ゆく年くる年・2
当時からGS免許があったとはいえ二十歳そこそこで教会を破門された唐巣がフリーのGSとしてやっていくには閉鎖的なオカルト業界では障害が多かった。
元々唐巣はカトリック系のGSの師匠の元で修行したカトリック派に属するGSであったが、破門された結果既得権や権威がものを言うGS協会において所属する派閥を破門されたGSが満足に仕事を出来る環境はなかったのである。
そんな唐巣を拾ったのが当時若くして六道家の当主になった冥菜であり、彼女は唐巣に仕事を斡旋したりして支援したことから二人の関係は始まっていた。
「今でこそカトリック系のGSとも交流があるが、当時は絶縁状態で廃業も覚悟したよ。 私自身も世界や宗教や主に対して思うところがあったしね。」
そんな懐かしそうにしつつも少し恥ずかしそうに昔話を語る唐巣の言葉をかおりは食い入るように聞いている。
唐巣といえば日本で尤も立派なGSであると同時に宗教家だとも見られていた。
まあ自らの命を縮めるような過度な行いには最終的には自己満でしかないとの陰口もあったが、唐巣により救われた者は多いし影響を与えたGSもまた多い。
かおりは唐巣ほどのGSが自分と似たような悩みを抱えていたことがあると知り驚きを隠せなかった。
「結局私はGSを辞められなかった。 美神美智恵君との出会いとかいろいろあった結果、最終的には勝手に教会を建てて神父をしているんだよ。」
その後もあまり深くは語らなかったがあの唐巣ですら悩みながらGSを続けたという事実は、かおりにとって悩んでいる将来について改めて考えさせられるものになる。
「それと私は以前君に言ったね。 真実が必ずしも幸せに繋がるとは限らないと。 実はあの言葉も本当に正しいのかは私にも分からないのだよ。 もしかすれば私は後世の人に批判されるかもしれない。 だがそれでも私はこの道を選んだ。 これは主が私に与えた役割なのかもしれないと思うからね。」
そしてかおりの悩みの根源たるアシュタロス戦の真実については、唐巣ですら今も何が正しいのか分からないと聞くとかおりは唐巣が背負うものの重さを感じずにはいられなかった。
唐巣が何を守り何を後世に伝えたいのかまではかおりには正確には分からない。
ただすべてを背負う覚悟はかおりにはないものだった。
「GSは常に矛盾を抱えていかねばならない。 しかし仮に君がどんな道を選ぼうとも、君が真摯に目の前の現実と向き合うならばいつか必ず君なりの答えが見つかるだろうと私は思うよ。」
最後に唐巣のアドバイスを聞いたかおりは明確な答えが見つからぬまま帰るが、それは唐巣が安易な答えを示さなかった結果でもある。
ある意味唐巣はもっと悩めと言ったようなものであり、かおりもまた自分の悩みが酷く個人的な視野からの悩みだと気付いていた。
結果として矛盾を抱えライバル視している雪之丞との実力差も埋まらぬままのかおりは、それでもGSになりたいと改めて思うことになる。
唐巣の背負うモノの重さを知りたいと思うし、同時に自分の知らないその先の世界を見てみたいと思うことによって。
元々唐巣はカトリック系のGSの師匠の元で修行したカトリック派に属するGSであったが、破門された結果既得権や権威がものを言うGS協会において所属する派閥を破門されたGSが満足に仕事を出来る環境はなかったのである。
そんな唐巣を拾ったのが当時若くして六道家の当主になった冥菜であり、彼女は唐巣に仕事を斡旋したりして支援したことから二人の関係は始まっていた。
「今でこそカトリック系のGSとも交流があるが、当時は絶縁状態で廃業も覚悟したよ。 私自身も世界や宗教や主に対して思うところがあったしね。」
そんな懐かしそうにしつつも少し恥ずかしそうに昔話を語る唐巣の言葉をかおりは食い入るように聞いている。
唐巣といえば日本で尤も立派なGSであると同時に宗教家だとも見られていた。
まあ自らの命を縮めるような過度な行いには最終的には自己満でしかないとの陰口もあったが、唐巣により救われた者は多いし影響を与えたGSもまた多い。
かおりは唐巣ほどのGSが自分と似たような悩みを抱えていたことがあると知り驚きを隠せなかった。
「結局私はGSを辞められなかった。 美神美智恵君との出会いとかいろいろあった結果、最終的には勝手に教会を建てて神父をしているんだよ。」
その後もあまり深くは語らなかったがあの唐巣ですら悩みながらGSを続けたという事実は、かおりにとって悩んでいる将来について改めて考えさせられるものになる。
「それと私は以前君に言ったね。 真実が必ずしも幸せに繋がるとは限らないと。 実はあの言葉も本当に正しいのかは私にも分からないのだよ。 もしかすれば私は後世の人に批判されるかもしれない。 だがそれでも私はこの道を選んだ。 これは主が私に与えた役割なのかもしれないと思うからね。」
そしてかおりの悩みの根源たるアシュタロス戦の真実については、唐巣ですら今も何が正しいのか分からないと聞くとかおりは唐巣が背負うものの重さを感じずにはいられなかった。
唐巣が何を守り何を後世に伝えたいのかまではかおりには正確には分からない。
ただすべてを背負う覚悟はかおりにはないものだった。
「GSは常に矛盾を抱えていかねばならない。 しかし仮に君がどんな道を選ぼうとも、君が真摯に目の前の現実と向き合うならばいつか必ず君なりの答えが見つかるだろうと私は思うよ。」
最後に唐巣のアドバイスを聞いたかおりは明確な答えが見つからぬまま帰るが、それは唐巣が安易な答えを示さなかった結果でもある。
ある意味唐巣はもっと悩めと言ったようなものであり、かおりもまた自分の悩みが酷く個人的な視野からの悩みだと気付いていた。
結果として矛盾を抱えライバル視している雪之丞との実力差も埋まらぬままのかおりは、それでもGSになりたいと改めて思うことになる。
唐巣の背負うモノの重さを知りたいと思うし、同時に自分の知らないその先の世界を見てみたいと思うことによって。