ゆく年くる年
さてその後も横島と両親の間には僅かに微妙な空気が流れるも、それは険悪になるほどではなく日常的によくあることだった。
魔鈴は大樹と百合子に泊まることを勧めたが、二人は正月くらいはゆっくりしなさいと年を越す前に帰ってく。
流石に横島の両親が居れば、魔鈴がゆっくり出来ないだろうと気を使ったらしい。
「年越蕎麦が出来ましたよ」
両親が帰ると横島達もお酒を終えて年越蕎麦を食べるが、横島の気分的には飲んだ後シメにラーメンを食べる感じだ。
ダシの利いたあっさり目のおつゆにお揚げや肉やネギなどの具がたっぷり入った魔鈴特製の蕎麦は、横島のみならずシロとタマモも大好物である。
みんなそれぞれにいろいろあったが、今年も無事に終わることが出来たことに感謝しながら年越し蕎麦を食べていた。
ほんの一年前までは横島も魔鈴も雪之丞も大変だっただけに今年も決して平和なだけだったとは言えなかったが、それでも後半は穏やかな日々であった。
店は順調そのものだし除霊も雪之丞の成長と共に魔鈴の負担は確実に減っている。
こんな日々がずっと続いて欲しいと願いつつ年越しを迎えた。
そして年が明けた翌日である元旦は、いつもよりゆっくりと起きてお節料理とお雑煮で朝食にする。
雪之丞は昨夜は泊まっているが、朝食を食べると母親の墓参りに行くと告げて帰ってしまい残る横島達はのんびりとしていた。
魔鈴は店を三が日まで休む予定だが、明日は妙神山に行く予定なので今日は初詣と横島の両親への挨拶と魔鈴が育った孤児院に顔を出すくらいしか考えてない。
ちなみに魔鈴の出身孤児院については、子供達個人へお年玉をあげるのは出来ない決まりだった。
これに関しては個人単位でお年玉あげると金額的な負担が大きいことが主な理由で、出身者においても誰もが魔鈴のように成功してる訳ではない。
出身者には気軽に帰って来て欲しいとの孤児院側の考えにより、個人単位でのお年玉やプレゼントは控えてもらっているのだ。
極論をいえばお年玉をあげる人とあげれない人が出ると、あげれない人が帰りにくくなることを懸念した為である。
ただ出身者からは毎年お年玉にと孤児院側に寄付が集まるので、孤児院側では一度集まったお年玉を子供達に出身者からのお年玉だと告げて分配していた。
その金額は決して多くはないが、子供達にとっては嬉しいものであり魔鈴も毎年送っている。
「初詣か。 ぶっちゃけ明日妙神山に行くんだから小竜姫様を拝んだ方がよくないか?」
「それは小竜姫様が困りますよ」
結局朝食を食べてしばらくのんびりとした横島達はお昼前に家を出るが、横島は御利益の期待出来ない神様よりは小竜姫を拝んだ方がいいのではと素の表情で呟くが、当然困ったような表情の魔鈴に止められた。
「本来の日本のお正月は神道の儀式の一つなんですよ。 初詣はその年の歳神様のいる方角への参拝がいいとも言われてますし、本当は何処でもいい訳ではないんです」
「へ~、あのじい様を拝むんっすか」
初詣自体をただのイベントと同様に考える横島に魔鈴は少し苦笑いを浮かべつつ本来の意味を簡単に説明するが、横島が歳神と干支に絡まれた経験があると語ると魔鈴は反応に困ったらしく複雑そうな表情に変わる。
何故こうも毎回有り得ないような過去が出て来るのか、魔鈴は不思議で仕方なかった。
魔鈴は大樹と百合子に泊まることを勧めたが、二人は正月くらいはゆっくりしなさいと年を越す前に帰ってく。
流石に横島の両親が居れば、魔鈴がゆっくり出来ないだろうと気を使ったらしい。
「年越蕎麦が出来ましたよ」
両親が帰ると横島達もお酒を終えて年越蕎麦を食べるが、横島の気分的には飲んだ後シメにラーメンを食べる感じだ。
ダシの利いたあっさり目のおつゆにお揚げや肉やネギなどの具がたっぷり入った魔鈴特製の蕎麦は、横島のみならずシロとタマモも大好物である。
みんなそれぞれにいろいろあったが、今年も無事に終わることが出来たことに感謝しながら年越し蕎麦を食べていた。
ほんの一年前までは横島も魔鈴も雪之丞も大変だっただけに今年も決して平和なだけだったとは言えなかったが、それでも後半は穏やかな日々であった。
店は順調そのものだし除霊も雪之丞の成長と共に魔鈴の負担は確実に減っている。
こんな日々がずっと続いて欲しいと願いつつ年越しを迎えた。
そして年が明けた翌日である元旦は、いつもよりゆっくりと起きてお節料理とお雑煮で朝食にする。
雪之丞は昨夜は泊まっているが、朝食を食べると母親の墓参りに行くと告げて帰ってしまい残る横島達はのんびりとしていた。
魔鈴は店を三が日まで休む予定だが、明日は妙神山に行く予定なので今日は初詣と横島の両親への挨拶と魔鈴が育った孤児院に顔を出すくらいしか考えてない。
ちなみに魔鈴の出身孤児院については、子供達個人へお年玉をあげるのは出来ない決まりだった。
これに関しては個人単位でお年玉あげると金額的な負担が大きいことが主な理由で、出身者においても誰もが魔鈴のように成功してる訳ではない。
出身者には気軽に帰って来て欲しいとの孤児院側の考えにより、個人単位でのお年玉やプレゼントは控えてもらっているのだ。
極論をいえばお年玉をあげる人とあげれない人が出ると、あげれない人が帰りにくくなることを懸念した為である。
ただ出身者からは毎年お年玉にと孤児院側に寄付が集まるので、孤児院側では一度集まったお年玉を子供達に出身者からのお年玉だと告げて分配していた。
その金額は決して多くはないが、子供達にとっては嬉しいものであり魔鈴も毎年送っている。
「初詣か。 ぶっちゃけ明日妙神山に行くんだから小竜姫様を拝んだ方がよくないか?」
「それは小竜姫様が困りますよ」
結局朝食を食べてしばらくのんびりとした横島達はお昼前に家を出るが、横島は御利益の期待出来ない神様よりは小竜姫を拝んだ方がいいのではと素の表情で呟くが、当然困ったような表情の魔鈴に止められた。
「本来の日本のお正月は神道の儀式の一つなんですよ。 初詣はその年の歳神様のいる方角への参拝がいいとも言われてますし、本当は何処でもいい訳ではないんです」
「へ~、あのじい様を拝むんっすか」
初詣自体をただのイベントと同様に考える横島に魔鈴は少し苦笑いを浮かべつつ本来の意味を簡単に説明するが、横島が歳神と干支に絡まれた経験があると語ると魔鈴は反応に困ったらしく複雑そうな表情に変わる。
何故こうも毎回有り得ないような過去が出て来るのか、魔鈴は不思議で仕方なかった。