ゆく年くる年
ハロウィンも無事に終わり秋も深まる十一月初旬、魔鈴宅には百合子が訪れていた
まあ用事がなくとも月に何度かは来ている百合子だが、この日来たのは他でもなくザンス国王来日の際のパーティー出席の件である
「ザンス国王の歓迎パーティー?」
政府から内々にパーティー出席を頼まれたと言われた横島は思いっきり嫌そうな顔をしてしまう
正直ザンスは横島にとっていい思い出ではない
面倒事に巻き込まれたのに意味があるのかないのか知らない勲章を貰っただけなのだから
謝礼にと現金でもくれればイメージも違ったのだろうが、横島の手元には相変わらず何も残らなかったのでいい思い出のはずがなかった
加えて王女は美人だが迷惑な性格に変わりはなく、以前と違い魔鈴が居る横島にとっては係わり合いになる利点がまるでない
「あんたがザンス王国の勲章なんか貰うから、政府も困ってるのよ。 名誉や勲章なんかは貰えばそれなりに面倒事がついて回るもんなのよ」
「別に欲しくて貰った訳じゃないんだけどな。 そういえばあの勲章どこ行ったんだろ」
百合子は不用意に勲章を貰った横島の甘さを指摘するが、当時の横島にそんなことが分かるはずがないのだ
ただ令子に言われるがままに貰っただけだし、あの一軒家の大使館での勲章がそんな意味を持つなど夢にも思わなかったようだった
「……横島さん、ザンス王国から勲章を貰ってたんですか?」
「ええ、確かザンス勲章ってやつだったかな?」
横島と百合子の会話から、横島がザンス勲章を貰ってることを始めて知った魔鈴は思わず頭を抱えてしまう
そもそもザンス王国は一般的には大西洋の小国でしかないが、世界でも稀少な純度の高い精霊石の産出国としてオカルトの世界では有名だった
オカルトアイテムの大半が精霊石に依存してる現代オカルトにおいて、精霊石のシェアの八割を握るザンス王国は殺生与奪権を握られるも同じである
しかしザンス王国は宗教上の理由などからほとんど鎖国に近いため、交流どころか入国すら難しい国なのだ
ザンス勲章に関しては王国や王家に多大な功績のあった者や王国と古くから親交のあるヨーロッパの王族などに所持者はいるが、ザンス王国以外の人間では数えるほどしか所持者が居ないような名誉のある勲章だったりする
そもそも魔鈴はザンス国王の事件に横島が関わったことは当時のニュースで知っていたし、以前の連続殺人事件の時に弁護士を通して西条と交渉した際にこの事件が問題になってたのは知っている
だが横島自身が忘れかけてたザンス勲章の話は聞いてなかったのだ
(一度過去を詳しく聞いた方がいいのでしょうか?)
天龍童子との約束に続きザンス勲章などという爆弾が出て来た横島に、魔鈴は一度過去を聞くべきかと悩んでしまう
横島はまだまだ自分の知らない爆弾を抱えてるのではと不安になったのだ
「それでね、忠夫一人だとまずいから魔鈴さんも一緒に行けるように頼んだから、悪いけどお願いね」
「……はい!?」
過去の爆弾に頭を悩ませる魔鈴に百合子はサラっと魔鈴自身も巻き込むと告げると魔鈴はしばし固まってしまった
まあ用事がなくとも月に何度かは来ている百合子だが、この日来たのは他でもなくザンス国王来日の際のパーティー出席の件である
「ザンス国王の歓迎パーティー?」
政府から内々にパーティー出席を頼まれたと言われた横島は思いっきり嫌そうな顔をしてしまう
正直ザンスは横島にとっていい思い出ではない
面倒事に巻き込まれたのに意味があるのかないのか知らない勲章を貰っただけなのだから
謝礼にと現金でもくれればイメージも違ったのだろうが、横島の手元には相変わらず何も残らなかったのでいい思い出のはずがなかった
加えて王女は美人だが迷惑な性格に変わりはなく、以前と違い魔鈴が居る横島にとっては係わり合いになる利点がまるでない
「あんたがザンス王国の勲章なんか貰うから、政府も困ってるのよ。 名誉や勲章なんかは貰えばそれなりに面倒事がついて回るもんなのよ」
「別に欲しくて貰った訳じゃないんだけどな。 そういえばあの勲章どこ行ったんだろ」
百合子は不用意に勲章を貰った横島の甘さを指摘するが、当時の横島にそんなことが分かるはずがないのだ
ただ令子に言われるがままに貰っただけだし、あの一軒家の大使館での勲章がそんな意味を持つなど夢にも思わなかったようだった
「……横島さん、ザンス王国から勲章を貰ってたんですか?」
「ええ、確かザンス勲章ってやつだったかな?」
横島と百合子の会話から、横島がザンス勲章を貰ってることを始めて知った魔鈴は思わず頭を抱えてしまう
そもそもザンス王国は一般的には大西洋の小国でしかないが、世界でも稀少な純度の高い精霊石の産出国としてオカルトの世界では有名だった
オカルトアイテムの大半が精霊石に依存してる現代オカルトにおいて、精霊石のシェアの八割を握るザンス王国は殺生与奪権を握られるも同じである
しかしザンス王国は宗教上の理由などからほとんど鎖国に近いため、交流どころか入国すら難しい国なのだ
ザンス勲章に関しては王国や王家に多大な功績のあった者や王国と古くから親交のあるヨーロッパの王族などに所持者はいるが、ザンス王国以外の人間では数えるほどしか所持者が居ないような名誉のある勲章だったりする
そもそも魔鈴はザンス国王の事件に横島が関わったことは当時のニュースで知っていたし、以前の連続殺人事件の時に弁護士を通して西条と交渉した際にこの事件が問題になってたのは知っている
だが横島自身が忘れかけてたザンス勲章の話は聞いてなかったのだ
(一度過去を詳しく聞いた方がいいのでしょうか?)
天龍童子との約束に続きザンス勲章などという爆弾が出て来た横島に、魔鈴は一度過去を聞くべきかと悩んでしまう
横島はまだまだ自分の知らない爆弾を抱えてるのではと不安になったのだ
「それでね、忠夫一人だとまずいから魔鈴さんも一緒に行けるように頼んだから、悪いけどお願いね」
「……はい!?」
過去の爆弾に頭を悩ませる魔鈴に百合子はサラっと魔鈴自身も巻き込むと告げると魔鈴はしばし固まってしまった