ゆく年くる年
次に弓かおりの正月はおキヌ同様に忙しかった。
実家の闘竜寺も氷室神社同様に初詣の客や檀家の人々の来客で賑わっている。
まあこちらは氷室神社と違い弟子も居るし巫女さんのアルバイトも居るのでおキヌよりは楽だったが、闘竜寺の後継者でもあるかおりがゆっくり出来るはずもなく忙しい。
相変わらず霊能の修行は続けていたが広がってしまった雪之丞との差は、簡単に埋まるはずもなく足掻く日々が続いている。
無論かおりに才能がないとか努力が足りない訳ではなく、常に最前線で命を懸け妙神山や天狗との修行などで半ば人外の領域で努力する雪之丞に並の方法で追い付くのは不可能だった。
加えて魔鈴の修行により元々粗削りだった基礎技術が向上したため、余計に差が広がるのは仕方ないことだろう。
実際知識などを加えたGSとしての総合的な実力は相変わらずかおりが上である。
まあかおりの父や一般の霊能者からすればそんなに戦闘技術だけを磨いてどうするのかと思われてるだろうが、霊能に人生を賭けて来たかおりは負けたくなかった。
「鬼道先生も本当に容赦ないよな」
そして一文字魔理だったが、流石に六道女学院も元旦から三日までは完全に休みである。
魔理はそれでも正月返上での修行を鬼道に頼んだが、鬼道本人はともかく他の先生や生徒の手間出来ないと断られた代わりにたっぷりと霊能の宿題を出されていた。
本来三年で覚える霊能の知識をほとんど覚えてない彼女には、この正月休みを利用してたっぷりと宿題が出されたのだ。
「六道女学院は難しい勉強をしてますノー」
結果として彼女はタイガーを誘って朝から晩まで勉強漬けの正月になっている。
元々海外生まれの上人見知りのタイガーは、日本にはエミや横島達以上に友達や知り合いが居るはずもなく暇だった。
しかも春にGS試験に合格して以降は、雪之丞に負けないようにと彼も努力をしている。
「しかし、あの雪之丞さんが勉強してるとはな~。 今だに信じられないよ」
「魔鈴さんも厳しいですケン」
そんな訳でタイガーと二人なんとか頭を使って勉強していく魔理だったが、ふとだいぶ前にタイガーから聞いた雪之丞がGSの勉強をしてるという話を思い出すと今だに信じられないとつぶやく。
随分失礼な話だが以前から噂に聞く雪之丞は、魔理が共感するほど力に傾倒していただけに仕方ないのかもしれない。
「あの人も見た目は優しそうなのにな」
雪之丞の話から話題は魔鈴へと変わるが、タイガーは二人の関係を完全な師弟の関係だと言い切って教えていた。
魔鈴は友人半分弟子半分のつもりだったが、雪之丞は公私を分けておりGSとしては完全に弟子のつもりなのである。
正直魔理にとって魔鈴はあまり関わる機会がないだけに、前回厳しくダメ出しされるまでは厳しいと言われてもしっくりこないほどだった。
だがタイガーはエミと同じくらい厳しいと教えていたらしい。
尤も言葉がきつく怒ることもあるエミに対し魔鈴は決して言葉を荒げないし怒ることはないが、要求する内容や教えはもしかするとエミより厳しいかもしれないとすらタイガーは感じている。
特に霊能に関しては雪之丞に対する指導は、あの笑顔と真逆の厳しさだとシミジミと感じてるのだ。
結局二人は元旦から勉強に励むが、度々脱線したり止まったりと決して捗ることはなかった。
タイガーはともかく魔理は中学の半ばでグレたので、何年もまともな勉強経験がなく勉強の仕方すら怪しいほどだったのだから。
加えてやる気と根性はあれど集中力はイマイチなので、こればっかりはどうしようもなかった。
実家の闘竜寺も氷室神社同様に初詣の客や檀家の人々の来客で賑わっている。
まあこちらは氷室神社と違い弟子も居るし巫女さんのアルバイトも居るのでおキヌよりは楽だったが、闘竜寺の後継者でもあるかおりがゆっくり出来るはずもなく忙しい。
相変わらず霊能の修行は続けていたが広がってしまった雪之丞との差は、簡単に埋まるはずもなく足掻く日々が続いている。
無論かおりに才能がないとか努力が足りない訳ではなく、常に最前線で命を懸け妙神山や天狗との修行などで半ば人外の領域で努力する雪之丞に並の方法で追い付くのは不可能だった。
加えて魔鈴の修行により元々粗削りだった基礎技術が向上したため、余計に差が広がるのは仕方ないことだろう。
実際知識などを加えたGSとしての総合的な実力は相変わらずかおりが上である。
まあかおりの父や一般の霊能者からすればそんなに戦闘技術だけを磨いてどうするのかと思われてるだろうが、霊能に人生を賭けて来たかおりは負けたくなかった。
「鬼道先生も本当に容赦ないよな」
そして一文字魔理だったが、流石に六道女学院も元旦から三日までは完全に休みである。
魔理はそれでも正月返上での修行を鬼道に頼んだが、鬼道本人はともかく他の先生や生徒の手間出来ないと断られた代わりにたっぷりと霊能の宿題を出されていた。
本来三年で覚える霊能の知識をほとんど覚えてない彼女には、この正月休みを利用してたっぷりと宿題が出されたのだ。
「六道女学院は難しい勉強をしてますノー」
結果として彼女はタイガーを誘って朝から晩まで勉強漬けの正月になっている。
元々海外生まれの上人見知りのタイガーは、日本にはエミや横島達以上に友達や知り合いが居るはずもなく暇だった。
しかも春にGS試験に合格して以降は、雪之丞に負けないようにと彼も努力をしている。
「しかし、あの雪之丞さんが勉強してるとはな~。 今だに信じられないよ」
「魔鈴さんも厳しいですケン」
そんな訳でタイガーと二人なんとか頭を使って勉強していく魔理だったが、ふとだいぶ前にタイガーから聞いた雪之丞がGSの勉強をしてるという話を思い出すと今だに信じられないとつぶやく。
随分失礼な話だが以前から噂に聞く雪之丞は、魔理が共感するほど力に傾倒していただけに仕方ないのかもしれない。
「あの人も見た目は優しそうなのにな」
雪之丞の話から話題は魔鈴へと変わるが、タイガーは二人の関係を完全な師弟の関係だと言い切って教えていた。
魔鈴は友人半分弟子半分のつもりだったが、雪之丞は公私を分けておりGSとしては完全に弟子のつもりなのである。
正直魔理にとって魔鈴はあまり関わる機会がないだけに、前回厳しくダメ出しされるまでは厳しいと言われてもしっくりこないほどだった。
だがタイガーはエミと同じくらい厳しいと教えていたらしい。
尤も言葉がきつく怒ることもあるエミに対し魔鈴は決して言葉を荒げないし怒ることはないが、要求する内容や教えはもしかするとエミより厳しいかもしれないとすらタイガーは感じている。
特に霊能に関しては雪之丞に対する指導は、あの笑顔と真逆の厳しさだとシミジミと感じてるのだ。
結局二人は元旦から勉強に励むが、度々脱線したり止まったりと決して捗ることはなかった。
タイガーはともかく魔理は中学の半ばでグレたので、何年もまともな勉強経験がなく勉強の仕方すら怪しいほどだったのだから。
加えてやる気と根性はあれど集中力はイマイチなので、こればっかりはどうしようもなかった。