ゆく年くる年

さて晩秋を迎えた六道女学院では、警察官を対象にしたオカルトの講義と訓練が行われていた

これは以前にオカルトGメンと警察庁が合意した協力事項の一つである、一部の警察官へのオカルトの講義と訓練がGS協会と六道女学院の協力の元で行われていたのである

これは元々はオカルトGメンと警察庁の話なのだが、オカルトGメン日本支部には一部とはいえ多くの警察官に講義や指導する余裕などあるはずがない

結果的にはGS協会と六道女学院に協力してもらい、ようやく講義と訓練にこぎつけていた

相変わらずオカルトGメンとGS協会の関係は悪いが、元々オカルトGメンが日本に進出するまでは警察とGS協会は良好な関係だった為に、そこそこ太いパイプはあり警察側の働き掛けもありGS協会も今回の件に協力している

正直GS協会はこの件への協力には消極的だったが、背景にザンス王の再来日がある以上無視も出来なかった

優良な精霊石の確保は国家的な問題でありGS協会としても死活問題なのだ

それに警察幹部の一部にはオカルトGメンだけに任せるとロクな結果にならないと考えてる者もおり、長い付き合いがあるGS協会をも巻き込んでいる

ただ一般人である警察官を対象にしたオカルトの講義や訓練はGS協会側もあまり実例がなく、結果的には教育としてカリキュラムが整った六道女学院が指導に当たることなっていた

最終的にオカルトGメンは西条と美智恵が講師として時折参加することになるが、一件の主導権は完全に六道家に持って行かれている


ただこれに関しては六道家の側からは特に何もしてなく、普通に頼まれた側だった

以前から霊能を教育として確立させカリキュラムをきちんと整備していた結果であり、頼まれたから引き受けただけなのである

まあ六道家からすれば実際に自分達が指導するのだから主導権を握るのは当然であり、必要以上にオカルトGメンに華を持たせる必要はない

結果的には六道女学院がいかに素晴らしい指導方法を確立させてるかを、世間に宣伝することになっていた

ちなみにこれは余談だが、この件に関しても六道家の陰謀論がオカルト業界で密かに囁かれることになるが当然それはデマである

一部にはGS協会とオカルトGメンの全面戦争かと勝手な憶測と噂が流れるが、オカルトGメンもGS協会幹部も六道家も誰もそんなモノは望んでない

正確にはオカルトGメンの日本進出以来割を食ってる者達はそれを望んで煽っていた形跡はあるが、そんな無駄な争いをするほど美智恵も冥菜も馬鹿ではなかった

それぞれ組織ごとに思惑は違うが、警察もオカルトGメンもGS協会も悪化した関係を修復して、ある程度の協力関係を望む声は決して少なくはない

アシュタロスクラスの事件は流石にないとしても、国家的な危機に関わる霊障やオカルト絡みの事件に対応する必要はあった

今回の警察官への講義と訓練もその一貫の一つであり、それぞれの事情を踏まえた上でようやく動き出した一つの進歩であった



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