ゆく年くる年・2
一方卒業に向けて思案していたのはかおりばかりではない。
「GSか。」
事務所のデスクの上には乱雑に散らかった書類があるが令子はそれを片付けることもなく考え込んでいる。
かおりと同じくおキヌも高校卒業なため一般的な六道女学院の生徒だと今年の春のGS試験に受けることが普段なのだが、令子はしばらくはGS試験を受けさせるのを控えようかと悩んでいた。
度々説明してるがGS免許は営利目的の除霊免許なので、一人で営利目的の除霊をしない限りは必ずしも必要な訳ではない。
横島が今も魔鈴の除霊を手伝ってる話は冥子からチラリと聞いていて、令子は横島にしてはいい手を思い付いたものだと関心している。
基本的に面倒なしがらみは少ない方がいいと考える令子はおキヌがGS免許を取得した際のリスクとリターンを最近考えていたが、どう考えても現状ではリスクの方が多いと思う。
「六道のおばさまよりママの方が信用出来ないのよね。」
一応おキヌがGSになるための根回しは済んでいるのだが、令子はそれでもおキヌにGS免許を取らせていいのか自信がない。
アシュタロス戦でもそうだったが人間はみんな勝手で信用出来なく、特に自分の母親が信用出来なことには令子も疲れたようにため息をはく。
そもそもアシュタロス戦に関してはアシュタロスが核ミサイルで人間を脅迫しなければ令子は人間に殺されていた可能性があり、令子の本音では自分を娘と呼んだアシュタロスの方がまだ信用出来るとすら思っていた。
身近な人間では横島の一件を見てもまだ六道家の方が信用出来て、母親である美智恵は令子ですらイマイチ信用出来ないのである。
無論令子自身のことは考えてくれてるのは理解しているものの、必要ならばおキヌですら利用するのは昨年のバレンタインで明らかだった。
「いっそ、何年かこのままってことも……。」
正直なところおキヌが独立して独り立ちしたいと考えるまではGS免許は必要ないかとも思う。
下手におキヌがGS免許を取得すると厄介な依頼が世界中から舞い込むことになりかねず、リスクばかりが高くなる。
おキヌ自身がそう言った他人の悪意を見抜き駆け引きが出来れば別にいいのだが、すぐに情に流される現状を見てると不安にしかならない。
実はネクロマンサーの正統な能力者が少ないのは、相手の心を理解するが故に闇落ちしたり廃人のようになったりする霊能者が少なくないからでもある。
基本的に霊能力は希少能力や強力な能力にはリスクが相応に高くなるのが一般的で、それは令子の父親の公彦や妹のひのめにタイガーなんかも当てはまる一例だ。
令子や横島のようにたいしたリスクもなく希少で高い能力を維持できるのは、本当に希なことであった。
「六道のおばさまに相談しようかしら。」
現実的な実利を考えるとおキヌのGS免許は当面必要ないかと思うが、問題なのはおキヌがそこを理解してないことだろう。
おキヌにとってGSは特別なモノで令子や横島に近付く鍵だとすら思ってる節がある。
ただ令子からすると自分とおキヌの関係は免許の有無では変わらないし、横島とおキヌの関係にもGS免許は不要で和解を願うならばむしろ邪魔になるのではと思っていた。
母である美智恵はおキヌの幸せを第一に考えてくれるか自信がなく、どちらかと言えば六道冥菜の方がこの手の問題では頼りになると令子は考えている。
どうせ今年も卒業式での挨拶を頼まれるだろうから、その話が来たら相談してみようと思う。
「GSか。」
事務所のデスクの上には乱雑に散らかった書類があるが令子はそれを片付けることもなく考え込んでいる。
かおりと同じくおキヌも高校卒業なため一般的な六道女学院の生徒だと今年の春のGS試験に受けることが普段なのだが、令子はしばらくはGS試験を受けさせるのを控えようかと悩んでいた。
度々説明してるがGS免許は営利目的の除霊免許なので、一人で営利目的の除霊をしない限りは必ずしも必要な訳ではない。
横島が今も魔鈴の除霊を手伝ってる話は冥子からチラリと聞いていて、令子は横島にしてはいい手を思い付いたものだと関心している。
基本的に面倒なしがらみは少ない方がいいと考える令子はおキヌがGS免許を取得した際のリスクとリターンを最近考えていたが、どう考えても現状ではリスクの方が多いと思う。
「六道のおばさまよりママの方が信用出来ないのよね。」
一応おキヌがGSになるための根回しは済んでいるのだが、令子はそれでもおキヌにGS免許を取らせていいのか自信がない。
アシュタロス戦でもそうだったが人間はみんな勝手で信用出来なく、特に自分の母親が信用出来なことには令子も疲れたようにため息をはく。
そもそもアシュタロス戦に関してはアシュタロスが核ミサイルで人間を脅迫しなければ令子は人間に殺されていた可能性があり、令子の本音では自分を娘と呼んだアシュタロスの方がまだ信用出来るとすら思っていた。
身近な人間では横島の一件を見てもまだ六道家の方が信用出来て、母親である美智恵は令子ですらイマイチ信用出来ないのである。
無論令子自身のことは考えてくれてるのは理解しているものの、必要ならばおキヌですら利用するのは昨年のバレンタインで明らかだった。
「いっそ、何年かこのままってことも……。」
正直なところおキヌが独立して独り立ちしたいと考えるまではGS免許は必要ないかとも思う。
下手におキヌがGS免許を取得すると厄介な依頼が世界中から舞い込むことになりかねず、リスクばかりが高くなる。
おキヌ自身がそう言った他人の悪意を見抜き駆け引きが出来れば別にいいのだが、すぐに情に流される現状を見てると不安にしかならない。
実はネクロマンサーの正統な能力者が少ないのは、相手の心を理解するが故に闇落ちしたり廃人のようになったりする霊能者が少なくないからでもある。
基本的に霊能力は希少能力や強力な能力にはリスクが相応に高くなるのが一般的で、それは令子の父親の公彦や妹のひのめにタイガーなんかも当てはまる一例だ。
令子や横島のようにたいしたリスクもなく希少で高い能力を維持できるのは、本当に希なことであった。
「六道のおばさまに相談しようかしら。」
現実的な実利を考えるとおキヌのGS免許は当面必要ないかと思うが、問題なのはおキヌがそこを理解してないことだろう。
おキヌにとってGSは特別なモノで令子や横島に近付く鍵だとすら思ってる節がある。
ただ令子からすると自分とおキヌの関係は免許の有無では変わらないし、横島とおキヌの関係にもGS免許は不要で和解を願うならばむしろ邪魔になるのではと思っていた。
母である美智恵はおキヌの幸せを第一に考えてくれるか自信がなく、どちらかと言えば六道冥菜の方がこの手の問題では頼りになると令子は考えている。
どうせ今年も卒業式での挨拶を頼まれるだろうから、その話が来たら相談してみようと思う。