ゆく年くる年
さて同じ日、令子は氷室家から帰って来ていた。
元々二~三泊の予定だったのが予定外の除霊をした影響か数日伸びたのだが、流石に年末年始は家族水入らずで過ごしてほしいと告げて帰って来ている。
実際には氷室神社も年初めは初詣などで忙しく、令子の相手をする者が居ないとの理由もあったが。
ちなみに除霊の方はすでに年明けまで長期休業中であり、帰って来てもやることは幼い妹の面倒を見るくらいであった。
「ねいちゃ」
「ひのめ、それは触っちゃダメよ」
結局帰って来て早々に妹であるひのめの面倒を頼まれる令子だったが、最近言葉を話し始めたからかよくしゃべるようになっている。
しかも好奇心旺盛であり、間違っても事務所や台所では目が離せない。
基本的にはリビングや寝室で自由にさせているが、手の届く範囲に物を置けないなど見た目以上に子育ては大変だった。
「全く……、いい加減な夫婦よね」
令子にとってひのめは数少ない気心を許せる可愛い妹なのだが、だからこそひのめが育つに従って母親である美智恵に苛立ちを募らせることが増えている。
ひのめの子育ては令子やおキヌの協力が無ければ成立しないのが現状であり、令子にはそんな状況にしている両親が気に入らなかった。
その原因にアシュタロス戦の無理が今も影響していることは十分理解はしているが、実は令子とすれば真実を無理に隠し続けることには必ずしも百パーセント賛成ではない。
無論真実を自分からしゃべるつもりもないが同時にいつの日か明らかになるだろうとは思うし、アシュタロス戦に限って言えば令子はさほど恥じる行動をした覚えはないのだ。
ルシオラやパピリオだって受け入れたしパピリオが問題を起こした時も庇ったのだから。
戦後横島に子供への転生を無責任に言ったこと以外は後悔してないと言っていい。
「あの真実が表に出るとも思えないのよね」
今も美智恵はアシュタロス戦の真実が自分達親子の身の破滅だと考えてるが、令子は少なくとも自分が生きてる間は公開されないだれうと考えている。
正直アシュタロス戦の真実は神族にとって非常に都合が悪いことなのだ。
そもそもの動機が魔王の一柱であるアシュタロスが魔族としての在り方に疑問を持ち、そこから抜け出そうとしたなどと言えるはずがないと令子は思う。
少なくとも世界のほとんどを占める一神教の神族と信者は認めないはずである。
それは世界を救ったのが横島と魔族のルシオラだった件も同様だろう。
「ママは横島クンを理解してないのよ」
加えて少し前から令子は美智恵が横島を恐れてることに薄々気いていた。
第三者が横島を担いで真実を明らかにすることを警戒してるようだが、令子からすればそれもまず有り得ないと言い切れる。
自分と母親が横島に怨まれてるのは理解してるが、それでも横島が真実の公開に踏み切ることはないと気付いているのだ。
実際あの真実が公開されて横島自身が今の令子の立場になることを横島は絶対嫌がることを知っていた。
それに万が一横島を騙せても、あの母親とタマモは絶対に騙せないだろうことも理解している。
「何をしたのか知らないけど……」
くるはずのない復讐を警戒する母親が令子は少し哀れだった。
令子は美智恵と横島が何かしらのことで揉めたのは風の噂で知っていたが、詳しくは知らないし知りたいとも思わない。
もちろん美智恵に横島の本心を教える気もない。
元々二~三泊の予定だったのが予定外の除霊をした影響か数日伸びたのだが、流石に年末年始は家族水入らずで過ごしてほしいと告げて帰って来ている。
実際には氷室神社も年初めは初詣などで忙しく、令子の相手をする者が居ないとの理由もあったが。
ちなみに除霊の方はすでに年明けまで長期休業中であり、帰って来てもやることは幼い妹の面倒を見るくらいであった。
「ねいちゃ」
「ひのめ、それは触っちゃダメよ」
結局帰って来て早々に妹であるひのめの面倒を頼まれる令子だったが、最近言葉を話し始めたからかよくしゃべるようになっている。
しかも好奇心旺盛であり、間違っても事務所や台所では目が離せない。
基本的にはリビングや寝室で自由にさせているが、手の届く範囲に物を置けないなど見た目以上に子育ては大変だった。
「全く……、いい加減な夫婦よね」
令子にとってひのめは数少ない気心を許せる可愛い妹なのだが、だからこそひのめが育つに従って母親である美智恵に苛立ちを募らせることが増えている。
ひのめの子育ては令子やおキヌの協力が無ければ成立しないのが現状であり、令子にはそんな状況にしている両親が気に入らなかった。
その原因にアシュタロス戦の無理が今も影響していることは十分理解はしているが、実は令子とすれば真実を無理に隠し続けることには必ずしも百パーセント賛成ではない。
無論真実を自分からしゃべるつもりもないが同時にいつの日か明らかになるだろうとは思うし、アシュタロス戦に限って言えば令子はさほど恥じる行動をした覚えはないのだ。
ルシオラやパピリオだって受け入れたしパピリオが問題を起こした時も庇ったのだから。
戦後横島に子供への転生を無責任に言ったこと以外は後悔してないと言っていい。
「あの真実が表に出るとも思えないのよね」
今も美智恵はアシュタロス戦の真実が自分達親子の身の破滅だと考えてるが、令子は少なくとも自分が生きてる間は公開されないだれうと考えている。
正直アシュタロス戦の真実は神族にとって非常に都合が悪いことなのだ。
そもそもの動機が魔王の一柱であるアシュタロスが魔族としての在り方に疑問を持ち、そこから抜け出そうとしたなどと言えるはずがないと令子は思う。
少なくとも世界のほとんどを占める一神教の神族と信者は認めないはずである。
それは世界を救ったのが横島と魔族のルシオラだった件も同様だろう。
「ママは横島クンを理解してないのよ」
加えて少し前から令子は美智恵が横島を恐れてることに薄々気いていた。
第三者が横島を担いで真実を明らかにすることを警戒してるようだが、令子からすればそれもまず有り得ないと言い切れる。
自分と母親が横島に怨まれてるのは理解してるが、それでも横島が真実の公開に踏み切ることはないと気付いているのだ。
実際あの真実が公開されて横島自身が今の令子の立場になることを横島は絶対嫌がることを知っていた。
それに万が一横島を騙せても、あの母親とタマモは絶対に騙せないだろうことも理解している。
「何をしたのか知らないけど……」
くるはずのない復讐を警戒する母親が令子は少し哀れだった。
令子は美智恵と横島が何かしらのことで揉めたのは風の噂で知っていたが、詳しくは知らないし知りたいとも思わない。
もちろん美智恵に横島の本心を教える気もない。