善意と悪意の狭間で
さて旅館の客室は基本的に八畳間と六畳間の和室二部屋が一組になっていた。
畳の匂いが印象的な部屋は本当にごく普通の温泉旅館と同じで窓からは外が見えるように除雪されていたが、見えるのは真っ白い雪景色の山々ばかりである。
「本当に古い建物ですね。」
旅館に到着した一行は部屋に荷物を置き少し休憩してからこの後どうするか考えることになり旅館の名物らしい囲炉裏を囲んで一息つくが、旅館の建物自体が築百年を軽く越えてるらしく江戸時代の建築らしい。
神魔組と人狼の里なんかに行く横島達なんかはさほど珍しくもない古さであるが、小鳩や愛子や銀一なんかにとっては珍しいようで小鳩は東京ではお目にかかれないような古い建物に感動していた。
「昔は妙神山も古かったんじゃがのう。」
古い建物には歴史を感じる赴きがあり落ち着く一同であるが、ふと斉天大聖は小竜姫と横島を見て意味ありげな言葉を囁く。
元々妙神山の建物は数百年も歴史ある建物だったが、ここ数年で二度も壊滅している。
一度目は令子の試練の際に小竜姫の暴走によって破壊されていて、二度目はアシュタロス戦において逆転号の一撃により壊滅した。
「妙神山はわたしたちが壊しまちたからね。」
「いや、お前達が破壊する前に美神令子と横島と小竜姫が壊していたんじゃよ。 のう?」
斉天大聖の言葉にベスパとパピリオは流石に少し居心地が悪そうにするも、斉天大聖はにやりと意味ありげな笑みを浮かべてそれ以前に小竜姫が壊したことを暴露する。
「あれ、バレちゃったんですか?」
「人間に建物を建てさせてバレんはずがなかろう。 第一建物の古さが違うわ。」
そんな突然の斉天大聖の暴露話に小竜姫は何も言えないほど困った表情を見せると、横島はこっそり建て直したことがバレちゃったんだと他人事のように笑うが実は横島も他人事ではない。
「そもそも問題は美神令子とお前にあるのだぞ。 神族の領域での試練で不正を働いて拠点を破壊したなど露見すれば小竜姫の処分よりもお前達への罰の方が厳しくなる。 最終的には天龍童子の件でチャラにしたがな。」
「そうじゃ、余が父上に穏便に済ますように頼んでやったんだぞ。 感謝するがいい。」
かつて妙神山を破壊した小竜姫は自身の責任問題から令子の提案を受け入れ事実を隠蔽したが、他の神族ならばともかく斉天大聖と竜神族にはすぐにバレることになる。
ただここで横島達が運が良かったのはバレたのがメドーサによる天龍童子暗殺事件の直後だったことだった。
令子と横島は令子が天龍童子を守った功績と横島が天龍童子の家臣になったとの約束により、先の件を身内の問題として不問にしていたのが神族側の知られざる実情である。
まあ元々竜神族は仏教に帰依した神族なので他の神族よりも厳しくないとの実情もあったし、下手に問題を大きくして竜神族全体の責任を問われても面倒なので穏便に済ませたともいえるが。
「そんなこともしてたのですか。」
一方令子と横島の失態にエミは面白そうに爆笑していたが、唐巣は小竜姫と斉天大聖に何度も頭を下げて必死に謝っていた。
そして魔鈴はと言えば、またもや明らかになった横島の非常識な逸話に頭を抱えている。
「いやー、これには深い事情があるような、ないような……。」
とりあえず横島は笑って誤魔化そうとしているが、周りでは誰も笑い事ではないだろうと呆れていた。
かつて初対面の小竜姫にセクハラ紛いの行動をした横島も問題だが、実際には正規のGSであるはずの令子の反則の方が非常識だったりする。
正直下手な神族ならば殺されても文句は言えないのだから。
畳の匂いが印象的な部屋は本当にごく普通の温泉旅館と同じで窓からは外が見えるように除雪されていたが、見えるのは真っ白い雪景色の山々ばかりである。
「本当に古い建物ですね。」
旅館に到着した一行は部屋に荷物を置き少し休憩してからこの後どうするか考えることになり旅館の名物らしい囲炉裏を囲んで一息つくが、旅館の建物自体が築百年を軽く越えてるらしく江戸時代の建築らしい。
神魔組と人狼の里なんかに行く横島達なんかはさほど珍しくもない古さであるが、小鳩や愛子や銀一なんかにとっては珍しいようで小鳩は東京ではお目にかかれないような古い建物に感動していた。
「昔は妙神山も古かったんじゃがのう。」
古い建物には歴史を感じる赴きがあり落ち着く一同であるが、ふと斉天大聖は小竜姫と横島を見て意味ありげな言葉を囁く。
元々妙神山の建物は数百年も歴史ある建物だったが、ここ数年で二度も壊滅している。
一度目は令子の試練の際に小竜姫の暴走によって破壊されていて、二度目はアシュタロス戦において逆転号の一撃により壊滅した。
「妙神山はわたしたちが壊しまちたからね。」
「いや、お前達が破壊する前に美神令子と横島と小竜姫が壊していたんじゃよ。 のう?」
斉天大聖の言葉にベスパとパピリオは流石に少し居心地が悪そうにするも、斉天大聖はにやりと意味ありげな笑みを浮かべてそれ以前に小竜姫が壊したことを暴露する。
「あれ、バレちゃったんですか?」
「人間に建物を建てさせてバレんはずがなかろう。 第一建物の古さが違うわ。」
そんな突然の斉天大聖の暴露話に小竜姫は何も言えないほど困った表情を見せると、横島はこっそり建て直したことがバレちゃったんだと他人事のように笑うが実は横島も他人事ではない。
「そもそも問題は美神令子とお前にあるのだぞ。 神族の領域での試練で不正を働いて拠点を破壊したなど露見すれば小竜姫の処分よりもお前達への罰の方が厳しくなる。 最終的には天龍童子の件でチャラにしたがな。」
「そうじゃ、余が父上に穏便に済ますように頼んでやったんだぞ。 感謝するがいい。」
かつて妙神山を破壊した小竜姫は自身の責任問題から令子の提案を受け入れ事実を隠蔽したが、他の神族ならばともかく斉天大聖と竜神族にはすぐにバレることになる。
ただここで横島達が運が良かったのはバレたのがメドーサによる天龍童子暗殺事件の直後だったことだった。
令子と横島は令子が天龍童子を守った功績と横島が天龍童子の家臣になったとの約束により、先の件を身内の問題として不問にしていたのが神族側の知られざる実情である。
まあ元々竜神族は仏教に帰依した神族なので他の神族よりも厳しくないとの実情もあったし、下手に問題を大きくして竜神族全体の責任を問われても面倒なので穏便に済ませたともいえるが。
「そんなこともしてたのですか。」
一方令子と横島の失態にエミは面白そうに爆笑していたが、唐巣は小竜姫と斉天大聖に何度も頭を下げて必死に謝っていた。
そして魔鈴はと言えば、またもや明らかになった横島の非常識な逸話に頭を抱えている。
「いやー、これには深い事情があるような、ないような……。」
とりあえず横島は笑って誤魔化そうとしているが、周りでは誰も笑い事ではないだろうと呆れていた。
かつて初対面の小竜姫にセクハラ紛いの行動をした横島も問題だが、実際には正規のGSであるはずの令子の反則の方が非常識だったりする。
正直下手な神族ならば殺されても文句は言えないのだから。