク・ベスパの九名はこの日は温泉旅館でゆっくりとすることになった。
居残り組は基本的に仕事が忙しいメンバーが多いので早く温泉に入ってゆっくりしたいらしい。
「それにしてもよく休みが取れたわね?」
「この期間だけは早めに明けておいたんだよ。」
横島達が出掛けると居残り組はさっそく温泉に向かったようだが、唐巣だけは仕事の電話をしていて一足遅くなったのだが部屋を出ると偶然にもエミと顔を会わせていた。
結果として温泉までの廊下を共に歩くことになるが、エミは少しだけ興味がありそうな視線を珍しく唐巣に向けている。
「ただでさえあの件で忙しいくせに。 また倒れてピートに心配かけないで欲しいワケ。」
「エミ君は相変わらず手厳しいな。」
呆れた表情を見せつつ意味ありげな言葉を口にするエミであるが、実は彼女は例のザンス過激派のテロ対策チームに唐巣の指名で呼ばれて参加していた。
他にも各方面から専門家が呼ばれて参加しているが、オカルトという分野から対テロに精通していて信頼が置けるとなれば当然エミの存在が真っ先に浮かんでいたのだ。
その件で最近エミは密かに唐巣達対策チームと会う機会が多い。
ちなみに両者共にザンスの件はピートやタイガーなど同じ事務所の者にも話してはなく、二人は今日来ているメンバーでは他には誰も知らないと思っている。
事の発端である情報源は今日来ている神魔組なのでパピリオと天龍童子以外の神魔組とタマモは実は知っていることではあるが、それは現状では政府の人間でも知らないことであり二人が知るはずもなかった。
尤も情報源が百合子であることは政府中枢や六道家は知っていることなので、薄々情報源について勘づいてる者も中には居るが誰も確認しようとはしてない。
実際問題百合子の元勤め先で大樹が専務をしている村枝商事は海外情報に精通しているので、そちらの線という可能性も十分にある。
半ば都市伝説と化してる百合子ならば普通ではあり得ない情報源があっても不思議ではなく、百合子や大樹が売国的な立場でないのは昔馴染みが保障することで特に追求を受けることはなかった。
「それにしても呑気なものよね。」
「出来れば当事者に知らせずに終わらせたいのだがね。」
そのまま静かな廊下を歩きつつ会話を続ける二人であるが、ザンス過激派のターゲットの一人である横島の呑気さにエミは何とも言えない表情を浮かべる。
無論横島だけでなく令子やおキヌに西条ですら現状では危機感はない。
一時期とはいえ裏の世界で生きていたエミからすると横島のみならず令子や西条ですら危機感が足りないと感じるが、それが表に生きる者の限界かもしれないとも思うようだ。
出来れば当事者達には知らせずに終わらせたいと願う唐巣であるがそれが可能なのかは微妙なところで、現時点でも横島や令子達の周りには当事者にバレない範囲で人員が配置されている。
まあ今回の旅行は神魔が来ることもあり例外として唐巣とエミが居ることから人員は着いて来てないが。
人員の目的は情報収集が第一であったが万が一の際には護衛もするように指示を受けており、特に唐巣からの提案でおキヌには腕利きの人員が配置されていて、他の横島達の人員より各が違うなんて事実もある。
「令子が知ったら怒るわよ。」
「美神君は慎重に事を運ぶことが得意ではないからね。 それに現段階で美智恵君に知られると纏まる話も纏まらなくなる。」
令子に隠して対策を進めることで後々にバレたら怒るとからかうように唐巣に告げるエミだが、唐巣自身もそれを理解しつつも特に令子や西条には知らせる訳にはいかなかった。
無論唐巣も令子の実力は理解しているが、危機的な状況での対応力はあっても今回のように慎重に事を進める時には向かないというのが本音でもある。
加えて現段階で美智恵が動くと纏まる話も纏まらなくなるのが現実であった。
横島と魔鈴はタマモ・シロ・天龍童子・パピリオ・愛子・小鳩・貧・タイガー・ピート・雪之丞・冥子・小竜姫・ヒャクメの十三名を連れて旅館の近くの散策に出掛けることになる。
