ゆく年くる年・2
一月も中旬に入る頃になると街は正月飾りは見られなくなり早くも節分やバレンタインやの文字が目立つようになる。
キナ臭くなる周囲をよそに魔鈴の店ではここ数日節分やバレンタインをどうしようかと考え始めていた。
「節分は今まで何もやってなかったんですよね。 まさかレストランで豆を売るわけにもいきませんし。」
この日お昼の時間を過ぎて店内が空いてる時間に昼食にする魔鈴達は食べながら二月のイベントの話をしていたが、魔鈴は自分の店に節分は合わないだろうと考え今までは何もして来なかったことを告げる。
霊能者という立場もあって厄除けの行事で商売をしようとは考えなかったのだが、横島はその点あまり気にしないので何かやりたいようでここ数日頭を悩ませていた。
「豆は流石に。」
「後はいわしですかね。 鬼はいわしを焼く匂いを好まないので節分には焼いたいわしの頭を厄除けにもするんですよ。 ただこの習慣関東だとあまり見られないんです。 ああ、関西だと太巻きも食べるようですけどこれも関東だと馴染みがなくて。」
「太巻きなら知ってますよ。 丸かぶりするんすよね。」
節分というと豆まきをするということは子供でも知っているが、柊に刺したいわしの頭を厄除けにしたり太巻きを食べる習慣もある。
魔鈴は流石にプロの霊能者なのでその辺りの事情は詳しいのだが、関東ではあまり馴染みがないこともあるし正直欧風多国籍料理の店である魔鈴の店でやるようなイベントには思えないらしい。
「ハロウィンの件もありますし、普通にイベントとして考えてもいいんですけど。」
尤も昨年のハロウィンでは本来の意味をあまり気にせずに純粋にイベントとして行った結果、短期的には効果はなかったが長期的には客層を広げる一因になっていた。
正確な数字として数えてる訳ではないがハロウィン以降、家族連れや主婦層の客が広がったように思える。
まあこれは同じく昨年始めた弁当販売の影響も大きいと思われるが。
「洋風の太巻きとか出来ないっすか?」
「拙者は肉巻きがいいでござる!」
「あんたね、それもう寿司じゃないわよ。」
基本的に横島は思い付くままにアイデアをぽんぽんと口に出していき、同じく思い付くままに料理といえば必ず肉を持ち出すシロが続くと魔鈴とタマモは困った表情を見せる。
アイデアを出してくれるのは嬉しいが実際に料理として考えるのは大変なのだ。
まあそれでも以前のように一人で店を経営していた頃に比べるとこうしてみんなで話ながら考えるのは格段に楽しいのだが。
「うーん、いなり寿司も販売してますし太巻きも販売してみてもいいんですが。 普通じゃわざわざ売る意味がないんですよね。」
結局魔鈴は横島とシロの意見を踏まえて太巻きの試作をしてみることにするが、節分から離れるくらいなら魔鈴としてはいっそのこといわし料理にした方がいいような気もする。
「あとはバレンタインかぁ。 本当いい思い出ないんだよな。 学校を卒業してせいせいするわ。」
一方横島は続けてバレンタインのことを考えていたが、今年は学校を卒業したので気楽なようであった。
昔からチョコレートをたくさん貰う銀一やピートを見てどれほど嫌な思いをして来たか分からない。
横島の人間不振の根源たる過去なだけに未だにそれを思い出すと不機嫌になる。
「銀一さんはともかくピートさんは今年はどうなんでしょうね。」
「あいつは今年も大量に貰うに決まってますよ。」
未だにモテる男に嫉妬する横島は気付かないが、魔鈴は横島と同じく学校を卒業したピートは横島が思うようにチョコレートを貰わないだろうと見ていた。
ピートが貰っていたチョコのほとんどはイベントを楽しむ為のチョコであり本気だとは魔鈴には思えない。
事実ピートが卒業してからも付き合いがあるのは横島達を除くとクラスメートの一部でしかないのだ。
