同じ頃銀一が主演する踊るＧＳの映画がいよいよ公開間近になって銀一は連日テレビに出演しては番宣を行っていた

今回の映画はドラマ版とは違ったテイストの映画だとの前評判であり、多くのファンが公開を心待ちにしている

中でもファンの憶測を呼んでいるのは、銀一演じる横山が容疑者として指名手配されると予告が出回った為であった

ヒロインはテレビ版には登場しない謎の美少女二人組であり、彼女達がストーリーの鍵を握ると好奇心を煽るような内容になっている


「金髪と銀髪の少女なんて、まるでタマモちゃんとシロちゃんみたいですね」

「言われてみると確かに似てるわね」

この日学校帰りにエミの事務所に向かう途中だった小鳩と愛子は、踊るＧＳの特集を掲載してる雑誌を見て映画の話題で盛り上がっていた

多くのファンがストーリーやヒロインの謎を推測するが、そのの情報は隠されており出回ってないのだ

そんな中で二人はヒロインに注目するが、ヒロインは金髪でクールな容姿の少女と銀髪で活発な容姿の少女だった

小鳩は二人がまるでタマモとシロのように見えてしまい思わず笑ってしまう


「そうそう横島君が近畿君から私達の分の招待券貰ったらしいから、一緒に行かないかって言ってたわよ」

「改めて考えると凄い人と知り合いなんですよね」

そのまましばらく映画の話をしていた二人だが、愛子は思い出したように映画の招待券の話を小鳩にしていた

実は銀一から横島へ映画の招待券が渡されており、愛子は一緒に映画を見に行かないかと誘われていたのだ

小鳩は今まであまり深く考えなかったが、自分が凄い人の交遊関係に加わってることが信じられない思いになるらしい


「一緒に旅行したなんて言えないわよね」

若干シミジミと語る小鳩に愛子も同意するように頷くが、二人は銀一と会ったことを友人達には一切話してなかった

正直銀一と一緒に旅行に行ったなんて知れたらどれだけ騒ぎになるか分からないし、仮に騒ぎにならなくても信じてもらえるとは思えないのだ

そもそも神族や魔族や妖怪が銀一と旅行したなどと説明しても、頭がおかしいと思われるか虚言癖だと思われるのがオチである

あまりにも非現実的な真実なだけに他人に言えるはずがなかった


「次は一月の末に温泉でしたっけ？」

「そうそう、なんでも小さな旅館を貸し切るとか言ってたわよ。　横島君が冬は温泉がいいって言ったらしくって、魔鈴さんが貸し切れる場所を探したみたい」

非現実的な現状に不思議な気分になる小鳩だったが、そんな小鳩もまた次の旅行にも参加の予定だったりする

時期的に忙しい年末年始を避けて一月の下旬に温泉に行くことがすでに決まっており、予約なども完了していた

相変わらず横島は細かい調整が出来ずに魔鈴が頑張ったようであり、愛子と小鳩は横島よりもあの凄い人達を纏める魔鈴の方が凄いと改めて感じる

ある意味、言うだけの横島をサポートする魔鈴の苦労を二人はよく理解していた