ゆく年くる年
それから数日後、愛子と小鳩は卒業後にエミの事務所で働くことを正式にエミに伝えていた
愛子はともかく小鳩に関しては卒業後に就職する先をいくつか検討はしたが、条件面でエミを越える仕事などあるはずがない
あこがれる職業や好きな職業でもあれば違うのだろうが、幼い頃より苦労して来た小鳩は母と貧と三人普通に暮らせる安定した仕事を望んでいたのである
数ヶ月間バイトをして仕事にも慣れてきたし、わざわざ違う就職に付く理由はなかった
「わかったわ。 卒業を待って正式な契約に切り替えることでいいわね」
二人の決断を聞いたエミだが、特に驚きもなく冷静だった
最近のアルバイトの勤務態度を見ていると、二人が正式に就職する確率は高いとエミは考えていたのだ
「それと希望する住居の相談には乗るわ。 特に愛子は住む場所が必要でしょう?」
就職時の条件はすでに説明済みだが、小鳩はともかく愛子は住居の手配から必要である
妖怪である愛子が早々簡単に住居を借りれるはずもなく、こちらはエミが社宅として借りて愛子を住ませるつもりらしい
「はい、ありがとうございます」
基本的には小鳩と愛子は同じ契約だが、いくつか違う点も存在する
まずは福利厚生に関してはまるで違い、各種保険などに入れる小鳩と対照的に愛子には人間の福利厚生が適用されない
ただこの件に関してはエミは福利厚生の費用を積み立てする形で、似たような保証をする方向で考えていた
基本的に妖怪である愛子には福利厚生はあまり必要ないのだが、万が一を考えて積み立ては最終的に退職金に加算すればいいとの判断である
何はともあれ二人の就職先は決まったのであった
「そっか、エミさんのとこで働くのか」
「いい選択だと思いますよ。 何事も経験ですしエミさんはプロ中のプロですから」
同じ日の夜、愛子はエミの事務所のバイトが終わると魔鈴宅へ行き横島と魔鈴にも就職を決めたことを報告する
少し驚く横島と愛子の決断を受け止めるような魔鈴に、愛子はタマモとシロが先日の相談を口外してないことを知った
「ずっと考えてたんです。 六月に横島君に学校を出ること言われてから……。 でもいろいろな人に背中を押されてようやく決断出来たんです」
六月に西条の問題があった時に横島が語った学校を離れて生きる未来は、愛子にとって不可能に思える未来だった
それが横島や魔鈴のみならず、エミや小鳩やタマモやシロなどの多くの友人のおかげで愛子は一歩を踏み出せていたのだ
特にエミと小鳩はバイトを始めてから非常にいい関係の友人になっている
横島と違い妖怪と人間を同じとは考えないエミだが、彼女はその変わり妖怪である愛子に対するさりげない気遣いが多かった
無神経なほど妖怪を人と同じ扱いをする横島と対照的だが、エミの優しさを愛子はよく感じている
そして奇しくも同じタイミングで誘われバイトを始めた小鳩は、未知への恐怖を抱える愛子の希望とも言える存在だった
一緒に学び一緒に働く小鳩の見えない力強さが、未知の世界で働く愛子の心の支えだったと言っても過言ではない
自分は本当にいい人に囲まれてると愛子は痛感する数ヶ月間であった
愛子はともかく小鳩に関しては卒業後に就職する先をいくつか検討はしたが、条件面でエミを越える仕事などあるはずがない
あこがれる職業や好きな職業でもあれば違うのだろうが、幼い頃より苦労して来た小鳩は母と貧と三人普通に暮らせる安定した仕事を望んでいたのである
数ヶ月間バイトをして仕事にも慣れてきたし、わざわざ違う就職に付く理由はなかった
「わかったわ。 卒業を待って正式な契約に切り替えることでいいわね」
二人の決断を聞いたエミだが、特に驚きもなく冷静だった
最近のアルバイトの勤務態度を見ていると、二人が正式に就職する確率は高いとエミは考えていたのだ
「それと希望する住居の相談には乗るわ。 特に愛子は住む場所が必要でしょう?」
就職時の条件はすでに説明済みだが、小鳩はともかく愛子は住居の手配から必要である
妖怪である愛子が早々簡単に住居を借りれるはずもなく、こちらはエミが社宅として借りて愛子を住ませるつもりらしい
「はい、ありがとうございます」
基本的には小鳩と愛子は同じ契約だが、いくつか違う点も存在する
まずは福利厚生に関してはまるで違い、各種保険などに入れる小鳩と対照的に愛子には人間の福利厚生が適用されない
ただこの件に関してはエミは福利厚生の費用を積み立てする形で、似たような保証をする方向で考えていた
基本的に妖怪である愛子には福利厚生はあまり必要ないのだが、万が一を考えて積み立ては最終的に退職金に加算すればいいとの判断である
何はともあれ二人の就職先は決まったのであった
「そっか、エミさんのとこで働くのか」
「いい選択だと思いますよ。 何事も経験ですしエミさんはプロ中のプロですから」
同じ日の夜、愛子はエミの事務所のバイトが終わると魔鈴宅へ行き横島と魔鈴にも就職を決めたことを報告する
少し驚く横島と愛子の決断を受け止めるような魔鈴に、愛子はタマモとシロが先日の相談を口外してないことを知った
「ずっと考えてたんです。 六月に横島君に学校を出ること言われてから……。 でもいろいろな人に背中を押されてようやく決断出来たんです」
六月に西条の問題があった時に横島が語った学校を離れて生きる未来は、愛子にとって不可能に思える未来だった
それが横島や魔鈴のみならず、エミや小鳩やタマモやシロなどの多くの友人のおかげで愛子は一歩を踏み出せていたのだ
特にエミと小鳩はバイトを始めてから非常にいい関係の友人になっている
横島と違い妖怪と人間を同じとは考えないエミだが、彼女はその変わり妖怪である愛子に対するさりげない気遣いが多かった
無神経なほど妖怪を人と同じ扱いをする横島と対照的だが、エミの優しさを愛子はよく感じている
そして奇しくも同じタイミングで誘われバイトを始めた小鳩は、未知への恐怖を抱える愛子の希望とも言える存在だった
一緒に学び一緒に働く小鳩の見えない力強さが、未知の世界で働く愛子の心の支えだったと言っても過言ではない
自分は本当にいい人に囲まれてると愛子は痛感する数ヶ月間であった