というか魔鈴は本気ではない義理のようなチョコを横島は大量に欲しいのだろうかと疑問に感じていた。
キナ臭くなる周囲をよそに魔鈴の店ではここ数日節分やバレンタインをどうしようかと考え始めていた。
「節分は今まで何もやってなかったんですよね。 まさかレストランで豆を売るわけにもいきませんし。」
この日お昼の時間を過ぎて店内が空いてる時間に昼食にする魔鈴達は食べながら二月のイベントの話をしていたが、魔鈴は自分の店に節分は合わないだろうと考え今までは何もして来なかったことを告げる。
霊能者という立場もあって厄除けの行事で商売をしようとは考えなかったのだが、横島はその点あまり気にしないので何かやりたいようでここ数日頭を悩ませていた。
「豆は流石に。」
「後はいわしですかね。 鬼はいわしを焼く匂いを好まないので節分には焼いたいわしの頭を厄除けにもするんですよ。 ただこの習慣関東だとあまり見られないんです。 ああ、関西だと太巻きも食べるようですけどこれも関東だと馴染みがなくて。」
「太巻きなら知ってますよ。 丸かぶりするんすよね。」
節分というと豆まきをするということは子供でも知っているが、柊に刺したいわしの頭を厄除けにしたり太巻きを食べる習慣もある。
魔鈴は流石にプロの霊能者なのでその辺りの事情は詳しいのだが、関東ではあまり馴染みがないこともあるし正直欧風多国籍料理の店である魔鈴の店でやるようなイベントには思えないらしい。
「ハロウィンの件もありますし、普通にイベントとして考えてもいいんですけど。」
尤も昨年のハロウィンでは本来の意味をあまり気にせずに純粋にイベントとして行った結果、短期的には効果はなかったが長期的には客層を広げる一因になっていた。
正確な数字として数えてる訳ではないがハロウィン以降、家族連れや主婦層の客が広がったように思える。
まあこれは同じく昨年始めた弁当販売の影響も大きいと思われるが。
「洋風の太巻きとか出来ないっすか?」
「拙者は肉巻きがいいでござる!」
「あんたね、それもう寿司じゃないわよ。」
基本的に横島は思い付くままにアイデアをぽんぽんと口に出していき、同じく思い付くままに料理といえば必ず肉を持ち出すシロが続くと魔鈴とタマモは困った表情を見せる。
アイデアを出してくれるのは嬉しいが実際に料理として考えるのは大変なのだ。
まあそれでも以前のように一人で店を経営していた頃に比べるとこうしてみんなで話ながら考えるのは格段に楽しいのだが。
「うーん、いなり寿司も販売してますし太巻きも販売してみてもいいんですが。 普通じゃわざわざ売る意味がないんですよね。」
結局魔鈴は横島とシロの意見を踏まえて太巻きの試作をしてみることにするが、節分から離れるくらいなら魔鈴としてはいっそのこといわし料理にした方がいいような気もする。
「あとはバレンタインかぁ。 本当いい思い出ないんだよな。 学校を卒業してせいせいするわ。」
一方横島は続けてバレンタインのことを考えていたが、今年は学校を卒業したので気楽なようであった。
昔からチョコレートをたくさん貰う銀一やピートを見てどれほど嫌な思いをして来たか分からない。
横島の人間不振の根源たる過去なだけに未だにそれを思い出すと不機嫌になる。
「銀一さんはともかくピートさんは今年はどうなんでしょうね。」
「あいつは今年も大量に貰うに決まってますよ。」
未だにモテる男に嫉妬する横島は気付かないが、魔鈴は横島と同じく学校を卒業したピートは横島が思うようにチョコレートを貰わないだろうと見ていた。
ピートが貰っていたチョコのほとんどはイベントを楽しむ為のチョコであり本気だとは魔鈴には思えない。
事実ピートが卒業してからも付き合いがあるのは横島達を除くとクラスメートの一部でしかないのだ。
というか魔鈴は本気ではない義理のようなチョコを横島は大量に欲しいのだろうかと疑問に感じていた。