ゆく年くる年
施設は当面は六道女学院を間借りする予定で、生徒も来年度は三十人程度を予定しており決して多くはない。
ただ対象が六道女学院卒業者であることから、ここ数年の卒業者で現在もGS助手や一般のアルバイトをしながら真剣にGSを目指してる人数は限られており人数的にはその程度だろうとの読みである。
講師に関しては現状の霊能者の教員では足りずに引退したGSを数人ほど臨時講師として雇用す予定であり、六道女学院の施設を間借りすることで費用を極力抑えようとの試みだった。
「出来れば中学も設立したいんだけどね~」
そんな訳でGS養成塾の設立を教師陣に伝えた冥菜だったが、彼女が現在一番進めたいのは実は六道女学院の付属中学や付属小学である。
霊能者育成の上で重要なのは伸び盛りの若い頃にどれだけ適切な修行を出来るかであり、その為には出来れば小学や中学から霊能の勉強や修行をさせたいのが本音だった。
ただ学校の設立には相当な資金が必要になるし、霊能科を設立するには更に資金が必要になる。
最終的には小学から大学までの霊能の一貫教育が理想ではあるが、現状では六道女学院の霊能科の共学化が真剣に検討されてる程度なのだ。
資金の確保から始まり採算や将来的なGS業界に与える影響など、検討しなければならない問題は山積みだった。
そういう意味では女学院の霊能科は試験的な意味合いも強かったりする。
「それで理事長、授業料や入学金はいかほどのご予定で」
さて予期せぬタイミングでの養成塾の発表に驚く教師陣だったが、真っ先に上がった質問は授業料に関してだった。
今回のGS養成塾は長年生徒を見てきた教師陣達からは喜ばれたが、同時に高額な授業料や入学金を取るならば本当に必要な者達が入れない可能性があった。
正直養成塾が必要な生徒の大半はオカルト業界に関わりの少ない一般家庭の生まれであり、かつ高額な授業料や入学金を支払えない者も少なくない。
加えて才能とやる気は別だという現実的な問題もある。
「授業料は奨学金を導入する予定なのよ~ 流石に赤字には出来ないもの~」
期待と不安が入り混じった教師達に冥菜は具体的な金額はまだ未定だとしながらも、奨学金の創設を来年度から始めたいとも語った。
この奨学金に関しては卒業生にも広く寄付を頼み、六道女学院の霊能科にも来年度から適応したいと考えている。
経営者としては最低限赤字は出せないが、どうにかして業界の門戸は広げたいのだ。
(お金の為にGSが減るのはナンセンスなのよね~)
この時冥菜の頭には横島と自分が知る数多くのGS達の顔が次々に過ぎっていた。
誰もが横島のように才能がある訳ではないが、自分のちょっとした才能に気付いていても閉鎖的な業界に尻込みしてGSを目指さない者は多いだろうと思う。
そんな者達が一人でも多く六道女学院を卒業して、社会や六道家に明るい未来をもたらして欲しいと願わずにはいられなかった。
平時に英雄は不要だと考え横島のGS引退を静かに見守った冥菜だったが、同時にその才能を惜しみ少し寂しく感じるのも事実なのだ。
まして冥菜は横島が令子から独り立ちした後の神魔との交流を知ってる一人であり、その価値を誰よりも理解している。
同じ過ちは繰り返してはならない。
GS協会幹部達が半ば他人事として割り切った横島引退の事実を、冥菜は今だに心に留めたまま未来を見ていた。
ただ対象が六道女学院卒業者であることから、ここ数年の卒業者で現在もGS助手や一般のアルバイトをしながら真剣にGSを目指してる人数は限られており人数的にはその程度だろうとの読みである。
講師に関しては現状の霊能者の教員では足りずに引退したGSを数人ほど臨時講師として雇用す予定であり、六道女学院の施設を間借りすることで費用を極力抑えようとの試みだった。
「出来れば中学も設立したいんだけどね~」
そんな訳でGS養成塾の設立を教師陣に伝えた冥菜だったが、彼女が現在一番進めたいのは実は六道女学院の付属中学や付属小学である。
霊能者育成の上で重要なのは伸び盛りの若い頃にどれだけ適切な修行を出来るかであり、その為には出来れば小学や中学から霊能の勉強や修行をさせたいのが本音だった。
ただ学校の設立には相当な資金が必要になるし、霊能科を設立するには更に資金が必要になる。
最終的には小学から大学までの霊能の一貫教育が理想ではあるが、現状では六道女学院の霊能科の共学化が真剣に検討されてる程度なのだ。
資金の確保から始まり採算や将来的なGS業界に与える影響など、検討しなければならない問題は山積みだった。
そういう意味では女学院の霊能科は試験的な意味合いも強かったりする。
「それで理事長、授業料や入学金はいかほどのご予定で」
さて予期せぬタイミングでの養成塾の発表に驚く教師陣だったが、真っ先に上がった質問は授業料に関してだった。
今回のGS養成塾は長年生徒を見てきた教師陣達からは喜ばれたが、同時に高額な授業料や入学金を取るならば本当に必要な者達が入れない可能性があった。
正直養成塾が必要な生徒の大半はオカルト業界に関わりの少ない一般家庭の生まれであり、かつ高額な授業料や入学金を支払えない者も少なくない。
加えて才能とやる気は別だという現実的な問題もある。
「授業料は奨学金を導入する予定なのよ~ 流石に赤字には出来ないもの~」
期待と不安が入り混じった教師達に冥菜は具体的な金額はまだ未定だとしながらも、奨学金の創設を来年度から始めたいとも語った。
この奨学金に関しては卒業生にも広く寄付を頼み、六道女学院の霊能科にも来年度から適応したいと考えている。
経営者としては最低限赤字は出せないが、どうにかして業界の門戸は広げたいのだ。
(お金の為にGSが減るのはナンセンスなのよね~)
この時冥菜の頭には横島と自分が知る数多くのGS達の顔が次々に過ぎっていた。
誰もが横島のように才能がある訳ではないが、自分のちょっとした才能に気付いていても閉鎖的な業界に尻込みしてGSを目指さない者は多いだろうと思う。
そんな者達が一人でも多く六道女学院を卒業して、社会や六道家に明るい未来をもたらして欲しいと願わずにはいられなかった。
平時に英雄は不要だと考え横島のGS引退を静かに見守った冥菜だったが、同時にその才能を惜しみ少し寂しく感じるのも事実なのだ。
まして冥菜は横島が令子から独り立ちした後の神魔との交流を知ってる一人であり、その価値を誰よりも理解している。
同じ過ちは繰り返してはならない。
GS協会幹部達が半ば他人事として割り切った横島引退の事実を、冥菜は今だに心に留めたまま未来を見ていた。