ゆく年くる年
その後ファーストフードを出た横島と魔鈴は、今度は雑貨屋を中心にいくつかの店を見て歩いていた
特別買い物の予定はないが、そろそろ店のクリスマスの飾り付けのことも考えなくてはならない
せっかくだからと雑貨屋などに足を向けていた
「そういえば去年のクリスマスも横島さん達が手伝ってくれましたね」
「当然じゃないっすか。 あの頃はお世話になりっぱなしだったんっすから」
クリスマス用品などを見ながら歩く二人だが、ふと去年のクリスマスの話になっている
僅か一年前なのに二人ともあの頃が本当に懐かしく感じてしまう
今思えばあの時はすでに魔鈴に惚れていたのだと思う横島だが、同時にあの頃の心境を思い出すとなんとも言えない気持ちになる
「こう言っては失礼ですけど、意外と紳士的でしたね。 同じ屋根の下に居るんですし、来るかなとちょっと考えてたんですけど……」
「いやいや、そんなこと出来る訳ないじゃないっすか!? そんな恩を仇で返すような真似はしないっすよ」
あの日を思い出しつい本音をこぼす魔鈴に、横島はどう返していいか分からずに慌てた様子になってしまう
正直に言えばあの頃の横島にはそこまで余裕がなかっただけなのだろうが、魔鈴としては素直に喜べない結果でもあった
まああの日に迫られたらどうなったかは別にして、令子に対しては覗きやセクハラをする割に自分には全く何もしない横島が魔鈴は素直に喜べなかったのも確かなのだ
別にセクハラされたかった訳ではないが、女としてのプライドが多少傷ついたのは横島に言えない秘密だった
「多分結果は変わらなかったと思いますよ」
何となく困った様子の横島に魔鈴が小声で囁くと、横島はむせてしまいわかりやすいように動揺してしまう
その言葉の意味を分からぬほど子供ではないし、お互いあの頃はいつ一線を越えてもおかしくない関係だったのは確かなのだ
しかも思い出話にするには、まだまだ時間が短か過ぎたようである
「私がもう少し横島さんを理解してたら、私から行ったんですけどね」
「まっ、魔鈴さん!?」
「女が待ってるだけなんて思わない方がいいですよ。 少なくとも私はそんな弱い女ではありませんから」
意味深な笑みを浮かべる魔鈴は、冗談とも本音とも取れることを言い出し横島を再び慌てさせてしまう
しかしそんな魔鈴の表情に横島は何故かルシオラを思い出していた
あの別荘での夜の詳細を魔鈴は知らないはずなのだ
にもかかわらずその言葉が出たことに横島は素直に驚いている
「どうしました?」
「いや、よく考えたらなんで俺なんかをって考えると本当に不思議で……」
何故ルシオラと魔鈴はこれほど自分を愛してくれるのか、横島はその疑問が相変わらず解けないままだった
そんな横島の表情に気付いた魔鈴は横島にさらに密着するように歩き出す
その疑問の答えを魔鈴は言葉で伝えるつもりはなく、いつの日か自分で気付いて欲しいと願わずには居られなかったようだ
特別買い物の予定はないが、そろそろ店のクリスマスの飾り付けのことも考えなくてはならない
せっかくだからと雑貨屋などに足を向けていた
「そういえば去年のクリスマスも横島さん達が手伝ってくれましたね」
「当然じゃないっすか。 あの頃はお世話になりっぱなしだったんっすから」
クリスマス用品などを見ながら歩く二人だが、ふと去年のクリスマスの話になっている
僅か一年前なのに二人ともあの頃が本当に懐かしく感じてしまう
今思えばあの時はすでに魔鈴に惚れていたのだと思う横島だが、同時にあの頃の心境を思い出すとなんとも言えない気持ちになる
「こう言っては失礼ですけど、意外と紳士的でしたね。 同じ屋根の下に居るんですし、来るかなとちょっと考えてたんですけど……」
「いやいや、そんなこと出来る訳ないじゃないっすか!? そんな恩を仇で返すような真似はしないっすよ」
あの日を思い出しつい本音をこぼす魔鈴に、横島はどう返していいか分からずに慌てた様子になってしまう
正直に言えばあの頃の横島にはそこまで余裕がなかっただけなのだろうが、魔鈴としては素直に喜べない結果でもあった
まああの日に迫られたらどうなったかは別にして、令子に対しては覗きやセクハラをする割に自分には全く何もしない横島が魔鈴は素直に喜べなかったのも確かなのだ
別にセクハラされたかった訳ではないが、女としてのプライドが多少傷ついたのは横島に言えない秘密だった
「多分結果は変わらなかったと思いますよ」
何となく困った様子の横島に魔鈴が小声で囁くと、横島はむせてしまいわかりやすいように動揺してしまう
その言葉の意味を分からぬほど子供ではないし、お互いあの頃はいつ一線を越えてもおかしくない関係だったのは確かなのだ
しかも思い出話にするには、まだまだ時間が短か過ぎたようである
「私がもう少し横島さんを理解してたら、私から行ったんですけどね」
「まっ、魔鈴さん!?」
「女が待ってるだけなんて思わない方がいいですよ。 少なくとも私はそんな弱い女ではありませんから」
意味深な笑みを浮かべる魔鈴は、冗談とも本音とも取れることを言い出し横島を再び慌てさせてしまう
しかしそんな魔鈴の表情に横島は何故かルシオラを思い出していた
あの別荘での夜の詳細を魔鈴は知らないはずなのだ
にもかかわらずその言葉が出たことに横島は素直に驚いている
「どうしました?」
「いや、よく考えたらなんで俺なんかをって考えると本当に不思議で……」
何故ルシオラと魔鈴はこれほど自分を愛してくれるのか、横島はその疑問が相変わらず解けないままだった
そんな横島の表情に気付いた魔鈴は横島にさらに密着するように歩き出す
その疑問の答えを魔鈴は言葉で伝えるつもりはなく、いつの日か自分で気付いて欲しいと願わずには居られなかったようだ