ゆく年くる年
「横島さん……、こういうの一番ダメなんですよ」
久しぶりの本格的な運動に課題や成果が明らかになった横島と魔鈴だが、ジムからの帰り道に偶然通りかかったたこ焼き屋で買い食いしていた。
ちょうど小腹が空いた横島が渋る魔鈴をなだめつつもたこ焼きを買ってしまったのだが、魔鈴はせっかく運動したことが無駄になると珍しく表情が渋い。
「少しくらい大丈夫ですって。 魔鈴さんも1つどうぞ」
たこ焼きの前にある椅子に座った横島は熱々のたこ焼きを旨そうに食べると当然ながら魔鈴にも勧める。
季節的に熱々のたこ焼きは本当に美味しそうで時間的にもちょうどお腹が空く頃なのだ。
少し迷った魔鈴だがあまりに美味しそうに食べる横島につられてついつい食べてしまう。
「あら、美味しい」
「そういえばダイエットの魔法薬とかないんっすか? ありそうな気がしますけど」
「ありますよ。 強力なのから自然に近いものまでいろいろと。 昔からその手の薬は需要が高かったですしね。 ただ前にも別の魔法の時に言いましたが、基本的に自然の流れを無理に変えるのは良くないんですよ。 まあ新陳代謝をわずかに向上させる程度の魔法薬ならば問題はないんでしょうけど」
運動したあとの間食の味は格別だったらしく思わず表情が緩む魔鈴に横島は、ふとオカルト技術で手っ取り早くダイエットが出来ないのかと考えてしまう。
そんな横島の考えを瞬時に見抜いたのか、魔鈴は少し困ったような表情を見せると魔法薬でのダイエットについて語り出す。
元々白魔法系統が得意であり専門の魔鈴は魔法薬なんかについては世界でも屈指の実力者である。
失われた中世以前の魔法を蘇らせ現代の知識や技術と合わせる形で魔法料理を作り上げたが、その原点は魔法で人びとの役に立ちたいとの思いからだったのだ。
イギリス留学の当初魔鈴は得意な癒し系の魔法薬などから研究を始めたとの過去もある。
それがいつしか失われた魔法の研究に変わったが結果として得られた知識や技術は強力な物ばかりであり、魔鈴は当然ながらその影響も慎重に研究していた。
最終的に魔鈴がたどり着いた結論は、魔法とは強力になればなるほど自然に逆らうものであり負担も大きいとの結論だった。
「私の研究では一番自然に近く負担がない魔法はすでに魔法料理に使ってる魔法なんですよ。 食材や料理の効果を引き出しそれを食事として身体に取り込むのが一番いいんです。 なのでダイエットに魔法薬を使うのは私はオススメ出来ませんし自分でもしたくはありません」
「へー、そうなんっすか。 それじゃ文珠で痩せるのも良くないんっすかね」
「文珠はまた特殊ですからね。正確には研究してみないことにはなんとも……、ただ正直なところそういう使い方は止めた方がいいとは思いますよ。 そもそも太る太らないは食生活や生活習慣で改善できるのが大半ですからね」
一瞬ダイエットの魔法薬なんかを売り出せばバカ売れするんじゃないかと思った横島だが、魔鈴の説明にやはりそんな簡単にいかないのだとしみじみと感じる。
「尤も現状以上の知識や技術や経験を積めば安全なダイエット魔法薬を作れる気もしますけどね。 元々魔法は科学とは別の視点のものですし、現代知識や科学を魔法に少し合わせるだけでも可能性は更に広がるんですけどね」
一方の魔鈴は魔法薬のリスクから安易な使用には慎重な姿勢だったが、同時に研究者としては魔法薬はまだまだ未知の可能性があるとは考えているらしい。
ただしそんな可能性は魔鈴が天才とも言えるオカルトの才能がある故に見えてるもので、並の霊能者には間違っても見える世界ではないが。
久しぶりの本格的な運動に課題や成果が明らかになった横島と魔鈴だが、ジムからの帰り道に偶然通りかかったたこ焼き屋で買い食いしていた。
ちょうど小腹が空いた横島が渋る魔鈴をなだめつつもたこ焼きを買ってしまったのだが、魔鈴はせっかく運動したことが無駄になると珍しく表情が渋い。
「少しくらい大丈夫ですって。 魔鈴さんも1つどうぞ」
たこ焼きの前にある椅子に座った横島は熱々のたこ焼きを旨そうに食べると当然ながら魔鈴にも勧める。
季節的に熱々のたこ焼きは本当に美味しそうで時間的にもちょうどお腹が空く頃なのだ。
少し迷った魔鈴だがあまりに美味しそうに食べる横島につられてついつい食べてしまう。
「あら、美味しい」
「そういえばダイエットの魔法薬とかないんっすか? ありそうな気がしますけど」
「ありますよ。 強力なのから自然に近いものまでいろいろと。 昔からその手の薬は需要が高かったですしね。 ただ前にも別の魔法の時に言いましたが、基本的に自然の流れを無理に変えるのは良くないんですよ。 まあ新陳代謝をわずかに向上させる程度の魔法薬ならば問題はないんでしょうけど」
運動したあとの間食の味は格別だったらしく思わず表情が緩む魔鈴に横島は、ふとオカルト技術で手っ取り早くダイエットが出来ないのかと考えてしまう。
そんな横島の考えを瞬時に見抜いたのか、魔鈴は少し困ったような表情を見せると魔法薬でのダイエットについて語り出す。
元々白魔法系統が得意であり専門の魔鈴は魔法薬なんかについては世界でも屈指の実力者である。
失われた中世以前の魔法を蘇らせ現代の知識や技術と合わせる形で魔法料理を作り上げたが、その原点は魔法で人びとの役に立ちたいとの思いからだったのだ。
イギリス留学の当初魔鈴は得意な癒し系の魔法薬などから研究を始めたとの過去もある。
それがいつしか失われた魔法の研究に変わったが結果として得られた知識や技術は強力な物ばかりであり、魔鈴は当然ながらその影響も慎重に研究していた。
最終的に魔鈴がたどり着いた結論は、魔法とは強力になればなるほど自然に逆らうものであり負担も大きいとの結論だった。
「私の研究では一番自然に近く負担がない魔法はすでに魔法料理に使ってる魔法なんですよ。 食材や料理の効果を引き出しそれを食事として身体に取り込むのが一番いいんです。 なのでダイエットに魔法薬を使うのは私はオススメ出来ませんし自分でもしたくはありません」
「へー、そうなんっすか。 それじゃ文珠で痩せるのも良くないんっすかね」
「文珠はまた特殊ですからね。正確には研究してみないことにはなんとも……、ただ正直なところそういう使い方は止めた方がいいとは思いますよ。 そもそも太る太らないは食生活や生活習慣で改善できるのが大半ですからね」
一瞬ダイエットの魔法薬なんかを売り出せばバカ売れするんじゃないかと思った横島だが、魔鈴の説明にやはりそんな簡単にいかないのだとしみじみと感じる。
「尤も現状以上の知識や技術や経験を積めば安全なダイエット魔法薬を作れる気もしますけどね。 元々魔法は科学とは別の視点のものですし、現代知識や科学を魔法に少し合わせるだけでも可能性は更に広がるんですけどね」
一方の魔鈴は魔法薬のリスクから安易な使用には慎重な姿勢だったが、同時に研究者としては魔法薬はまだまだ未知の可能性があるとは考えているらしい。
ただしそんな可能性は魔鈴が天才とも言えるオカルトの才能がある故に見えてるもので、並の霊能者には間違っても見える世界ではないが。