ゆく年くる年
「これは要らんなぁ」
一方自室に入った横島は部屋に積まれてるダンボールを開けるが、中には本当に様々な物が乱雑に入っていた。
それは大切な物もあれば要らない物もあり、高校時代の教科書なんかは要らないからと判断しさっさとゴミ袋にほうり込む。
「うわぁ、懐かしいな……」
荷物の大半は横島が幼い頃から持っていた物が中心であり、中には小学生の頃のおもちゃなんかもあった。
横島の高校入学と同じ年の春に父である大樹がナルニアに転勤となり横島は高校に通うために一人暮らしを始めたが、横島の私物というべき荷物は全て高校時代に住んだアパートに持って行っている。
横島自身はナルニアに行くつもりは全くなかった訳で、そのまま高校卒業して親からは独立するつもりだったのだ。
正直治安が悪くジャングルしかないような国には行きたくなかったし、強引な母親から離れるいい機会でもあった。
まあ百合子が悪い母親だとは横島も思ってないが、母親の価値観や手法が全く合わなかったのは間違いない。
「小学校のアルバムか」
ダンボールから出てくる物を眺めつつ昔を思い出す横島だが、一番底に入っていた二冊の小学校のアルバムを見て手を止めていた。
実は横島には小学校の卒業アルバムが二冊ある。
一冊は小学五年の終わりまでいた大阪の小学校のアルバムであり、もう一番は東京の小学校のアルバムだった。
本来は卒業した学校のアルバムだけなのだろうが、後で大阪の小学校から同級生達からの寄せ書きと一緒に送られて来たのだ。
転校当時は横島が転校すると言っても同級生達は悲しむどころか清々するとさえ言われただけに、卒業アルバムや寄せ書きは驚いた思い出がある。
「どっちもあんまりいい思い出がねえんだよな」
そんな大阪の小学校から転校した東京の小学校だが、正直横島はこちらもあまりいい思い出がない。
別にあからさまにイジメられていた訳ではないが、関西弁を使う灰汁の強い横島少年はあまりクラスに馴染めなかった。
無論全く友達が出来なかった訳でもないが、大阪時代に比べて希薄な友人といった付き合いだったらしい。
まあ一緒だったのが小学六年の一年だけだったので、中学に入ると交流はすぐに無くなったが。
「銀ちゃんとは違うからなぁ」
そのまま出てきたアルバムをペラペラとめくる横島は今まで思い出す機会がなかった昔のことを思い出し始めるが、やはりいい思い出は少ない。
今年に入って銀一に再会してからは昔の話をする機会もたまにあるが、正直横島は今だに自身の記憶と銀一の話にギャップがあった。
銀一にとっては楽しいだけの思い出だったが、横島にとっては楽しいばかりではなく苦しく悲しい思い出でもある。
自分の自業自得なのだと横島自身は思うが、同じように行動して馬鹿騒ぎしても結果怒られたのが自分だけだった記憶は生涯忘れないだろう。
ある意味横島の骨身に染み付いたコンプレックスを作った根源なのだから。
写真に写る初恋の人を久しぶりに見た横島は、なんとも言えない気持ちを再び封じるようにアルバムを閉じて荷物の整理を再開する。
一方自室に入った横島は部屋に積まれてるダンボールを開けるが、中には本当に様々な物が乱雑に入っていた。
それは大切な物もあれば要らない物もあり、高校時代の教科書なんかは要らないからと判断しさっさとゴミ袋にほうり込む。
「うわぁ、懐かしいな……」
荷物の大半は横島が幼い頃から持っていた物が中心であり、中には小学生の頃のおもちゃなんかもあった。
横島の高校入学と同じ年の春に父である大樹がナルニアに転勤となり横島は高校に通うために一人暮らしを始めたが、横島の私物というべき荷物は全て高校時代に住んだアパートに持って行っている。
横島自身はナルニアに行くつもりは全くなかった訳で、そのまま高校卒業して親からは独立するつもりだったのだ。
正直治安が悪くジャングルしかないような国には行きたくなかったし、強引な母親から離れるいい機会でもあった。
まあ百合子が悪い母親だとは横島も思ってないが、母親の価値観や手法が全く合わなかったのは間違いない。
「小学校のアルバムか」
ダンボールから出てくる物を眺めつつ昔を思い出す横島だが、一番底に入っていた二冊の小学校のアルバムを見て手を止めていた。
実は横島には小学校の卒業アルバムが二冊ある。
一冊は小学五年の終わりまでいた大阪の小学校のアルバムであり、もう一番は東京の小学校のアルバムだった。
本来は卒業した学校のアルバムだけなのだろうが、後で大阪の小学校から同級生達からの寄せ書きと一緒に送られて来たのだ。
転校当時は横島が転校すると言っても同級生達は悲しむどころか清々するとさえ言われただけに、卒業アルバムや寄せ書きは驚いた思い出がある。
「どっちもあんまりいい思い出がねえんだよな」
そんな大阪の小学校から転校した東京の小学校だが、正直横島はこちらもあまりいい思い出がない。
別にあからさまにイジメられていた訳ではないが、関西弁を使う灰汁の強い横島少年はあまりクラスに馴染めなかった。
無論全く友達が出来なかった訳でもないが、大阪時代に比べて希薄な友人といった付き合いだったらしい。
まあ一緒だったのが小学六年の一年だけだったので、中学に入ると交流はすぐに無くなったが。
「銀ちゃんとは違うからなぁ」
そのまま出てきたアルバムをペラペラとめくる横島は今まで思い出す機会がなかった昔のことを思い出し始めるが、やはりいい思い出は少ない。
今年に入って銀一に再会してからは昔の話をする機会もたまにあるが、正直横島は今だに自身の記憶と銀一の話にギャップがあった。
銀一にとっては楽しいだけの思い出だったが、横島にとっては楽しいばかりではなく苦しく悲しい思い出でもある。
自分の自業自得なのだと横島自身は思うが、同じように行動して馬鹿騒ぎしても結果怒られたのが自分だけだった記憶は生涯忘れないだろう。
ある意味横島の骨身に染み付いたコンプレックスを作った根源なのだから。
写真に写る初恋の人を久しぶりに見た横島は、なんとも言えない気持ちを再び封じるようにアルバムを閉じて荷物の整理を再開する。