ゆく年くる年

一方この頃の令子は以前にも増してGSの仕事を減らしていた

ひのめの面倒を見てるからだと本人は愚痴るが、それを抜いても受ける依頼の数はどんどん減っている

基本的に気に入らない依頼は受けないし、あまり面倒な依頼も受けなくなっていた

理由に関しては本人も気付いているが、GSへの情熱が以前ほどないのだ

かつて令子の心を踊らせたスリルにビッグマネーも、以前ほど興味が無くなっている

まあお金が好きなことには変わりないし割のいい仕事は受けるが、以前と比べると確実に変化していた


「西条さんもあまり来なくなったわね。 相変わらず口だけなんだから」

そして少し前から西条があまり来なくなったのも令子は気付いている

全く来なくなった訳でもないし時々は顔を出すが、以前のように積極的に誘わなくなったのは確かで、それは令子のみならずおキヌも当然気付いていた

元々付き合ってる自覚がなかった令子は特にショックを受けることもなく、結局西条も口だけはいいからと半ば呆れたくらいである

そんな西条が今も頼りになるお兄ちゃん的な存在なのは変わらないが、男性として見ると本性は横島と大差ないのだという現実が見えてしまう

まあそれを言えば男性のほとんどが本性は似たり寄ったりであり、西条はまだ誠実な方だと令子も理解してるはいるが一言で言えば男性として見れないだけだった


「ママもよくやるわよね……」

そんな現状の令子が一番不満だったのは母親である美智恵である

かつては自分の理想であり憧れだった母親だが、その行動を現実的に見ると令子には理解出来ない行動も多い

居ない時はある意味美化して憧れだった母親も、現実的に存在すると不満や苛立ちを感じることが当然あるのだ

特にオカルトGメンとしての美智恵の行動は既存のオカルト業界からはよく見られてなく、何故わざわざ面倒なことをするのか令子には理解出来ない

まあ美智恵の行動には令子自身を守る意味があることも当然令子は気付いているが、それを考えても美智恵は目立ちたがりというか自分が表に出たがってるように見えてならないのである

お金は欲しいが煩わしい権力や地位など全く欲しくない令子には、美智恵の行動はまるで理解出来なかった

元々自由気ままに生きて来た令子には美智恵の存在が現れて以来の変化は、決して望ましい形ではなかったのだ


「まあ来年にはおキヌちゃんも正式に働くし、ほどほどにやるしかないわね」

そんないろいろと溜まってるモノもある令子だが現状ではGSを辞めるまでは考えてなく、ほどほどに仕事をやりたいのが本音なようである

かつてライバルだと対立していたエミが今年の業界ナンバーワンになるのはすでに確実視されてるが、その辺りはどうでもいいらしい

横島が去ってから半年以上の月日が過ぎたが、よくも悪くも令子はかつての勢いが無くなっていた



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