ゆく年くる年
あの時美智恵と一緒だった西条からすれば、美智恵の苦悩や苛立ちを見ていただけに深くは知らなかったのだろうとは思うが、横島が疑うのもまた当然だと思う。
何よりあの事件はいろいろ謎があったと言われればその通りだった。
「先生の行動に疑問があるのは確かだな。 そもそも先生はあの時間移動を利用した作戦をいつ考え準備したんだ? 時間移動を封じられたからこそ出来た攻撃を練習もなく突発的に思い付きでやるか?」
随分前から疑問に感じていたことだが、アシュタロス戦の米軍に協力を要請した作戦がいろいろ謎が多かったのは西条も気付いている。
結果的には美智恵らしい有効な作戦ではあったが、事前にリスクや可能性を考えると正直不可能だと言いたくなるような作戦であった
そもそも封じられた時間移動能力を練習もなくあそこまでコントロール出来るかと考えれば、美智恵の性格上練習は入念にしていたと見る方が自然だ。
しかし西条は美智恵がその手の練習をする時間がなかったのを知っている。
加えてあの時ベスパは美智恵を攻撃したからよかったが、仮にベスパが美智恵ではなく空母を攻撃すれば西条達を含めて全滅してしまう。
「まさか先生は事件の内容を事前に知っていたのか? しかしならば何故ルシオラ君を……」
全ては西条の想像であり何一つ証拠はない。
仮に美智恵が突発的に練習もなく賭けをしてあの作戦を実行しても不思議ではないのだ。
それに美智恵が全てを知っていたならば、ルシオラをも助けるだろうと西条は本気で考えている。
結局西条の謎は何一つ解けることはないし、それを美智恵に直接聞くことも出来るはずがない。
そもそも西条の性格上恩師を疑うようなことを出来るはずがないし、仮に美智恵が全てを知っていて横島やルシオラを切り捨てていたとしてもそれをどうすればいいか西条にはわからないのだ。
下手に騒ぎ立てると美智恵や令子だけでなく、横島や魔鈴ですら不幸にしかならない。
謎を追求してもルシオラが復活する訳ではないし誰かが幸せになる訳でもない。
横島とは対立したが西条は横島や魔鈴が不幸になればいいと考えてる訳ではないのだ
「仮に先生が何も知らなかったとしても、僕以外は信じられないだろうな」
ため息と共にタバコに火を付ける西条だが、おそらく同じ疑問に至った者は自分だけではないと考えている。
しかし誰も真相を美智恵には聞けないのだろうし、もし聞いても美智恵は全て知っていたとは言わないだろう。
そして美智恵を信頼する西条以外の人間ならば、恐らくその言葉を百パーセント信じる者はいない。
「まさしく禁断の能力だな」
時間移動という能力の恐ろしさを痛感する西条だが、そんな時携帯の音がなる。
「今日? ああ、いいよ。 今日は午後の仕事が急に無くなってね」
相手は以前西条が酔って一夜を共にした女性だった。
肉体関係こそ今だになかったが、何故か今も時々会っては食事をしている。
今日少しだけ時間が取れないかと電話をくれた女性を、西条は食事に誘い街に戻っていく。
横島や美智恵の問題をいろいろ考えていた西条だが、正直西条自身が関わるには少し荷が重かった。
もし解決すればルシオラが復活して美智恵や令子と横島が和解するなら西条も積極的に動くのだろうが、この問題は考えれば考えるほど泥沼にしか感じない。
結局西条は全てを胸にしまい、今日という日を生きるしか出来ることはなかった。
何よりあの事件はいろいろ謎があったと言われればその通りだった。
「先生の行動に疑問があるのは確かだな。 そもそも先生はあの時間移動を利用した作戦をいつ考え準備したんだ? 時間移動を封じられたからこそ出来た攻撃を練習もなく突発的に思い付きでやるか?」
随分前から疑問に感じていたことだが、アシュタロス戦の米軍に協力を要請した作戦がいろいろ謎が多かったのは西条も気付いている。
結果的には美智恵らしい有効な作戦ではあったが、事前にリスクや可能性を考えると正直不可能だと言いたくなるような作戦であった
そもそも封じられた時間移動能力を練習もなくあそこまでコントロール出来るかと考えれば、美智恵の性格上練習は入念にしていたと見る方が自然だ。
しかし西条は美智恵がその手の練習をする時間がなかったのを知っている。
加えてあの時ベスパは美智恵を攻撃したからよかったが、仮にベスパが美智恵ではなく空母を攻撃すれば西条達を含めて全滅してしまう。
「まさか先生は事件の内容を事前に知っていたのか? しかしならば何故ルシオラ君を……」
全ては西条の想像であり何一つ証拠はない。
仮に美智恵が突発的に練習もなく賭けをしてあの作戦を実行しても不思議ではないのだ。
それに美智恵が全てを知っていたならば、ルシオラをも助けるだろうと西条は本気で考えている。
結局西条の謎は何一つ解けることはないし、それを美智恵に直接聞くことも出来るはずがない。
そもそも西条の性格上恩師を疑うようなことを出来るはずがないし、仮に美智恵が全てを知っていて横島やルシオラを切り捨てていたとしてもそれをどうすればいいか西条にはわからないのだ。
下手に騒ぎ立てると美智恵や令子だけでなく、横島や魔鈴ですら不幸にしかならない。
謎を追求してもルシオラが復活する訳ではないし誰かが幸せになる訳でもない。
横島とは対立したが西条は横島や魔鈴が不幸になればいいと考えてる訳ではないのだ
「仮に先生が何も知らなかったとしても、僕以外は信じられないだろうな」
ため息と共にタバコに火を付ける西条だが、おそらく同じ疑問に至った者は自分だけではないと考えている。
しかし誰も真相を美智恵には聞けないのだろうし、もし聞いても美智恵は全て知っていたとは言わないだろう。
そして美智恵を信頼する西条以外の人間ならば、恐らくその言葉を百パーセント信じる者はいない。
「まさしく禁断の能力だな」
時間移動という能力の恐ろしさを痛感する西条だが、そんな時携帯の音がなる。
「今日? ああ、いいよ。 今日は午後の仕事が急に無くなってね」
相手は以前西条が酔って一夜を共にした女性だった。
肉体関係こそ今だになかったが、何故か今も時々会っては食事をしている。
今日少しだけ時間が取れないかと電話をくれた女性を、西条は食事に誘い街に戻っていく。
横島や美智恵の問題をいろいろ考えていた西条だが、正直西条自身が関わるには少し荷が重かった。
もし解決すればルシオラが復活して美智恵や令子と横島が和解するなら西条も積極的に動くのだろうが、この問題は考えれば考えるほど泥沼にしか感じない。
結局西条は全てを胸にしまい、今日という日を生きるしか出来ることはなかった。