そして残る銀一・エミ・唐巣・カオス・マリア・斉天大聖・ワルキューレ・ジーク・ベスパの九名はこの日は温泉旅館でゆっくりとすることになった。
居残り組は基本的に仕事が忙しいメンバーが多いので早く温泉に入ってゆっくりしたいらしい。
「それにしてもよく休みが取れたわね?」
「この期間だけは早めに明けておいたんだよ。」
横島達が出掛けると居残り組はさっそく温泉に向かったようだが、唐巣だけは仕事の電話をしていて一足遅くなったのだが部屋を出ると偶然にもエミと顔を会わせていた。
結果として温泉までの廊下を共に歩くことになるが、エミは少しだけ興味がありそうな視線を珍しく唐巣に向けている。
「ただでさえあの件で忙しいくせに。 また倒れてピートに心配かけないで欲しいワケ。」
「エミ君は相変わらず手厳しいな。」
呆れた表情を見せつつ意味ありげな言葉を口にするエミであるが、実は彼女は例のザンス過激派のテロ対策チームに唐巣の指名で呼ばれて参加していた。
他にも各方面から専門家が呼ばれて参加しているが、オカルトという分野から対テロに精通していて信頼が置けるとなれば当然エミの存在が真っ先に浮かんでいたのだ。
その件で最近エミは密かに唐巣達対策チームと会う機会が多い。
ちなみに両者共にザンスの件はピートやタイガーなど同じ事務所の者にも話してはなく、二人は今日来ているメンバーでは他には誰も知らないと思っている。
事の発端である情報源は今日来ている神魔組なのでパピリオと天龍童子以外の神魔組とタマモは実は知っていることではあるが、それは現状では政府の人間でも知らないことであり二人が知るはずもなかった。
尤も情報源が百合子であることは政府中枢や六道家は知っていることなので、薄々情報源について勘づいてる者も中には居るが誰も確認しようとはしてない。
実際問題百合子の元勤め先で大樹が専務をしている村枝商事は海外情報に精通しているので、そちらの線という可能性も十分にある。
半ば都市伝説と化してる百合子ならば普通ではあり得ない情報源があっても不思議ではなく、百合子や大樹が売国的な立場でないのは昔馴染みが保障することで特に追求を受けることはなかった。
「それにしても呑気なものよね。」
「出来れば当事者に知らせずに終わらせたいのだがね。」
そのまま静かな廊下を歩きつつ会話を続ける二人であるが、ザンス過激派のターゲットの一人である横島の呑気さにエミは何とも言えない表情を浮かべる。
無論横島だけでなく令子やおキヌに西条ですら現状では危機感はない。
一時期とはいえ裏の世界で生きていたエミからすると横島のみならず令子や西条ですら危機感が足りないと感じるが、それが表に生きる者の限界かもしれないとも思うようだ。
出来れば当事者達には知らせずに終わらせたいと願う唐巣であるがそれが可能なのかは微妙なところで、現時点でも横島や令子達の周りには当事者にバレない範囲で人員が配置されている。
まあ今回の旅行は神魔が来ることもあり例外として唐巣とエミが居ることから人員は着いて来てないが。
人員の目的は情報収集が第一であったが万が一の際には護衛もするように指示を受けており、特に唐巣からの提案でおキヌには腕利きの人員が配置されていて、他の横島達の人員より各が違うなんて事実もある。
「令子が知ったら怒るわよ。」
「美神君は慎重に事を運ぶことが得意ではないからね。 それに現段階で美智恵君に知られると纏まる話も纏まらなくなる。」
令子に隠して対策を進めることで後々にバレたら怒るとからかうように唐巣に告げるエミだが、唐巣自身もそれを理解しつつも特に令子や西条には知らせる訳にはいかなかった。
無論唐巣も令子の実力は理解しているが、危機的な状況での対応力はあっても今回のように慎重に事を進める時には向かないというのが本音でもある。
加えて現段階で美智恵が動くと纏まる話も纏まらなくなるのが現実であった。