ゆく年くる年

そしてクリスマスイブの朝、横島は起きて早々に文珠を用いて妙神山を尋ねていた。


「パピリオ、クリスマスプレゼントだぞ」

連日の店の営業で忙しい横島は、開店前のこの時間しか妙神山に来れる時間がないらしい。

この日は昨年と同じくパピリオにクリスマスプレゼントを持って来たのだが、今年のプレゼントは冬用の洋服である。

昨年はゲームソフトをプレゼントしたが、今年は日頃から差し入れとしてゲームソフトを持って来ているので魔鈴と相談して洋服を数着選んだようだ。


「ありがとう! でも今年はパピも用意したんでちゅよ」

綺麗にラッピングかれはプレゼントに喜ぶパピリオだが、ニヤリと意味深な笑顔を見せると同じように綺麗にラッピングされたプレゼントを横島に渡す。

どうやらパピリオも横島がプレゼントを持って来るのを待ってたらしいが、せっかくだからと横島にもプレゼントを用意していたらしい。


「まさかパピリオからプレゼントを貰うとはな~」

「パピも成長してるんでちゅ!」

正直パピリオがプレゼントを用意してるなど考えもしなかったた横島は素直に驚くが、そんな横島の表情に満足したのかパピリオは胸を張ってドヤ顔をしている。


「へ~、開けていいか?」

「帰ってからのお楽しみでちゅよ」

パピリオから貰ったプレゼントの中身が気になる横島だったが、パピリオは何故か家に帰ってから開けろと言う。

横島は微かに首を傾げるもせっかくだからと言う通りにして、ついでに小竜姫にも服のプレゼントを渡すと足早に帰っていく。

流石に小竜姫にはクリスマスプレゼントとしてではないが、どうせなら一緒にあげようと横島が考えたようである。


「へ~、パピリオちゃんからのプレゼントですか」

そのまま文珠で帰宅した横島は嬉しそうに魔鈴達にプレゼントを見せて、みんなの前でさっそくプレゼントを開けるが……。


「なんだこりゃ!?」

「なんて神々しい……」

パピリオのプレゼントの中身は横島や魔鈴が予想もしてなかった物らしく、包みを開けると神々しいまでの光が溢れてくる。


「なんなの!?」

「凄い力でござる!」

その溢れてくる光と力にタマモとシロは驚きながらも経過するが、どうやら危険な物ではないらしい。


「これは……、御神酒ですね」

開けた時の強烈な光が納まるとなんとか見れる程度の光になるが、相変わらずプレゼントは神々しい光を放っている。

横島は何がなんだか分からず魔鈴が恐る恐るプレゼントを調べると、それは神界製の御神酒だった。


「メッセージカードが入ってるわよ。 えっと……、竜神族の御神酒だって。 人間が飲めば効果は絶大だって書いてるわ」

御神酒と共にパピリオのメッセージカードがプレゼントに入っていたらしく、見つけたタマモが読むがどうやら日頃から忙しい横島と魔鈴の為にパピリオが天龍童子に頼んで手に入れたらしい。

どうもパピリオと天龍は手紙のやり取りをしてるらしく、二人は横島と魔鈴が健康で長生きするようにと考え上級の御神酒を用意したようだ。

実は最初天龍童子は蟠桃の実でも送ろうかと考えたらしいが、神界上層部から人間界に持ち出す許可が降りなかったらしく竜神王家の御神酒になったようである。

本来はこれも人間に与えていい物ではないが、横島は形式上だけとはいえ天龍童子の直臣になってるので持ち出せてしまったようだった。



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