ゆく年くる年
この日西条は仕事を午前中で切り上げ午後からは休暇に入っていた。
オカルトGメンの状況は相変わらず厳しく、はっきり言えば余裕などないのだが西条や美智恵とて休暇は必要である。
「半日で悪いけどデートでもして来なさい」
いろいろ問題行動もあった西条だがオカルトGメンには欠かせない戦力であり、その西条が令子との交際騒ぎ以降私生活があまり充実してないのを美智恵は心配していた。
美智恵としては西条と令子には早くそれぞれに合う伴侶を見つけてほしいのだ。
クリスマスイブのようなイベントのある日は事件や霊障が起きやすい日でもあるが、美智恵は西条の疲労や私生活の状況から半ば強引に休ませている。
「クリスマスか……」
そんな訳で西条はお昼から休みになったが、何故かデートもせずに海に来て風に吹かれていた。
令子は氷室家に今後の話し合いに行くと行って都内に居なく、いつ帰って来るかも西条は知らない。
結局西条と令子は良くも悪くも関係が変わらなかったが、久しぶりの休暇で暇になるとふと過去を思い返してしまう。
「人は無くして始めて気付くとはよく言うが、まさか僕までもそうだとわね」
西条の過去は華麗なる経歴ばかりだったが、皮肉なことに一番思い出すのは横島が美神事務所に居た頃である。
許せない部分や納得出来ない部分は相変わらずあるが、同時に令子には横島が必要なのだという事実を今年は嫌というほど感じたのだ。
令子が西条を兄だと慕ってくれるのは理解してるが、同時に横島の時のように無邪気に笑ってはくれないのもわかりショックだった。
横島という存在がどれだけ令子と上手くやっていたかを、時が過ぎれば過ぎるほど理解するがそれもすでに遅いことである。
そんな時西条が思い出すのはシロとタマモの協力を依頼しに行った時に魔鈴が語った、横島も普通の若者だと言う言葉と西条に対し横島に冷たく接したことが残念で仕方ないという魔鈴の言葉だった。
「横島君もただの人か……」
裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った西条には、横島には理解出来ないことが多かった。
しかも令子を挟んで微妙なライバル意識があっただけに、対応が厳しかったのも仕方ない気もする。
ただ魔鈴の言う通り西条自身がもう少し横島をきちんと見ていたら……。
そう思うと西条は自分のかつての行動が必ずしも正しかったとは思えなかった。
「原因はルシオラ君の件か……」
横島との訴訟沙汰の後、西条は自分なりに横島と令子や美智恵の間に何があったのかを調べている。
無論令子や美智恵に直接聞ける訳もなく業界に流れる情報を集めただけなのだが、シロとタマモに協力依頼をした時の横島の言動などと合わせて結論として西条が導き出した原因はアシュタロス戦だった。
「先生を信じられないか……。 確かに先生があの事件をどこまで事前に知っていたかで話は変わる。 まさか先生は……」
それは決して美智恵本人には言えないことだが、美智恵があの事件に対してどこまで事前情報を知っていたかで状況は全く変わってくる。
オカルトGメンの状況は相変わらず厳しく、はっきり言えば余裕などないのだが西条や美智恵とて休暇は必要である。
「半日で悪いけどデートでもして来なさい」
いろいろ問題行動もあった西条だがオカルトGメンには欠かせない戦力であり、その西条が令子との交際騒ぎ以降私生活があまり充実してないのを美智恵は心配していた。
美智恵としては西条と令子には早くそれぞれに合う伴侶を見つけてほしいのだ。
クリスマスイブのようなイベントのある日は事件や霊障が起きやすい日でもあるが、美智恵は西条の疲労や私生活の状況から半ば強引に休ませている。
「クリスマスか……」
そんな訳で西条はお昼から休みになったが、何故かデートもせずに海に来て風に吹かれていた。
令子は氷室家に今後の話し合いに行くと行って都内に居なく、いつ帰って来るかも西条は知らない。
結局西条と令子は良くも悪くも関係が変わらなかったが、久しぶりの休暇で暇になるとふと過去を思い返してしまう。
「人は無くして始めて気付くとはよく言うが、まさか僕までもそうだとわね」
西条の過去は華麗なる経歴ばかりだったが、皮肉なことに一番思い出すのは横島が美神事務所に居た頃である。
許せない部分や納得出来ない部分は相変わらずあるが、同時に令子には横島が必要なのだという事実を今年は嫌というほど感じたのだ。
令子が西条を兄だと慕ってくれるのは理解してるが、同時に横島の時のように無邪気に笑ってはくれないのもわかりショックだった。
横島という存在がどれだけ令子と上手くやっていたかを、時が過ぎれば過ぎるほど理解するがそれもすでに遅いことである。
そんな時西条が思い出すのはシロとタマモの協力を依頼しに行った時に魔鈴が語った、横島も普通の若者だと言う言葉と西条に対し横島に冷たく接したことが残念で仕方ないという魔鈴の言葉だった。
「横島君もただの人か……」
裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った西条には、横島には理解出来ないことが多かった。
しかも令子を挟んで微妙なライバル意識があっただけに、対応が厳しかったのも仕方ない気もする。
ただ魔鈴の言う通り西条自身がもう少し横島をきちんと見ていたら……。
そう思うと西条は自分のかつての行動が必ずしも正しかったとは思えなかった。
「原因はルシオラ君の件か……」
横島との訴訟沙汰の後、西条は自分なりに横島と令子や美智恵の間に何があったのかを調べている。
無論令子や美智恵に直接聞ける訳もなく業界に流れる情報を集めただけなのだが、シロとタマモに協力依頼をした時の横島の言動などと合わせて結論として西条が導き出した原因はアシュタロス戦だった。
「先生を信じられないか……。 確かに先生があの事件をどこまで事前に知っていたかで話は変わる。 まさか先生は……」
それは決して美智恵本人には言えないことだが、美智恵があの事件に対してどこまで事前情報を知っていたかで状況は全く変わってくる。